今まで、色々なOMさん宅を訪問してきたが、今回は再開組自作派ハムにとって、とても参考になるお宅でした。
 
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東京大田区の名所として、池上本門寺は有名だが、その山の裾野(低い場所)にJG1RQT井上さんのお宅がある。つまり北西方向は本門寺の山に完全にブロックされているが、ご本人は一向にお構いなし・・・と言った塩梅だ。
 
富山出身の井上さんはJA9BYDとして開局したが、上京後は仕事にに情熱を傾けていたせいか?・・・アマチュア無線を再開したのは、約5年前だとのことであった。
 
当局同様「無線のこと」を考えずに当地に移ってきたようで、再開後はしばらく本門寺の山と盛大なノイズに悩まされたとのことです。
 
アンテナはHFV8040に自作のアンテナチューナ、6mは4エレCQ、V/UHFはGPです。
 
40年以前のハムの多くは、「真空管」で育ったわけだが、井上さんも真空管エイジで、真空管に対しては並々ならぬ愛着を持っています。
 
再開局組の多くは真空管に親しみを感じていると思うが、「今更」・・・と手を出さない方がほとんどでしょう。真空管と言えば「送信機」でしょうが、SSBは回路が複雑で手間暇がかかる上に調整も難しい。そこでオーディオ回路の延長で、マイクアンプなどで、お茶を濁すのが関の山。
 
どうしても真空管で送信機を・・・と考えた人たちが、AM送信機を手掛けるようになった・・・と聞いています。現在、50MHzや7MHz拡張バンドで、手作り送信機でAMを楽しむOMさんが増えているそうです。
 
元々、自作派のJG1RQTさんは、送信管4P60に2KVを加えて、サプレッサー・グリッドに変調をかけるという、奇抜なアイディアでAMの送信実験を行っていました。
 
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ヤエスのリニア、FT-2100Bをベースにした4P60の送信部と右側はサプレッサー・グリッドにバイアスをかける電源です。
 
下の段には送信出力とSWRを監視する優れもののベクター・パワー・メータ。その下が励振用キャリアを出すためだけに使っているケンウッドのトランシーバー。
更にビクターの構内放送用アンプを改造した変調器で、アルミケースに入ったマッチングセクションでサプレッサー電圧を制御しています。
 
右側には、送信出力の波形を監視するヤエスのモニター・スコープがありました。シングルトーンで変調度をジャスト100%に調整しているので、ヒズミの少ないAM電波が出せています。
 
今どき棚を2段も使って送信機を構成するのも珍しいが、JG1RQT井上さんは、「真空管だけに固執」していない点に、当局は大変興味が湧きました。
 
真空管と言えば、1から10まで真空管にしたいところですが、井上さんはターゲットにした真空管の性能を最大限に活かす。その為には、周辺のディバイスにこだわらない・・・ことが、良い結果を生んでるんですね。
 
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ところでLP-100Aとは見慣れないパワーメータですが、AM変調では重要なピーク・パワーが直読でき、SWRのほかにリアクタンス成分を見たり、パソコンとつないで、様々な線路データの管理もできるようです。でも高そう・・・。
 
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JG1RQT井上さんメインシャックは、中央にIC-7700が置かれていました。手前はアイワのダイナミックとクリスタル・マイクを切換えて使っているようですが、ほかにベロシティ・マイクもお持ちでした。サブ機はTS-690が2台稼働していました。リグにはカツミのエレキーEK-160もつながっています。
 
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当局も人のことは言えないが、如何にも雑然としたデスクで、作りかけの基板や手前には今度手掛ける予定のP-250のソケットが転がっていました。いや、自作派はこれが当たり前なんですね。
 
更にシャックの反対側は、ご覧の通りジャンクの山です。お宝のパーツや真空管も出番を待っているとか・・・。
 
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JG1RQT井上さんは、無類のオートバイ・マニアで、全国をツーリングして楽しんでいるようです。お持ちの年代物バイクも数台あるようですが、お気に入りのバイクを拝見しました。
 
当局には解りませんが、好きな方には人気のマシンだそうで、年代物はメンテナンスは欠かせないようです。
 
今回シャックに伺って気付いたのですが、JG1RQT井上さんは単なる「真空管マニア」ではなく、真空管と云うディバイスの性能を引き出すことに興味がある。
 
つまり真空管を個性的なディバイスのひとつと考えて、新たな実験を試みる挑戦者と言えるのでしょう。
 
 
 
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