体入
歌舞伎町のメンキャバへ、面接へ。
歌舞伎町―昔はよくクラブに遊びに来ていた。
昔と言う程前じゃないと思っていた。もう6年も前の事だった。
まだ時間があった。
お茶を飲みながら時間をつぶす。
相変らずの緊張。
面接―
店の事、給与の事、接客の仕方等一通りの事を教わった。
体験入店―
そのまま体入。
23時30分、終了。
手当て―2000円。
店の雰囲気は働きやすそうだった。
自分にもチャンスがあるかもしれない。
おそらく、ここでだめならどこに行ってもだめだろう。
職場はここに決めた。
気分はかなりのダウナー。
なぜだろう。
おそらく、あまりの自分の無力さへの呆れ。
急にできる事ではないと思ってはいるけど。
俺はこの世界でやっていけるのだろうか。
やっていけるとは思っていない。
なんのために働くのか―
俺は色んな世界の事を知りたい。
それは将来教師になるため。
100人の生徒がいれば、100通りの人生がある。
普通に大学出て、教師になって、
「お前も勉強して良い大学に行くんだぞ」
みたいな事は言いたくない。
将来できるかもしれない、自分の子供へも。
色々な世界を見るため。
それは言い訳?
本当はこの世界で働きたかったんじゃないのか。
電話
二度目の電話―違う店へ。
静かな雰囲気。
「明日の18時頃に担当からお電話が行きます」
次の日、その電話は来た。
「では、明日面接をお願いします。」
面接―そのまま体験入店したければ、スーツもしくはジャケットを着用との事。
胸が高鳴った。
緊張。恐れ。
どちらともつかない感じだった。
不思議な事に昔の試合前のような気分だった。
期待?
一歩
電話をした。
ホストになるために。
午後11時。
店員の声の奥から、喧騒が聞こえる。
この雰囲気-なじめない。そんな気がした。
店員の声
「では、明日担当から電話を致します」
電話は来る事が無かった。
