私は”人間”というものに否定的な感情を持っていました。
他の生物を思いのままに支配し、自然を破壊していることが、悪としか思えませんでした。
そしてそれは自分自身をも否定することに繋がりました。
むしろ自分自身を否定する気持ちが先にあって、それが、人間の暗部にばかり目を向けさせていたのかもしれません。
先日高速道路を長距離運転する機会があり、その壮大さに感銘を受け、これを作った”人間”というものがとても素晴らしいものだと思えました。
山間部を切り開き、谷には巨大な橋を架け、複雑なインターチェンジを構築。
10年前にはなかったところも道が繋がっている。
谷では100mもの高さの柱を何本も立てて、その上にたくさんの自動車や重機が通る舗装路を繋げていく。
その柱一つをとっても気が遠くなるほどたくさんの労力と技術力、そしてたくさんの人が関わっている。
高速道路で各地を繋ぐという夢を絵描いた人がいて、それを現実にするための技術を発展させ、設計をした人がいる。
しかしそれだけでも現実にはできない。
数え切れないほどたくさんの人の労力が、一つの方向に向かって、長い年月をかけてようやく完成する。
それをいうなら、新幹線もそうだし、高層ビルも。
自分の住んでいる家も、室内の家電や家具など便利なものたちも。
一人ではできない。
たくさんの人が同じ方向を向いて、継続して力を出し合って、作られたもの。
科学や技術もしかり。
私なんかは原理も何もわからないのに利用することができて助けられている。
そういったことをしみじみと感じました。