ジャニーズ社長の性加害は、アイドルを目指す若者に対して行われました。「若者が、性の強要を我慢したのは、我慢すれば、テレビやライブでの起用が期待できるからであり、長年性加害が継続したのは、それがある程度約束されたからではないだろうか」と思います。「使い捨て」ということならば、その情報は広がり、だれも嫌なことを我慢することを続けないわけですから。そんなことを考えると、今、テレビで活躍しているジャニーズのいわゆる「勝ち組」のタレントたちが、誰一人として性被害にあっていないとは想像しがたいと思います。

 しかし、彼らは他人事のように、「うわさでは聞いていたが、自分には関係ないこと」と、話しています。私は、はじめは、正直に話すべきだと思いましたが、最近は、関係ないという姿勢を取り続けても、まぁ仕方ないかなと思うようになりました。「勝ち組」の人たちは、それなりの地位を我慢して獲得したのだから、せっかく報われたのだから、あえて自分の汚点をさらす必要はないでしょう。また、「負け組」の人たちは、報われなかったのですから、これからジャニーズ事務所から「補償」をしてもらって、少しでも自分たちの戦いが報われることになったので、良かったと思います。

 今回の出来事の発端は、ジャニーズ社長の極めて異常な性癖とマスコミを含めて関係者がそれを黙認したことにあると思います。すでに、ジャニーズ社長は、死亡していますので、性加害を繰り返すことはありません。しかし、芸能界に「タレントとして活躍させる見返りに性を求める」土壌がなかったのかを検証し、他のジャニーズの経営陣や他の事務所の責任者は、そういうことがなかったのかを点検する必要があると思います。しかし、マスコミ報道は、「ジャニーズ事務所」「同族経営」のみに特化しています。男性でも女性に対しても、タレントを夢見る若者に対して、事務所側が性的な見返りを求めることがなかったのかどうか、すべてのタレント事務所にたいして調査すべきだという大キャンペーンを訴えることが、この問題に対して沈黙を守ってきたマスコミの責務ではないでしょうか。