体の筋肉は、加齢に伴って減っていく。すると、より少ない筋肉で体を支え、動かすので疲れやすくなり、運動を敬遠しがちになる。動かさない筋肉はさらに衰え、しまいには「筋肉枯れ」の悪循環に陥るから要注意だ。予防するにはどんな心がけが必要か?

 「体の筋肉量は20歳から60歳までの40年間に、15~20%ほど落ちる、60歳を過ぎるとさらに2倍のスピードで減る」

 ただし、これは適度に体を動かしている場合の話で、もし外出時に車ばかり利用するなど、運動不足の生活を続けていれば、もっと速いスピードで衰えていく。極端な例で言えば、ベッドの上で安静にする入院生活を送っていると、筋肉量は1日で1~1.5%程度減少するという。

■体の機能低下

 筋肉には(1)体を支える(2)体を動かす(3)血液の循環を助ける(4)糖や脂肪を燃焼させ熱をつくる(代謝)――などの働きがある。筋肉の衰えはこうした働きの低下を引き起こす。

 筋肉の減少で代謝が悪くなれば、体に脂肪が残りやすくなる。疲れるからといって運動量を減らせば脂肪はさらに蓄積していく。こうして太りやすい体質に変わり、体脂肪が増えるという。


 だが体の脂肪を減らそうとして食事制限に走ると、筋肉がげっそり落ちてしまうかもしれないので注意が必要だ。食事制限によって筋肉枯れに陥ると、左の図のように一層、運動を敬遠する悪循環も生じやすい。そうなると脂肪の燃焼はますます少なくなる。「筋肉枯れは代謝低下のスパイラルを引き起こす」

 筋肉が衰えれば日常生活への影響も大きい。「特に女性の場合、中高年以降にダメージを受けやすい」と話す。女性は、同体格の男性に比べて筋肉量が6割程度しかないので、筋肉減少の悪影響が大きくなりやすいのだ。

 筋肉が体の骨格をしっかり支えられなくなると関節や腰、ひざの痛み、尿漏れなども引き起こす。日常の歩行や階段の上り下りなどの移動能力が落ちるロコモティブシンドローム(運動器症候群)にも直結する。代謝が低下すればメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)のリスクも高まり、心臓や血管系の疾患も生じやすくなる。

 では、筋肉枯れを防ぎ、代謝の低下をくい止めるにはどうしたらよいのか。次のようにできるところから生活習慣を改善する。


 第1に、休日にゴロゴロしているなど慢性的に運動不足の人に対しては、まず簡単なエクササイズによってウオーミングアップの習慣をつける。

 日常生活ではずっと同じ姿勢で座り続けているなど筋肉の使い方に偏りが生じやすいので、バランス良く筋肉を刺激する。職場で休憩時間などに無理のない範囲で続ければ、体を動かす下地ができる。そうなればもう少し強い運動に挑戦することができ、筋肉枯れの悪循環から抜け出す糸口もみえてくる。

 「筋肉は何歳になっても増やせる。100歳を過ぎても増加したデータがあるほどなので、諦めないで体を動かすようにしてほしい」

 第2に、朝食を抜くことが多いなど食生活が乱れがちの人に向けては、筋肉のもとになるタンパク質や、代謝を促進する食物繊維、ビタミンB群などの栄養素を意識的に取るように提案する。

 例えば、サンマやサケなどの魚類は良質のタンパク質食品だ。キノコやイモ、豆類などは食物繊維が豊富。ショウガも血行を良くして代謝を促す。茶葉に含まれる茶カテキンなど、ポリフェノール成分も脂肪の燃焼を助けるという。

■入浴効果大きく

 最後に、手足や体の一部が冷えやすいなど血行が良くない場合には、体を温める様々な工夫をして代謝促進の習慣をつけるように勧める。

 効果が大きいのはやはり入浴で、炭酸ガス入りの入浴剤などを使うのも有効という。マッサージや熱いタオル、温熱シートなども血流やリンパの流れを促進する。

 いくつになっても健康で過ごしていくには、まず筋肉を健康に保つことが欠かせない。できるところから生活習慣を見直し、筋肉枯れを予防していきたい。

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 「毎日子育てや仕事に忙しくて自分のために時間をとって運動する余裕がない女性は、筋肉が落ちて不調を訴えることが多い。特に注意してほしい」

 重要な健康課題として真っ先に「筋肉枯れ」をとり上げ、全国の女性約1000人(20~60代)を対象に実態を探るアンケート調査もした。

 調査によると、食事制限だけのダイエットをしたことがある人は65%で、そのうち80%が失敗し、筋肉の低下に悩む人も80%を超えていた。

当たり前のことですが、簡単ダイエットや短期間で体重を減らすことには、リスクがあることを理解し、リバウドがおきないようにじっくり取り組むべきである。


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