保守的な発想でこの世を眺めると、
見えなかったものが見えてくる。
もともと、”そこ”にあるのに見ようとしてこなかったものだ。

その中で最も大きなもののひとつは、
生まれ変わりという概念だ。
日本人は希薄な宗教の中にいるように見えているが、
実は「生まれ変わり」という宗教は、
どうしようもなく、私たちすべての人々の心にこびりついている。

仏教由来だとは思う。でも、その前の神道的な風土から
おそらくは生まれ変わりの土台はあったと思う。

あまりにも長い間、おそらくは此の地に
ヒトが住み着いた頃からの長きにわたって、
それは私たちの心にこびりついたのだ。

保守的な文化であれ、革新的な文化であれ、
現在の文化は、あまりにイデオロギーの押し付けが強い。
イデオロギーを隠した形で、
イデオロギーを押し付けてくる。

そういう啓蒙は、人々をある一時期惑わすことができても、
こびりついているような文化にはまったく歯が立たない。
100の啓蒙をしても、結局は何も残らないのだ。

私たちの本質は、大衆のしずくの中に、
ひっそりと、しかし強くある。