1月から読み始めた 山岡荘八「徳川家康」ですが、半年かけて全26巻を読み終えました。

山岡荘八がこの作品執筆に費やした年月は、17年と1ヶ月だそうですから、それに比べたら半年なんて屁みたいなもんかもしれませんが。

こんなに長い小説を読んだのは初めてです。実際、ギネスブックでは、ジュール・ロマン著「善意の人々」(1932年-1946年出版 全27巻)と並んで「世界最長の小説」として記録されているそうです。


山岡荘八の徳川家康を家康に対する好感度がいくらか上昇しました。

これまでの徳川家康に対しては、「腹黒い狸親父」というイメージが強かったです。さらに、私は司馬作品が大好きで、彼の作品はすべて読んだのですが、司馬作品で登場する家康はどうも陰気臭く、信長や秀吉が魅力的な武将として書かれる一方で、家康はどうも地味なんですね。

司馬氏は、徳川時代が270年続いた事で、三河人の性格、さらに言えば家康個人の性格が現在の日本人の特徴にまで影響を与えていると言います。戦国以前の日本人は、ガンガン海外に進出していたが、家康以降日本人は矮小化してしまった、とも述べています。



司馬作品に比べて、山岡荘八の「徳川家康」は、かなり「家康マンセー」な作品になっています。家康は、戦が無い世を実現しようと模索する、平和主義者と描かれています。この作品が書かれたのは戦後まもない昭和25年からなのですが、作者自身が戦争体験者のため、平和への願いをこの作品に託したといわれています。

NHKの大河ドラマなんかでも、どんな戦国武将を主人公にしたとしても「戦の無い世を作る為、云々」という台詞を吐く平和主義者という設定になりがちで、それに違和感を覚えることが多くあります。山岡作品における家康にも最初違和感を覚えたのですが、読んでいるうちに、家康は本当に人類の平和を考えていたのではないかと思うようになってきました。



この作品の特徴は、戦闘シーンの描写が少ない事。普通、戦国時代を扱う小説であれば、戦闘シーンがメインになりますが、この作品では戦争にいたるまでの過程を中心に描かれます。裏での取引、やり取り、政治的な動きなどなど。


そして、登場人物が多い。中国でこの小説が大流行したのも、三国志ばりに登場人物が多いということが1つの理由だと思います。主人公は家康ではありますが、魅力的な脇役を中心に据えて家康が全く出てこない部分も良くあります。また、人物の死の場面を詳しく描かない為(登場人物が多すぎるからかな)、いつの間にやら重要人物が死んでいるということもあります。


以下に、印象的な場面を挙げて見ます。全26巻を読みましたが、印象的な場面はすべて前半に集中しています。1-3巻くらいまでが一番おもしろかったかも。後半になって、家康がおじさんになってくると、説教くさい台詞が増えるので若干退屈になってきます。


・家康の父、広忠の時代に、2歳の家康と生母の別れのシーン。木の陰から家康を見送る母の描写が泣けます。

・3巻の最後、桶狭間で今川義元が討ち死にする場面。これまで数々のドラマ、映画、小説のネタになっている場面ですが、私はこの山岡荘八徳川家康での描写が最高だと思いました。本当にリアルで、義元の気持ちが伝わってきました。(全26巻を通して、ここが一番好きな場面です)

・10代の秀吉、利家、お松の出会いの場面。秀吉と吉法師時代の信長の出会いの場面。

・本多平八郎の後家が、幼い忠勝をおんぶして、今川人質時代の家康を家まで案内する場面。


司馬作品をすべて読み終えてしまったとき、人生の楽しみを1つ失ったような寂しい気持ちになったのですが、まだまだおもしろい歴史小説はたくさんありますね。他の山岡作品も読んでみたいですし、池波作品、藤沢作品にも広げて行こうと思っています。


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