ええ、そうですとも、ムーチョですとも(笑)
今日は、公立高校の後期選抜です。ここ神奈川では、来年からは「後期選抜」という言葉そのものが無くなります。うちの娘も含め、塾生たちが最後の後期選抜に挑んでいます。
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「先生。それ、この前やった」ワナの完結編です。
(今までの記事は、一番下の同じテーマの最新記事からどうぞ)
我々は、一度見たり聞いたりしたことをもう一度聞くと、「ああ、もうそれ知ってる」という心理が働いて、それ以上吸収する気力をイッキに失ってしまいます。
これが、我々の成長を妨げる最大の原因となります。
人の話を聞いているとき、ついつい「ああ、もうそれ知ってるし…」と、思ってしまいませんか?
私は思ってしまいます。
もう、そう思った瞬間、私の脳は、それ以上働かなくなり、更に深く理解することができなくなってしまうのです。
そして、次から次へと新しいことを追い求め、結局はどれもモノにならない、という悲劇が起こります。
本を手当たり次第に読んだり、セミナーに片っ端から出ても、何も変わらない人などは、その典型でしょう。
必要なものはすでに手元にそろっているのに、それを吸収しないうちに新しいものに手を出したって、進歩するはずは無いのです(ああ、それは私のことです)。
でも、このような思考の悪習慣は、ちょっとした工夫で改善することができます。
どうすればいいと思いますか?
一つには、強引なやり方があります。
「ああ、それ知ってる」と思った瞬間、「いや、きっと知らない」と、無理やり訂正する、という方法。
でも、この方法では、たいていの人はうまく行きません。
なぜか。
だって、人は、本音では「すでに知ってる」と思いたいんです。
その本音に真っ向から立ち向かっていい子ぶっても、玉砕するのがオチです。
だから、次のような方法が私はいいと思います。
「ああ、それ知ってる」と思った瞬間、「ああ、知ってるね。でも、よく聞けばもっと新しい発見があるよ」と、自分に言い聞かせる、という方法です。
同じ本をもう一度読むと、最初に読んだ時には気づかなかった新たな発見がありますよね?
それと同じです。
これなら、「すでに知ってる」と思いたい自分のエゴも満たしつつ、前に進むことができます。
これを心がけるだけで、本を読んだり、セミナーを見たりするだけでなく、日常のあらゆる場面での学びが倍増するはずです。
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さて。最後に、話を元に戻しましょう。
もともとは学校の授業の一場面から始まりました。そこから、話があらぬ方向へ発展してしまいました。
「先生。それ、この前やった」と、生徒に言われた先生は、「おお。すまん、すまん」と謝って授業をやり直しますが、せっかくの機会なんだから、私はもうちょっとイキなことをしてほしいと思います。
例えば、
「そう思うだろ?だけど、本当にそうかな?違うところはないか、よーく聞いてごらん?」
と言って注意を喚起しながらもうちょっと続ける、とか、
「おお。よく覚えてるな。じゃあ、この続きを誰か言える人?」
と言って、生徒に授業をさせる、とか
「じゃあ、この前とちょっと違うことをわざと言うから、気づいた人は手を上げて」
と言って間違い探しゲームを始める、とか…。
このように、復習を促すいい機会として、逆に利用してしまう、というのはどうでしょうか?
教える側の人間としては、一度やったくらいでほとんどの生徒が理解しているなんてことはまずない、ということを、常に肝に銘じたいものです。
(おわり)