日本人の8割が感染、「歯周病」が老化を加速させていた! | 歯科医師 益弘@柏原市 歯科医院 院長のブログ
    にほんブログ村 健康ブログ 歯磨き・歯の健康へ
    にほんブログ村
    歯科医ランキング

    上のバナー2箇所をポチッと押して頂けると非常にありがたいです。



    「“老化は口から始まる”といわれていて、口の中の不調がいずれは体のどこかに不調となって現れます。だから、今、歯科の領域では“オーラルフレイル”が注目されています」

     予防歯科に力を入れているナグモ歯科(東京都港区)の佐藤由紀子医師はこう言う。

    「フレイル」とは「加齢とともに身心の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態」で、健康な状態と日常生活でサポートが必要な介護状態の中間を指す。

     体に現れるフレイルの兆候が最初に出るのが口の中だということで、「口に関するささいな衰えに気をつけよう」と、歯科医を中心に“オーラルフレイル”が提唱されているのだ。

    日本人の約8割が歯周病
    60代で5~7本、70代で10本以上の歯を喪失

     健康の象徴ともいえるのが白く輝く健康な歯とピンク色の歯茎だが、不調の兆候は、歯茎の腫れ・出血、歯磨き時の出血、口臭などに現れる。これを放置しておくと、歯周病が静かに進行するのだが、佐藤医師は、「歯周病は虫歯以上に注意が必要」と指摘。その理由をこう説明する。

    「日本人が歯を失う原因の第1位は歯周病で、虫歯は2番目です。成人の約8割が歯周病にかかっているといわれており、厚生労働省の調査によると、40代で1本、50代で2~3本、60代で5~7本、70代で10本以上の歯を喪失しているとされています」

     親知らずを除けば永久歯は28本。健康寿命を延ばす「8020運動」にもあるように、80歳で20本以上自分の歯を持っていることが健康維持の目安となっている。

     歯周病と虫歯にはそれぞれ、歯周病菌、虫歯菌の原因菌がある。虫歯菌は好気性菌といって、空気を好み、奥歯の溝や歯と歯の間に付いて歯の表面を溶かして虫歯を生む。一方、歯周病菌は、嫌気性菌といって、空気を嫌い、歯と歯茎の間にあるポケットから歯茎の奥の方に入り込んで潜伏する。歯周病菌の方が歯磨きの時に届きにくい場所に入り込んでいくため、やっかいだともいえる。

     共に、一度感染すると常在菌として、根絶することができなくなるが、2つの菌は感染時期が異なる。虫歯菌に感染するようになるのは2歳半ごろで、歯周病菌に感染するのは20歳ごろだ。

    歯周病「4つのステージ」
    歯磨き時の出血を甘く見てはダメ!

     その歯周病、大きく分けて、(1)歯肉炎、(2)軽度歯周炎、(3)中等度歯周炎、(4)重度歯周炎と4つのステージがある。それぞれのステージを解説しよう。

    (1)歯肉炎

     歯と歯肉の境目にプラークが付着し、歯肉が炎症を起こした状態。赤くつやがあったり、腫れたようになったりしていることも。この段階では腫れは歯茎の際程度だが、磨くと出血する。

    (2)軽度歯周炎

    (1)の歯肉炎が進行した状態で、腫れがより進み、磨くと出血する。歯の根を支えている部分にも炎症が広がり、歯と歯茎の間にポケットと呼ばれる隙間が広がり、歯を支えている骨が溶け始める。ポケットの深さの目安は4ミリ未満。

    (3)中等度歯周炎

     歯を支えている骨がさらに溶け、歯が少しぐらつき始め、硬いものが噛みにくくなってくる。歯周ポケットはさらに深くなり、細菌がさらに歯の根元のほうに侵入する。ポケットの目安は4ミリ以上6ミリ未満。

    (4)重度歯周炎

     歯を支えている骨が半分以上溶け、歯肉は赤く腫れて膿が出始め、最後には歯が抜ける。ポケットの深さは6ミリ以上。

    「中等度で歯がぐらつき、重度で歯が抜けはじめます。ただ、ここまで進んでいると、口の中の状態は全体的に悪くなっているはずなので、1本抜ける頃は、すでに状態の悪い歯が何本もあるものと思われます」(佐藤医師)

    歯周病で「噛めない」状態に
    栄養不良や免疫力低下、認知症リスク増も

     歯周病になると、2つの方向で健康に影響を与えると考えられる。

     1つは、実際に歯がぐらついたり、歯を損失したりすることで、噛み合わせが悪くなり、口からの栄養が取りにくくなって引き起こされる健康障害だ。

    佐藤由紀子医師佐藤由紀子(さとう・ゆきこ)
    ナグモ歯科赤坂クリニック副院長 日本大学歯学部卒。日本アンチエイジング歯科学会理事、日本歯科審美学会代議員、日本咬合学会理事。更年期と加齢のヘルスケア学会認定のメノポーズカウンセラー。ナグモ歯科ではデンタルカウンセリングを担当し、実弟の南雲吉則のナグモクリニックでは、アンチエイジングドック歯科を担当。テレビ、雑誌などのメディア出演多数。著書に『「口もと」をキレイにすれば120%美人に見える』(大和書房)がある。

    「しっかりと噛めないことで硬いものを避け、柔らかいものばかりを食べるようになり、噛む機能が低下します。また、柔らかいものばかりを食べるということは、肉や野菜など噛みにくいものが食べにくくなっていますので、栄養不良となり、タンパク質や繊維質が不足しがちになります。

     タンパク質は筋肉を作る栄養素ですので、筋力が低下し、サルコペニアやロコモティブシンドロームというように、運動機能の低下へと向かっていきます。心身の機能低下や社会活動の低下も引き起こしていきます。

     噛まないと唾液の量も少なくなります。消化吸収機能が低下し、胃に負担を与えますが、更に繊維質の不足で便秘になったり、腸内環境が悪化すると免疫力の低下にもつながったりします。

     また、噛み合わせが不調和になってくると、下あごがズレて、顔の歪みや体の歪みとなり、頭痛や肩こりなどの全身症状が出ることがあります。

     噛まない、噛めないことは、顎から脳への刺激が減ると共に、脳への血流の低下となります。すると、自律神経系の疾患や、うつ、認知症のリスクにもつながります」

     歯周病は、「噛めない」ことから負の連鎖を生んでいく。

    心臓疾患、誤嚥性肺炎、糖尿病…
    重篤な疾患の原因は歯周病菌にあり!?

     もう1つは、歯周病菌が別の疾患を引き起こすリスクだ。

     近年、歯周病と、心臓疾患、脳血管疾患、誤嚥性肺炎、糖尿病、骨粗鬆症、肥満などとの関係が指摘されている。心臓疾患、脳血管疾患、誤嚥性肺炎は、今の日本の死亡原因の上位に入るものだし、糖尿病や骨粗鬆症、肥満も数千万人単位と患者数が多い疾患だ。

    PVアクセスランキング にほんブログ村