NO.9 諷詠社 | tanakakawazuのブログ

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■ 風詠社

 住所:〒553-0001
   大阪市福島区海老江5-2-7 ニュー野田阪神ビル402
    ℡ 06-6136-8657

■ 諷詠社ってどんな出版社?

「最近、インターネットで印刷や書籍関係のサイトを見てたら、『風詠社』いう出版社が格安出版と銘打って自費出版の宣伝をしてるんがよう目につくけど、あの出版社って大阪にあったんちゃうか? なんか、前におまえからこの出版社の名前聞いたことあるように思うんやけど……」

「せやせや。大阪環状線の福島駅近くにある出版社や。俺も1度作品を送って読んで見積もりをもろたことがある(→掲載ページ)。あんときは大手の出版社から小さな出版社まで数社をアトランダムに選んで見積もりをもろたんやけど、確かに格安というだけあって料金は結構安かった。
 
 それに、1度、俺、風詠社に行ったこともあるんや。暑い時期やったけど、福島県のAさんから出版の相談を受けてな(→掲載ページ)、俺の力量では、その相談に的確に答える自信がなかったんで、ほんで風詠社の大杉さんに相談にいった。事務所の中に入ったら、そんときは大杉さんお一人がたくさんの本に囲まれて仕事をしてはった。そうやなあ。50歳中ごろといった年齢で、結構恰幅もようて、どっしりと落ち着いてるいう感じやったな。どうやら、諷詠社は大杉さんお一人が切り盛りしている出版社のようやった。諷詠社のサイトを見たら、編集記者を勤めたあと、17年間、東京や関西の自費出版会社で経験を積んで、2008年に諷詠社を立ち上げたとある。まだ比較的若い出版社やな」


■ 諷詠社の特徴

「へえ、諷詠社にいったことあるんか。風詠社は他の自費出版会社と比較して、なんか際立った特徴でもあるんか?」

「風詠社のホームページを見てると、諷詠社の特徴・メリットとして、低コストであること、著者とのフェイスツウフェイスの関係を大切にしてること、本が売れたら著者に支払われる「売上還付金(=著者印税)」を高率(10%から50%)に設定していることなんかがあげられてるな」

「低コストとか著者との関係を大事にしたいなんてことは、多くの自費出版社がいうてるやろからあまり新味はないな。最後の売上還付金を10%から50%に設定してるいうんはどういうことなんやろ? やけに設定のパーセント幅が広いなァ。これで売上還付金が高率いえるんやろか?
 
「俺も諷詠社のホームページを読んでて、そこんとこが1番気になった。自費出版の費用には相場がないといわれてることは、おまえにも何回か説明したことがある(→掲載ページ)。同じ1つの物を買うのと違うて、自費出版本には1冊1冊に個性があるから、なかなか費用の比較ができないんや。
 
 せやから、自費出版会社のホームページを見ると、読者の誤解を避けるために料金表は記載せずに、仕様を明示してくれたら見積もりを作りますいうとこと、これは目安にすぎないいうことをはっきりさせて、典型的、一般的な自費出版本制作費用の料金を掲載するとこに分かれてる。
 
 諷詠社の場合は後者の例によってるけど、この見積表が結構詳細に作られてて、これを読んだら、諷詠社の料金体系がよくわかるようになってる。売上還付金の幅が10%から50%と広いわけも書いてある」

「ふーん。けど、売上還付金いういいかたはあんまり聞かんけどな。これって、本が売れたときに著者に支払われる印税のことやろ。なんで売上還付金なんていい方するんかな?」

「確かに本が売れたら著者に入る収入を印税いうけど、これは商業出版の場合に使う用語やな。出版会社が自らの費用で本を企画し出版して、ほんで売れた本の何%かを、一般的には10%程度いわれてるけど、著者に支払うのが印税や。自費出版の場合は商業出版とは違うて、自費出版本の制作に必要な費用は、著者自ら出すから、できあがった本の所有権も著者のものや。自分の本を書店やインターネットで売るんやから、本来、書店なんかに本を並べるために必要な費用を控除した残りの売上金は、全部著者のものになる(著者の収益→掲載ページ)。これは印税とはいわん。諷詠社はこれを売上還付金と呼んでるいうこっちゃな」

■ 10%から50%の売上還付金

「なるほど。それはわかったけど、その売上還元金が10%から50%と、相当に幅広く設定されてるんはなんでやのん?」

「自費出版本は一般書店やインターネット書店に並べてもなかなか売れんけど、内容次第では売れる場合もある。売れる、売れんの判断は難しいけど、風詠社の見積もりの例を見てると、風詠社側で一定部数売れると判断した場合には、制作費用について共同出版割引を適用し一般の場合より安く抑える。その変わりに売上還元金の率を低くしてるんや。つまり、売れると判断できれば、制作費用は諷詠社側でも一定負担するけど、その場合は売れたときの著者の見入りもすくなくなりまっせというこっちゃな。
 ホームページにはこんな具体例が載ってる。

出版形態 書  名 発行部数  売上還元金    制作費用
注文配本   詩集○○  200    50%      301,770円
注文配本 小説○○  200   50%  712,740円
委託配本 エッセイ○○  500   30%  576,030円
委託配本 ドキュメンタリー○○ 1000   10%  500,000円 (注①)
委託配本 旅行記○○ 1000   20% 1,000,000円(注②)
  注①②・・・共同出版割引適用後の金額
  ※ 注文配本は書店陳列なし。注文にのみ応じる。
 

 上の表は、自費出版本の具体的な制作内容をかなり省略してるんで、興味のある人は諷詠社のホームページを見てほしいけど、ここで注目したいんは、売上還付金の割合や。

 例えば、注文配本の詩集○○や小説○○は売れる見込みがかなり低い。そこで、自費出版の制作費用は全額著者持ちやが、売れた場合は50%を著者に還付するとしてる。

 大体、書店に配本して自費出版本を販売すれば、取次や書店が定価の32%程度の手数料を取るから、出版会社に入る収入は68%程度となる。これを出版社と著者が18%対50%で分け合うんやな。

 これが、ドキュメンタリー○○や旅行記○○のように、諷詠社で売れる見込みがあると判断すれば、制作費用に共同出版割引を適用して著者の負担を軽くする。その代わり、売れた場合の著者の取り分も少なくなる。上の例であえば、旅行記○○の場合、諷詠社側がかなり売れる見込みがあると判断すれば、制作費用としては125万円はほしいとこやけど共同出版割引で著者の負担は100万円に抑えるかわりに、売れた場合の売上還付金も20%しか払えません、いう寸法になってる。

 俺は寡聞にして、こういう手法で自費出版を取り扱ってる出版社を、諷詠社以外には知らんけど、これは一定合理性のある考え方やと思うで。
 ま、そんなわけで、売上還付金が10%から50%までと広く設定されてるんや」


「なるほど、そういうことか。けど、ドキュメンタリー○○の例をみたら、著者は制作費用を500000万円出しながら、売上還付金は10%になってる。一般の商業出版の場合でも著者に入る印税は10%程度なんやったら、この10%の売上還付金は少なすぎるんとちゃうか?」

「俺もその点は同感やな。この例では、共同出版割引適用前やったら、857000円になってるから、著者が負担するんは、全体の制作費用857000円のうち50万円いうことになる。それで売上還付金が印税と一緒の率いうんはちょっと間尺に合わんともいえんことはない。いずれにしろ、これらの見積もりの例もあくまで1つの典型例やから、作品の内容と仕様を示して具体的に見積もってもらうしかないやろ。
 
 諷詠社は自費出版会社の中でも、私家本なんかの書店流通を前提としない自費出版より、書店流通を前提にした自費出版を得意とする出版社やと思う。せやから編集についても売れる本の編集を目指して著者に協力してくれるといえるやろ。そういう意味では、自分の作品を出版しその本を書店にも並べて世に問いたいと考えてる著者であれば、1度、詳しく問い合わせてみる価値のある出版社やと思うで」

■ 風営社の本

「諷詠社のホームページで他に気づいた点は何かある?」

「ホームページ上に新刊本紹介コーナーがある。このコーナーには新刊本1冊1冊に丁寧な紹介文がついてる。これは多分、大杉さんご本人の筆によるもんやと俺は思てるけど、いずれの紹介文も、是非その本を読んでみたいなと思わせる内容になってて、大杉さんの本への思い入れがようわかるわ。ホンマに本が好きなんやろな」

「それこそ編集者としてなにより大切なことやな」

■ 広告宣伝費用の転嫁

「ホームページの記載で、ホンマかな? と思うんは、諷詠社の3つの特徴のひとつとして上げられてる、低コストの記載中の『当社は、原稿募集のための新聞広告や雑誌広告を行っていませんので、広告宣伝費用を自費出版費用に転嫁することはありません』いう記載やな。おまえが最初にいうたように、このごろ、いろんなサイトで風詠社の宣伝を見かける。まさか、この宣伝が無料いうことはないやろ。かなりの費用がかかってるんやないか。せやったら、この記載はやや問題やで。

 それに、俺は諷詠社の宣伝文句の中で、自ら自身の出版を『格安』と表現するんはどんなもんやろ思てる。ちゃんとした出版物を作ってる自負があるんやったら、自らを格安出版とはいってほしくはないなァ」

■ 諷詠社の電子出版

「それはお前の個人的意見として聞いとくけど、風詠社は電子出版もしてるみたいやな」

「神戸に小野高速印刷株式会社いう印刷会社があって、その会社が『Book Way』いう電子出版プラットフォームを開設してる。Book Wayは出版会社なんかの法人会員も募ってるから、風詠社もBook Wayの法人会員になって、その軒下を借りて電子出版してるというわけやな。

 Book Wayは電子出版と合わせてオンデマンド出版も手がけてるちょっとユニークな電子出版プラットフォームや。当然、個人でも電子出版ができて、その電子出版をBook Wayが手助けしてくれる。せやから、自費出版本の電子出版を考えるんやったら、直接、Book Wayから電子出版する方が、ちょっと手間はかかるけど、風詠社に中間マージンを支払わんですむ分、安くつく。ま、風詠社を通して電子出版するか、直、Book Wayから電子出版するかは、費用と手間を天秤にかけながら考えるしかないやろな。
 
 とにかく、諷詠社はまだ比較的若い出版社やけど、ホームページからは自費出版への熱意が伝わってくる。これからどんどん著者に寄り添っていい自費出版本を発行して欲しいと思うよ」


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