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タマ美は、高校1年生になった。

高校は、地元でも1、2を争う進学校だった。

中学のときの成績はいつも良かったので、タマ美はここでも頑張ったらすぐ一番になれるわ、と思って意気揚々としていた。

しかし実際に高校に入ってみると、さすがに各中学のトップばかりが集まっている。

自分よりも優秀なクラスメイトばかりで、タマ美は正直、参っていた。

でも、進学校に入れたことで、パパもママも大喜びしてくれた。

その顔を思い出すと、タマ美は「もっと頑張らなきゃ」と思った。












その頃家では、パパとママの関係は悪化していた。

パパが家にいるときはきまって口論が始まったし、だんだんとそれを避けるようにしていつも帰りが遅くなり、出張も増えていた。

どうやら、タマ美が中学のときにママが友達と電話で話していた、うわきが続いているらしかった。

ママはその頃から、暗い顔をしてため息をつくことが多くなっていた。

イライラしていることも、多くなった。













タマ美は中学のときから、いい成績のときはママがあの優しい笑顔を見せてくれるのが嬉しくて、苦手な科目にも必死で取り組んだ。

大学も、国立のいいところに行って、ママを喜ばせてあげたかった。













そんなある日、パパとママが大事な話があると、タマ美とタマ吉君をリビングへ呼んだ。

パパ「大事な話があるんだ。パパとママがは、いろいろな理由があって、離婚することになった。来月からは、別々に暮らすことになった。パパとママ、どっちと一緒に暮らすかは、お前たちが決めなさい。」

ママは、下を向いて、静かに泣いていた。

タマ美も、タマ吉君も、どうして良いのかわからなかった。












翌週、家族四人でまた話し合うことになり、タマ美はどちらと暮らすか、もう決めていた。

タマ美「わたしは、ママと暮らすわ。タマ吉君は、どうするの?」

タマ吉君「ぼくは」

タマ吉君はモゴモゴ言いながら、

「ぼくはパパと暮らすよ。」とボソッと言った。










翌月からパパと弟のタマ吉君は、隣町の新しいマンションへ引っ越していった。

幸い、タマ吉君の転校はせずに済んだ。

今まで暮らしていた家は、もともとママが小さいときから住んでいた家を改装して住んでいたので、ひきつづきママとタマ美はそこへ暮らすことになった。










そして、ママと二人暮らしが始まった。

今まで四人で暮らしていた家に二人だけになったことで、タマ美は急に大きな寂しさが押し寄せてくるような感じがした。

パパは大きな会社に勤めていたこともあり、生活するお金は毎月ママに渡していた。

でも、これからタマ美の進学もあるからと、ママは働き口を探していた。













タマ美は、「わたしにできることってなんだろう」と、考えていた。

そんなとき、おじいちゃんに言われた言葉を思い出した。

「勉強は学生の仕事。」

タマ美はそれを思い出し、こう思った。

タマ美「いい成績だったら、ママだってきっとまた笑顔になる。わたしがしっかりして、ママを守らなきゃ。しっかりしてわたしができるのは、いい大学に入って、いい会社に就職することよ。」

そうしてまた、自分を奮い立たせた。





To be continued...


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