赤の体の成長は他の子と変わらず、3ヵ月で首が座り、いつの間にかハイハイしてた。

テーブルの下に置いておいた新聞めがけて勢いよくはっていたのが最初のハイハイ。なぜに新聞(゜д゜;)

 

赤が6か月の時、母の運転で赤と旦那と買い物に行った。

ちょっと遠いスーパー。

慣れない道だったのもあって緊張もしてたのか、途中、ガソリンを入れて走り始めた時に変な汗が出るような緊張感に襲われた。頭の中が熱い。体中も熱い。手が緊張で汗ばんでる。動悸と呼吸が苦しくなり、上手く息が吸えない。

 

「逃げ出したい」

 

横道に入って少しでいいから休みたい。

 

でも、後部座席に座ってた旦那に母の変化はわからなかった。

具合が悪いと言っても聞き入れてもらえなかった。

この日の買い物は旦那のスーツ。

 

このまま運転できないと判断して、旦那に他の日に行こうと言ったが断られて、そのまま行く事になった。

 

ラジオがついていて、中島みゆき特集だったのを覚えている。

 

必死に歌に合わせて口ずさみながら、余計な事(苦しいとか)は考えないようにしてたけど、呼吸は苦しい、心臓は激しく打っている。息が上手く吸う事も吐くことも出来なくなっていた。

 

「死ぬんじゃないか?」そう思うくらい呼吸の仕方が分からなくなってた。

 

それから「このまま気が狂うんじゃないか」という不安に襲われた。

 

「死」より「狂う」の方が怖かった。

これは今でも変わらない。

 

必死で車を運転して、大型スーパーについた。

旦那はスーツを見に、母は赤を抱いて出入り口の近くから動けなかった。

旦那がスーツを見に行ってる間も不安で汗と震えが止まらなかった。

呼吸も上手く出来ないまま。

 

時間が凄く長く感じた。

帰りも運転は母。

とにかく早く帰りたかった。

自分の体に何が起こってるのかもわからず、焦って事故らないようにと頭の中で「吸って。吐いて。」と繰り返していた。普段、考えなくても自然にできる呼吸が全くできず、その時は、頭の中で吸うと吐くを何回も繰り返して考えながらアパートに戻ってきた。

 

こんな時、嘘のようだけど嫌な事実をTVで見てしまった。

旦那がニュースを見ている時に、その日の特集が「不安神経症」だった。

再現VTRでさっきまでの自分と同じような状態の画が流れた。

女性が車の運転中に呼吸が出来なくなって、助手席に座っていたお母さんが声をかけているところ。

 

車の運転中、呼吸困難、死ぬかもしれない恐怖感・・・

 

全てがついさっきまでの自分と重なって、母はこの病気なんだとはっきりしてしまった。