I-1-3 品質管理の統計的手法に関する次の記述のうち，最も不適切なものはどれか。
①管理図の管理限界は，製品の規格が定められている場合，規格値に設定すべきである。
②工程能力指数の値は，品質特性の測定値のばらつきが小さいほど大きい。
③工程能力指数の値から工程能力は十分であると判定できる場合に，検査の簡略化が行われることがある。
④抜取検査は，合格ロットの中にある程度の不適合品の混入があることを許容できる場合に用いる。
⑤抜取検査を行う場合に満たすべき条件の1つは，ロットからサンプルをランダムに抜き取ることができることである。
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このあたりは得意分野です。
①管理図の管理限界には、いわゆる3σ法によって設定する場合と、いわゆる工程能力図として規格の範囲によって設定する場合があります。
コンクリートでいうとスランプや空気量は規格範囲が定められているので前者は±2.5cmを、後者は±1.5%を設定します。
一方で強度管理図においては規格範囲の定めはなく、下限値のみとなっており、その場合、標準偏差や移動範囲をもとに管理限界線を定める事となります。
工程能力図の場合、規格値があることからそれらを上下限値とするのが一般ですが、「すべきである」とする必要はなく、それよりも厳しい範囲とする事も全然ありです。
②工程能力指数は、数字が大きくなるほど成績が良いことを表します。ばらつきが小さい=工程としては優秀、ということになるのでばらつきが小さいほど工程能力指数の値は大きくなります。
なお、計算方法は、(上限値-下限値)/(6×σ)もしくは、(上限値-平均値)/(3×σ)であり、いずれもσ(標準偏差=ばらつき)が関連することからも本問は適当と言えます。
③工程能力指数は一般に1以上が良いといえますが、これが1.33を超えてくると、工程管理が過剰に行われていると判断されることから工程管理の簡略化も検討することができます。
④コンクリートにおいても抜取検査ですが、不良率を見込んでいます。抜取検査ではどうしても不良品が存在する可能性を排除できないことから、不良率を許容できる場合に適用されます。これが許容できない場合は全数検査となります。全数検査は不良があってはならないもの、例えば自動車のブレーキやエアバックなどが該当します。
⑤抜取検査の場合はロットを設定し、そのロットからランダムサンプリングすることが基本です。このランダムサンプリングが重要で、人間の意識が働いてしまうと、それはランダムサンプリングとはならず、一定の傾向が出てしまう、ということになります。
例えばコンクリートでいうと1ロットを450m3と設定し、150毎に1回のサンプリングを実施することになっていますが、これを予め定めた台数で(例えば1台目とか)実施してしまうとそれはランダムサンプリングとは言えず、ロットを代表する試料とならない可能性があります。
よって、①が不適当となります。
こんな問題ばかり出れば楽勝なんですが笑
…モリマサノblog…
この記事を書いた人
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