機能性胃腸症(FD)、胃食道逆流症(逆流性食道炎)と倦怠感、集中力低下の整体治療
患者Aさん=61才-女性-主婦の症例
① Aさんの病歴・・・「体重が13kgも落ちました…」
患者Aさんは、別件(後鼻漏・緑内障・他)で来院されていましたが、数年前から胃もたれ食欲不振などがあり、機能性胃腸症(FD)と診断されました。また胃カメラでは軽度の胃食道逆流症(逆流性食道炎)の診断も受けたそうです。 制酸剤や漢方、サプリで治療されていましたが改善せず、2年前には体重が13kgも落ちたそうです(現在体重=44kg、身長=168cm)。そこで整体、鍼灸治療あるいはオステオパシー治療で大分改善したそうですが、食事量が増えず、体重が元に戻らない為か、強い倦怠感があり、買い物に歩くのもやっとの事だそうです。また集中力も低下し、何事をするにしても中途半端になるそうです。
② Aさんの診察
・血液検査で異常は無く、血圧は120/85mmHgで安定しているそうです。ただ胃カメラでは、前出の軽度の胃食道逆流症(逆流性食道炎)と、軽度のバレット食道の指摘を受けているそうです。
・食欲はあるそうですが、しかし少し食べるとお腹が張って食べにくくなるそうです(☚胃もたれ感では無いそうです)。そこを、苦しい中でも無理して食べているそうですが、一向に身につかず、強い倦怠感と集中力低下があるそうです。
・胸焼けや呑酸、ゲップなどは無いそうです。
・排便は三日に一度のペースで、腹痛、悪心や下痢は無いそうです。
・腹部聴診上、血管雑音はなく、グル音は弱く聴取出来ました。
・腹部触診上、腹部全判的に緊張と圧痛がありましたが、特に心窩部から左季肋部の緊張は極めて強く、強く張っていました。また圧痛もありました。腫瘤感はありませんでした。
➂ 治療目標と整体治療
⑴ 消化管(特に胃平滑筋)の緊張を解放し、胃の受け入れ弛緩の改善と、消化管の蠕動および消化-吸収機能を回復して、倦怠感と集中力低下を改善する
・胃平滑筋テクニック
・消化管平滑筋テクニック
・腹腔動脈、上・下腸間膜動脈解放テクニック
「お腹(特に左季肋部)が少し軟らかくなった気がします」と仰っていました。
・3診目来院時、
「便の出が良くなりました」と仰っていました。
・4診目来院時、
「排便の回数に変化はありませんが、一度の排便の量が増えたみたいです」と仰っていました。
・8診目来院時、
「今まで、食事をしてすぐに胃が張って食べにくかったですが、それも大分改善されてきて、少しずつ食べられるようになっています」と仰っていました。そして「しんどさ(倦怠感)もマシで、集中力も出てきたみたいです。」とも仰っていました。
・11診目来院時、
「食事も苦しくなく、普通に食べられるようになってきました。身体も体調がよくなった感じがして、最近は良く歩けるようになりました。先日は6000歩も歩けました」と喜んでおられました。
・15診目来院時、
「食欲もかなり増えてきたせいか、体重が少し増えて45kg(1kg増)になりました。またウォーキングも9000歩まで歩けるようになりました」と仰っていました。
・18診目来院時、
「体重がさらに増えて、47kgになりました。だんだん元気になってきています」と仰っていました。食欲も増進し、体重も増加傾向に安定してきましたので、これ以降は適当な間隔でメンテナンス的な治療にすることにし。これまでの集中治療を終了することにしました。
⑤ 今回の症例の概説、、、
◆ 左季肋部(胃体部付近)の著明な緊張 ?!
・今まで、色々な機能性胃腸症の患者さんを診てきましたが、Aさんほど左季肋部の緊張が強かった方はめったに無かったと思います。ただ不思議な事に、Aさん自身はその事に全く気付いていなかったそうです。とは言え、初診時に胃の平滑筋テクニックを施術した直後、Aさんに左季肋部を触診して頂くと、「あっ、軟らかくなっていますね?!」と仰って、始めて左季肋部の硬さに気づかれたようでした。
・なぜここまで、左季肋部の緊張についてこだわるか、、、と言うと、左季肋部は胃体がある部位で、その緊張は胃の平滑筋の緊張を推測させる所見だからです。そしてもし、胃の平滑筋の緊張が過度であれば、それは胃の受け入れ弛緩(注1)に影響を与える事になりかねないからです。
◆ 胃の「受け入れ弛緩」の失調が腹部膨満感の原因 ?!
・Aさんの問診にも「食欲はあるそうですが、しかし少し食べるとお腹が張って食べにくくなるそうです…」といった件があり、胃の受け入れ弛緩機能の減弱が疑われる所見が確認されています。そこでAさんの機能性胃腸症の原因の一つとして、胃の受け入れ弛緩機能の減弱を想定し、その機能回復を治療目標としたわけです。
◆ 「脾気虚」も倦怠感の原因か・・・
・実際、Aさんに胃の平滑筋テクニックを徹底的に施術し、胃の平滑筋をほぐしていくにつれ、Aさんの食事量も次第に増えていった事で、上記仮説は概ね妥当であったのでは、と思います。
・ただAさんの機能性胃腸症原因は、それだけではないと思いました。なぜなら、強い倦怠感や集中力低下、あるいは体重減少があるので、上記仮説だけでは説明がつきにくいと思ったからです。ちなみに東洋医学では、倦怠感の原因の一つに「脾気虚」と呼ばれる弁証があり、それは簡単に言うと「消化・吸収機能の減退」を意味する弁証だからです。
・そこで胃の整体治療と並行して、十二指腸や小腸などの消化管の平滑筋の疲労回復を目的として、これらの緊張を回復する「消化管平滑筋テクニック」と、同じ目的でその血流を促進する「腹腔動脈、上・下腸間膜動脈解放テクニック」を施術する事にしました。
・結果的にAさんは、8診目には食餌量がかなり増え(☚受け入れ弛緩の改善の可能性)、11診目には食餌量が健康時の状態までに回復し、かつ6000歩も歩けるくらい体調も改善して(☚消化・吸収機能の改善の可能性)、倦怠感が解消した事から、(体重の回復までは至っていませんが)これらの仮説は概ね妥当であったのでは、と思います。
注1) 受け入れ弛緩
空腹時の胃は、胃の上部にあたる胃庭部を除く、胃の下2/3(胃体)は収縮した狭い状態にある。しかし食事による嚥下によって胃内部に食餌が流入するにつれ、その食餌を受け入れる為に、収縮していた胃体部が少しずつ弛緩し、食餌分の容積を増やしていく過程を、受け入れ弛緩と呼ぶ。この反射は迷走神経の反射により起こるが、平滑筋自身の性質である張力緩和(注2)も大きく寄与する。
注2) 張力緩和
張力緩和とは、胃や膀胱、子宮等の中空性臓器を構成する筋肉である平滑筋の持つ性質で、それは平滑筋を受動的に伸展すると、その平滑筋はやがて弛緩し、引き延ばされる反応を言う。この性質は、胃や腸に食餌が流入する過程や、子宮の胎児が大きくなる過程、あるいは膀胱に尿が溜まっていく過程などに反応し、その結果当該中空性臓器の容積を拡張させ、容積内の許容量を増やす効果がある。
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