長距離トラックの運転をしている人との同棲生活。
私もまだ、同じ会社にいた。
この期に及んでも、彼氏という言葉は、使わなかったし、言わなかった。
同棲・・・というよりは、同居人、そう、私の頭の中では思っていたに違いない。
週に2、3度しか帰ってこない人との生活は、他の男もいたから、寂しさも紛らわせた。
もちろん、彼は、私のこと好きだった。
私のために、過去の写真を全て捨てて、私のためなら、何でもしてくれた。
私のワガママも聞いてくれた。
彼は、私の心が、自分にないこと、知っていた。
それでも、精一杯彼なりに、私を愛してくれたんだろう・・・
エッチはした。でも、キスはどうしてもできなかった。
そんな私の態度からも、わかってたんだろう・・・
夜中に目が覚めると、彼がぼんやりと座ったまま、涙を流している光景を何度も見た。
そんな光景を見ても、私の心は、バリアを張ったままだった。
なんて、ひどい女だったんだろう・・・
だからといって、他の男に心があったわけでもない。
満足できない日常の中で、私自身も、自分をどう扱ったらいいのか、それさえも、わからずにいたに違いない。
何か違う、何か違う・・・と、その何かを見つけることができないでいた・・・
そんなとき、母がススキノで店をやるので手伝ってくれないかと言われた、というより、母のことだから、命令であった。
昼の仕事が終わってから、毎日じゃないけど、マイカーでススキノまで、通った。
族車も、走ってるだけで、警察に止められるようになったので、1年半乗って、普通の車に乗り換えた。
元々、お酒はそんなに飲める方じゃなかったから、飲まないで車で通勤は全然苦じゃなかった。
彼も毎日帰ってくるわけじゃないし、心配は、いろいろとしただろうけど、反対するわけでもなかった。
ホステスは嫌いだったはずなのに、なんだか、ものすごく楽しくて、そこに自分の居場所を感じるようになった。
毎日店に出たくなった。
昼の仕事ととの両立は、難しくなり、昼の仕事を辞めることにした。
彼との接点は、同居だけになった。
すれ違うことが多くなった・・・
昼間はお客さんと会ったり、ゴルフしたり、男友達と出かけたり、夜は仕事。
朝方仕事から帰ってくると、起きて私を待っている彼がいた。
彼は、私を求めてくるけど、もうしてきたあとだったりして、そんな気にはなれなかった・・・
全く彼のことが眼中になかったのか・・・
そんな中、彼が半年間東京に出張に行くことになった。
全然平気だと思っていた。
仕事も楽しかったし、男もいっぱいいたし、ただ、彼が少しの間いなくなって、私は、家で寝るだけ。
彼は、毎日のように電話をくれていた。でも、ほとんど家にいない私。
まだ、携帯電話もない時代、電話で話をすることも、あんまりなかった。
やっとつながった電話で、彼が言った。
「毎日何回も電話してもいないけど、家に帰ってないのか?男の家に泊ってるのか?」
「うん」
「お前は、誰かがいつもそばにいないとダメな奴だから、俺が出張なんて行ったら、お前はいなくなると思ってたんだ・・・
でも、なんとなくお前を信じてた俺がいて・・・でも、やっぱりダメだったか・・・」
そう言って、電話の向こうで彼が泣いていた。
その時の私は、なんとも思わなかった。
今思い出すと、ホントに涙が出るような言葉だった。
彼は、本当に私だけを見つめていたから、私のことは何でもわかっていたし、わかっていながら、見守っていてくれた。
本当に面倒見のいい、素直でいい人だった。
ここにも、私のことを真剣に愛してくれた人がいて、傷つけてしまった。
どうしてその時に気がつかなかったんだろう・・・