気がついたら3時間!〜第3回自分ごと化会議in松江の報告です〜 | 自分ごと化会議in松江〜自然エネルギーってどげかね?〜

自分ごと化会議in松江〜自然エネルギーってどげかね?〜

本ブログは「自分ごと化会議in松江」の活動記録です。
第1期(2018年度)は、『原発を自分ごと化する』をテーマに、無作為に選ばれた松江市民と議論しました。
現在、第2期が来年2月からの実施を目指し、動き始めています。今回は『自然エネルギー』をテーマに開催します。

午前中の原発見学から会場入り。

 

見学に行かず残ってくれたスタッフが会場設営を始めてくれていました。

ありがたいおねがい

 

こんな感じでわちゃわちゃと準備をしています。

 

老若男女もうち解けてきています。

第3回自分ごと化会議in松江は、

会議参加者17名

傍聴者44名

メディア関係者9名

の参加でした。

今回も、

元東京電力社長の南さん(メッセージをいただいています)や、茨城県つくば市の市議さんら4名など、

島根県の内外から傍聴にきていただきました。

第1回から欠かさず参加していただいている方もいて、

スタッフ以外にも、この会議の証人がいることを本当に嬉しく思います。

今回は会場も狭く、会議参加者さん同士もぎゅっと詰まった感じです。

お隣同士で談笑されることも増えて、

仲良くなっている感じがとても良いですおねがい

 

4回目が終わったあとも「OB・OG会やりたい!」という声もあるとか。

もう感動しかありません。

 

コーディネーター伊藤さんの第2回の振り返りから始まりました。

 

まず、第2回の論点整理。

大まかに4つありました。

 

1 経済効果

2 核のゴミの処分の問題

3 再生可能エネルギーのリスク

4 中長期的な生活と原発

 

上のような議論を踏まえて、会議参加者さんに書いていただいた改善提案シートの結果報告。

前回、苦労して書いておられる姿もありました。

こんなのを書いてもらっています下矢印

それをまとめた結果です。

 

「現状の課題」大きく分類して、この5つ。

1 関心・理解・情報共有

   ① 原発が必要なのか、必要でないのか判断できない

   ② 原発について関心がない

   ③ 国内外の原子力の動きを知らない

   ④ 原発があることによる経済効果を理解できていない

   ⑤ 原発が市民の理解を得られていない

   ⑥ 世代間で認識の違いがある

 

2 原発の今後について

   ① 原発がなくなった後をイメージできない

   ② 将来の松江の街を考えられない

   ③ 行政のエネルギー政策が明確になっていない

 

3 原発の代替エネルギー

   ① 原発だけでなく他の発電方法のメリット・デメリットを知らない

   ② 原発の代替エネルギーが発達していない

   ③ 自然・再生可能エネルギーがまだ普及していない

   ④ 効率的なエネルギーの備蓄方法が開発できていない

 

​​​4 災害時の対応

   ① 避難計画・経路が周知されていない

   ② 災害等で原発が壊れた場合の被害がわからない

 

5 最終処分場

   ① 放射性廃棄物の最終処分場が決まっていない

 

というような課題について、それぞれ改善提案をしています。

 

一例はこちらです。

当日資料としてお配りした「改善提案シート」記載内容 中間とりまとめから引用しています。

個人的にお気に入りの改善提案は、

 

「自分ごと化」って具体的にどういう風にするのか?自分に引き寄せて考えやすいなぁと思いました。

 

改善提案シート中間取りまとめの説明の後、

福嶋浩彦共同代表とアドバイザーの木村謙仁さんから

第3回参考資料の説明がありました。

50年後の松江での暮らしを考えるための材料ですね。

 

まず福嶋さんから、

松江市将来推計人口について

これは社人研(国立社会保障・人口問題研究所)の試算です。

出生率は2030年には1.46

社会移動(転入・転出)が2040年で落ち着くと仮定しています。

その条件だと2060年には松江市の人口は約13万人という試算です。

 

それに対して、松江市は子育て政策などによる出生率増加と

雇用の創出による社会増で18万人を維持するという方針です。

ただし、松江市が行政として出生率をそこまで上げられる根拠はありません

 

人口減対策は、人口を増やしてまちをを維持するという考えと、

人口が減っても持続可能な仕組みに変えるという選択肢もある。

 

というお話でした。

 

続いて、

日本エネルギー経済研究所 戦略研究ユニット 原子力グループ 木村謙仁さんから

諸外国の原子力政策動向についてです。

世界的には必ずしも脱原発ということではない。

2014年以降、世界の原子力発電設備容量は増えている。

特に中国の伸びが大きい。

 

福島の事故を見てもなお、将来的に原子力を使おうという国が右上のグループ。

台湾は最近の国民投票で、2015年に閉鎖を決めた法律を撤廃。

ドイツでは原子力に関しては結論が出ているが、現在は石炭火力をいつやめるかについて議論されている。

どこの国も性急な変化を嫌う傾向にある。

 

小型モジュール炉が、

建設工期が伸びにくい、

問題があれば自動的に反応が止まる、

地面より低いところにあって飛行機衝突などの場合、安全性が高い、

大型の原子炉が作れないところにも作ることができる、

などのメリットから注目されている。

 

これらの国々と国際協力&国際競争の場で渡り合っていかなければならない。

その中で、

なんとなく悪そうだから原子力はやめようとか、

ドイツの例だけを引き合いに、世界的に原子力をやめる方向だからやめようというような、

信のない政策をたてては、国際社会では日本の言うことに耳を傾けなくなる。

どういう方向に行くにしても自分たちの国が置かれた状況をよく考えて、

ちゃんとした信念のある政策をたてていくことが重要。

 

木村さんのお話はかなり衝撃的な内容でしたが、

世界の原子力利用の現状について最新の知見を知ることができました。

 

ここで一旦休憩を挟んで、

いよいよ全体協議に移ります。

 

まず木村さんのお話に関する質問から。

 

Q:原発輸出について

 

A:日本は原発輸出をビジネスチャンスと捉えている。

  コスト問題の解決と安全性の提供は大事。

  企業間協力など現実的な戦略も必要。

  国内で脱原発方針でも韓国などは輸出の方針。

  お金儲けだけでなく温暖化対策やエネルギーセキュリティを必要とする国への国際貢献という一面もある。

  新規建設の輸出は難しいかも。

 

 

原発見学の感想としては、

・巨大な産業だと思った。だから原発事業からなかなか引けないのか。

・図で説明されるより現物を見て仕組みがよくわかった。あれだけ大きなものをやめるのは返ってコスト高かも。

 少し感化された。

・地域と一緒に歩んでいこうという姿勢が見られた。テクノロジーが集結されてすごかった。

 たくさんの安全装置が機能しなかったらどういう事態なるか?という質問に答えてもらえなかった。

 このテクノロジーをなんとか転用できないか?

・感化された。

 揺れが気になって免震のことを聞いてみた。ちゃんと考えてあるんだなぁと。

 将来ピラミッドのようにしたらいい。

・危ないと思っていたが意外と安全対策はきちんとしてあった。

・代替エネルギーの開発は思ったより難しそう。

・とても大きくて人間に管理できるのか?

 

協議は、

あるから使おうとか危ないからやめようという視点でなく、

未来のエネルギーをどうするか?を考えることで今を考えるという方向性で進んでいきます。

 

・想定外の事故や廃棄物のことを考えると原発頼みのまちづくりは徐々にやめた方がいい。

・蓄電の技術開発で、地域循環型のエネルギーへ。

 AIが入ると使用電力が減るので50年後には原発はなくてもよくなる。

・50年前はよく停電してた。不自由だったが不幸ではなかった。電気が足りないから不幸じゃない。

 便利さは求めてもキリがない。命や松江がなくなることと引き換えにできない。

・便利さを求めるより、自分の幸せを考えると原発はなくてもいい。

・昔の人の懸念を思い起こすと、孫の心に潤いがあるような社会に。

・50年後、機械の助けを借りて生きてる人にとって停電は重大な事故になる。

・ロボット化やAI化が進み電力の需要は増えている可能性がある。

・100年後温暖化対策の効果が出ることを考えると原子力もありでは。

・豊かさとは効率がいいことか?

 Softbankの通信障害を経験して、困った時に自分たちで考えられるようにならないと。

・物事に表裏があるように、不便さにも常に構えて置く必要がある。

・50年後は原発はないだろう。

 今は何もないけど幸せ。加齢とともに電力を多く使うようになっているのでどうにかしないと。

 研究者には豊かな自然を利用して、原発の代わりを開発する方向に行って欲しい。

 漁業や農業の産業振興で今原発で働いている人分の雇用を。

・利便性の追求が電力の消費ではないと思う。

 家電もソーラーにして各家庭で電力を作るイノベーションが起こる。

・大山は1000万年前に隆起してできた。地下300mの地層は廃棄物が無害化するまで果たして地下のままか?

・今より何もかも楽になっている。

 情報処理など機械が働くことが増えて電気需要は増えている。

 原発は怖いのでなくなって欲しいが、原発と再生エネルギーで賄っているのでは。

・50年後は各家庭で電気が自給自足できているのでは。

・我が家は災害時の自己消費ができるようになっている。

 

 

議論の途中で出てきた疑問について、木村さんが解説してくださいました

Q:核廃棄物の処分の問題を世界ではどう考えているか?

A:世界では、地層処分の安全性については結論づいている。

  フィンランドでは「今まで恩恵を受けてきたので、廃棄物を受け入れるのは当然」

  というシンプルな考えで地元合意が取れている。

  地殻変動という面では、日本は厳しい。

 

Q:蓄電の将来的な可能性について

A:再生可能エネルギーと蓄電の技術を組み合わせて、小規模エリアでは地産地消するという試みもある。

  蓄エネルギーの技術や電力需要も発電のパターンに合わせるということなども検討されている。

  風力発電に蓄電池を組み合わせるということは既にある。

 

伊藤さんは、出てきた意見をボードにまとめながら会議を進めていきます。

 

最後に伊藤さんのまとめとして、

「孫の世代に残したい未来について、

 自分の思うことと社会の動きとは乖離はあるかもしれないが、

 少なくとも自分たちはこうしたいから入ることが、

 偉い人ではなく、自分たちのことは自分たちで決めるにつながるのではないか?」

というお話から、改善提案シートへの記入が促されました。

 

議論を経てより自分ごとになった会議参加者さんたちの改善提案が楽しみです!

 

前回のアンケートで事務局の意見も聞きたいという要望があったらしく、

急遽3人の共同代表が意見を表明しました。

 

伊藤さんの無茶振りに慌てる毎熊さん

「最後は、こういう世界にしたいという『決意』だと思う」

 

50年後は82歳の大谷さん

「地域循環型でリスクのない社会に暮らしていたい」

 

やっと自分の意見が言える福嶋さん

「人口が減っても上手く小さい仕組みにして質を高めて、松江市民が幸せに豊かに暮らしていけたらいいと思う」

 

今日の議論で一番盛り上がったところは、

「原発1基分の電気を太陽光発電で賄うには宍道湖全面のパネルが必要」

「宍道湖ではなく、松江市の家の屋根全部にパネルを設置したらいいのでは?」

「松江市の屋根全部では、宍道湖4分の1にしかならない。道路まで含めて全部使うくらいの覚悟が必要」

 

原発1基分の発電量がどれくらいの太陽光パネルに匹敵するのかは検証が必要ですが、

様々な職業や知識を持った方が集まっていて、

互いにアドバイザー的な役割を果たして議論が進んでいく様子に、

なんてレベルが高いんだろうと感心してしまいました。

 

自分の身に起きたじんましんを例えにしたり、

外回りの仕事中に周りの人と50年後の暮らしについて考えたり、

ああぁ普通の市民の議論って、みんなの気持ちの中にすっと入ってくるなぁと感じました。

 

そして会議への参加を通して、

会議参加者さんに明らかな変化が!

 

「怖くて見れなかった原発のニュースが見れるようになった。」

「松江市の議事録を読んでみた。」

 

ここからより松江市のことを自分ごと化していかれるのだと思います。

 

今回、この言葉が胸に刺さりました。

「頭のいい人に丸投げしていては私たちの意見は反映されない」

 

今や議会すらAIに丸投げしようという動きもありますが、

地に足のついた暮らしの中で、

「自分はどう生きたいか?」を軸に様々な社会の課題を自分ごととして考え、

さらに社会を変えるための行動に自分なりに移していく。

 

人間が「考える葦」であり続けることが、

「みんなが納得感のある豊かな暮らし」を作ることにつながるのだと思いました。

 

会議終了後、アドバイザーの木村さんから

「気がついたら3時間経っていた。濃密な時間でした。」という感想をいただきました。

同じ場所にいたみんながそう感じたのではないでしょうか?

むしろまだ話し足りないくらい?

 

福嶋さんの最後のあいさつにもあったように、

実行委員会の予想をはるかに超えるいい議論を、

ちゃんと世間に伝えていくという実行委員会の責任は重いです。

 

クラウドファンディングのリターンにもなっている「詳細レポート」にも、

きちんと記録したいと思います!

 

いよいよ最後となる第4回自分ごと化会議in松江は、

2月24日(日)13:30〜16:30

松江市市民活動センター(STIC)市民交流ホールにて

 

皆さんの意見はちゃんと集約されるのか?

最後の議論をぜひ傍聴にいらしてください。

 

 

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