武蔵流十字手裏剣
手裏剣は流派により特徴があります。
武蔵流には数種の形をした手裏剣がありますが、
武蔵流十字手裏剣は下の写真の通りです。
製法は細かな工夫がされていますが、大きな特徴は
二枚の板を接合させ作っています。
写真の物はかしめて接合してあります。
おなじみの折り紙手裏剣とおなじですね。
武蔵流では戦う事は最後の手段になります。
よって十字手裏剣も武器として使うことは稀で、
石垣や木、壁をよじ登る、戸板を外す、地面を掘る、
畳返しといった様々な用途に使う道具です。
主要目的は忍びの万能道具ですが、戦闘で使うこともあります。
一般的には戦闘法がクローズアップされるので、武蔵流の戦闘法を
紹介したいと思います。
武蔵流の体術には打撃を主とする拳法と組技を主とする柔術があります。
拳法では独特の拳の握りかたをします。この握りは十字手裏剣を持つと突き、
振り落とし、振り上げ、引き戻しの四方向へ攻撃できます。
また、武蔵流では別名がありますが通称マロホシといわれる武器があります。
このマロホシと同様に扱う事もできます。
下の写真のように接合部を可動式にしている十字手裏剣もあります。
マロホシは剣や短刀などの武器捕りや柔術として関節を極めたりします。
そして、最後に投擲(打つ、投げる)方法があります。
貴重な万能道具なので、打つのは最後の手段です。
道具としての使用法が8割ぐらいで、武器としては2割。
その2割のなかでも握って使用するのが大半と考えて良いでしょう。
そうすると、十字手裏剣を打つのは使用頻度的には数%以下でしょう。
数%でも使うことがあれば鍛練する。
忍者とは忍耐強くないと務まらないのではないでしょうか。
そして、敵を前に十字手裏剣を投擲としてではなく、手放す事ができれば、
「空」を体得した時でしょう。
by 和近