右膝の激痛の整体治療…滑液包炎の疑い
患者Tさん=43才-女性-会社員/薬剤師/主婦の症例
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① Tさんの病歴・・・
患者Tさんは、数日前の勤務中に急に右膝が痛み出したそうです。朝の出勤時はほぼ痛みは無かったそうですが、昼前から痛みが始まり、夕方には激痛で、足を曲げたり伸ばしたりする事も出来ないくらいの激痛だったそうです。Tさんは別件の治療のために当院に予約を入れていたので、その件の事もあり、無理をして来院されました(当院来院時までに整形外科などの専門病院は受診されていませんでした)。
② Tさんの診察
・痛む部位は左膝前面の膝蓋骨の下部付近(膝蓋靱帯の左右付近)で、縦が約3cm横が6~7cmほどの幅があるそうです。視診上、左記範囲に腫脹がありました(熱感は軽度、発赤は無し)。ただその腫脹部の中央部は凹んでいて、左右両端部だけが腫脹していました。その左端を押圧すると右端が膨らみ、逆に右端を押圧すると左端が膨らみました。膝全体、あるいはその他の部位に腫脹や痛みはありませんでした。安静時痛もあり、さらに少しの膝の屈伸でも痛みは増強するので、歩行の際は疼痛回避歩行をしていました。
・下肢の神経学検査で異常はありませデした。
・アンビルテスト、膝蓋骨圧迫テストは陰性でした。
・Tさんは身長155cm、体重39kgと小柄な体型のせいもあって、勤務中は椅子の上に片足ずつの正座をしてデスクワークをする習慣があるそうです(☚20年以上前からほぼ一日中、右足で正座する事の方が多い)。
・特段のスポーツ歴は無いそうですが、通勤の際にはかなり駆け足的に歩く習慣があるそうです。
・下肢の触診上、左右の膝窩とも著明な緊張がありました。また下肢の各筋肉の触診においても、相当に緊張と圧痛がありました(特にハムストリングス、下腿三頭筋)。
・Tさんに念のために整形外科の受診を勧めたところ、2診目来院時にその結果が報告されました。担当医の話しでは、X線的には関節裂隙もほぼ正常で、特段の異常は無かったそうです。正式な疾患名の説明も無く、膝のサポーター装着以外に、治療の指示もほとんど無かったそうです。
➂ 治療目標と整体治療
⑴ 膝窩動静脈(特に内側/外側下膝動静脈)の循環を回復し、深膝蓋下滑液包の局所免疫力の改善と、同滑液包のうっ血解放を図る
・膝蓋動静脈解放テクニック
・大腿動静脈解放テクニック
・姿勢指導 (椅子の上での正座は止める)
右膝患部の腫脹と疼痛が少しだけ軽減していました。
・2診目来院時、
「(治療の翌日)両足とも非常にだるく感じ、それが一日中続きました。なんだか”治っていくのかな~”という感じでした。翌々日にはそのだるさも無くなり、膝の痛みもかなりマシになっていました」と仰っていました。視診上、右膝の腫脹はまだありましたが、初診時よりは小さくなっていました。また腫脹の左右両端の押圧による反対側の膨張もまだありましたが、これも初診時よりは小さくなっていました。
・3診目来院時、
「(前回治療の)翌日はマシでしたが、三日目からまた少し痛みがぶり返してきました。治療前よりはましですが。夕方になると少し痛みが強くなるようです」と仰っていました。
・4診目来院時、
「(治療翌日から)ずっとましでしたが、昨日くらいから少しだけ痛みが強くなりました」と仰っていました。視診上、右膝の腫脹はありましたが、初診時よりはかなり小さくなっていました。また腫脹の左右両端の押圧による反対側の膨張もありましたが、これも初診時よりはかなり小さくなっていました。
・5診目来院時、
「良くなってきていると思います。今週は1/10以下のレベルにまで軽くなっています。歩行も楽になって、早く歩けるようになっています。最初の頃は少し動かすだけでも痛みが強くなりましたが、最近は歩いている方が楽な感じがします」と仰っていました。施術後、右膝の腫脹はほとんど消失し、腫脹の左右両端の押圧による反対側の膨張も、ほぼ消失していました。
・6診目来院時、
「先週末に娘と某テーマパークに行ってかなり歩き回りましたが、ほとんど膝の痛みはありませんでした。ただ”ふくろはぎ”が筋肉痛ですが、、、」と笑っておられました。触診上、右膝の腫脹はほとんど消失し、腫脹の左右両端の押圧による反対側の膨張も消失していました。
・7診目来院時、
右膝の腫脹も再燃せず、痛みも無かったので今回の集中治療を終了し、様子を見て頂く事にしました。
⑤ 今回の症例の概説、、、
◆初めに・・・滑液包と滑液包炎
・関節の周囲や骨の突出部に配置されている、薄っぺらな袋状組織で中に滑液が入っている(☚水まくら様)。この袋状組織で関節の摩擦の緩和や、骨突出部の圧迫刺激の緩衝を図り、当該組織を保護する事が目的。
・滑液包は関節のオーバーユーズによる過剰な摩擦刺激や圧迫刺激、あるいは感染性(化膿性)、自己免疫性(破壊性)、代謝性(結晶性)、そして変形性関節症などの原因で炎症を起こすが、ほとんどは前者のオーバーユーズ性と言われている。滑液包が炎症を起こすと内部の滑液の増加(腫脹)や疼痛、関節の可動域制限などが生じる。
・滑液包炎の治療は、基礎疾患がある場合はその基礎疾患の治療が優先されるが、一般的(オーバーユーズ性)には治療の第一は安静で、必要に応じてステロイド/非ステロイド剤、滑液の穿刺、あるいは冷却、固定などの手法が行われる。但し、慢性化、あるいは治癒後も再発性が高いと言われている。
◆上記「滑液包と滑液包炎」を読めば、Tさんの今回の膝痛原因は、おおよそ予想されると思います。専門医による正確な診断は出ていないので、本症であるか否かは不明ですが、当院ではその想定のもとにTさんの膝痛治療を進めていく事にしました。
◆その根拠ですが、それは次の通りです。
1.椅子の上で片足ずつの正座姿勢で勤務する習慣(☚20年以上続けている)
2.速足で歩く習慣
3.膝蓋靱帯付近の腫脹(☚左右両端が凸し、中央部が凹み、その左端を押圧すると右端が膨らみ、逆に右端を押圧すると左端が膨らむ)と、疼痛および膝関節の可動域制限
4.正常な関節裂隙と他の基礎疾患所見(歴)が無い事(☚当院および整形外科での検査結果も含む)
◆上記1で膝の過剰な圧迫刺激歴が考えられ、2で下肢の筋肉群の疲労/緊張(硬化)と膝関節の過剰な摩擦が予想されます。この両者で滑液包炎の可能性が高まりますが、さらに3によってその部位は深膝蓋下滑液包の可能性が推察されます。なんとなれば同滑液包は、膝蓋靱帯の直下に横たわって十字形に配置されているので、その中央部は膝蓋靱帯によって圧迫されるので多少なりとも凹みます。すなわちTさんの腫脹所見である「その腫脹部の中央部は凹んでいて、左右両端部だけが腫脹していました」に合致するからです。
◆以上の事からTさんの膝痛の原因は深膝蓋下滑液包の炎症が強く疑われたわけです。ただ他疾患の影響は完全に排除されないので、整形外科で検査して頂く事をTさんに勧めたわけです。その結果は上記4の様に、特段の異常は無かったので、当院においても上記仮説で整体治療を進めていく事に自信を持ちました。
◆ただその整体治療方針なのですが、当院ではその滑液包炎の原因について、上記「初めに・・・滑液包と滑液包炎」で記したこと以外にも、別の遠因が隠れているのでは、と考えています。それは動静脈の循環不全です。
なんとなれば、それによって当該滑液包の代謝が悪化し、例えば動脈血流低下であれば局所免疫力の低下や代謝不全が、あるいは静脈の循環不全であれば当該滑液包のうっ血(滑液包の蓄積↗=腫脹)が生じやすくなり、滑液包が炎症しやすくなったり(発症要因)、治癒が遅れたり(慢性化)、あるいは治癒しても再発しやすくなるのでは、と考えているからです。
◆そこで当院では、この様なケースにおいては特に「膝の裏」に注目する事にしています。実は滑液包炎以外の膝関節の病態には(あるいは他関節においても)、膝窩を流れる膝窩動静脈の循環不全が相当関与していると考えているからです。事実変形性膝関節症などの患者さんにおいても、そのほとんどの患者さんの膝窩には著明な緊張があります。
◆膝窩動静脈は当然膝関節周囲の骨、軟骨、靱帯、関節包、滑液包、筋肉…の代謝を司っていますから、同動静脈の循環不全は左記組織の免疫力低下や代謝異常を、ひいては変形性関節症などの疾患の「呼び水(遠因)」になりかねない、と考えている事は先述しました。そしてやはりTさんの所見(☚下肢の触診上、左右の膝窩とも著明な緊張がありました)においてもそれは同様でした。
◆そこで上記「➂ 治療目標と整体治療」に掲げる治療目標
⑴ 膝窩動静脈(特に内側/外側下膝動静脈)の循環を回復し、深膝蓋下滑液包の局所免疫力の改善と、同滑液包のうっ血解放を図る
を想定し、それを実現する整体治療法として
・膝蓋動静脈解放テクニック
・大腿動静脈解放テクニック
を施術して、深膝蓋下滑液包の炎症を解消していこうとしたわけです。
◆結果的に初診時からその効果は順調に推移したので、上記仮説で概ね妥当であったのでは、と思います。
ただ滑液包炎は慢性化or再発化しやすいので、ある程度治癒後も経過観察的な整体治療を、そして寛解後も適度な間隔でのメンテナンス治療を勧めておきました。
◆Ps
当然、本件の大きな原因と思われる「椅子の上に片足ずつの正座をしてデスクワークをする習慣」は止めて頂く事を進言しております。
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上記解説文で不明な点やご質問は当院お問い合わせHPか、お電話 (06-6180-6880) にてご相談ください。
それではお大事にしてください。
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