一口に「保守」といっても、いろいろあるが、中でもウヨクと呼ばれる立場は、自前の(可能なかぎり強力な)軍隊を持って、”おれ強い”と思いたい人たちのことである。

 

 

『ナウシカ』では、トルメキアに相当する。

 

風の谷は、これとは対照的な左翼的ユートピアである。

 

(いや、風の谷はぜんぜんユートピアなんかじゃないよと、物事を多少深く見る人は思うようだが、ユートピアというのは、観念である。不完全な世界の中で具体的なものとして描かれると、必ず変質する。この変質をとらえて、風の谷はユートピアではないとするのは、筆者の考えではまちがっている。)

 

具体的に言えば、多かれ少なかれ、共産主義的な共同体が考えられている。「誰一人取り残さない」という言葉を保守系の政治家からもよく耳にするが、これは本来左翼的な理想を述べたものである。

 

日本は、ペジテである。『ナウシカ』は風の谷を主体として描いたものだが、実はペジテという国が、トルメキアのようになるか、それとも風の谷のような生き方を選ぶか、その選択が問題になっている、という見方ができる。

 

ペジテ国の王子アスベルは、後者の道を選んだ。私たちはどのような道を選ぶのだろうか。