電話ゴッコ(失礼)や業務無線代わりに免許を取った局を除けば、誰でも一度はオーバーシーQSOを夢見て、更にDXCCに関心を持ったことでしょう。当局も高校時代にW6の局とQSOした記憶は、鮮明に残っています。
 
しかしDXCCも、200エンティティーを超えたころから胸突き八丁となって、他へ興味が移ってしまう場合が多いですね。何しろ世界には、地域紛争や政治体制などでアマチュ無線局が出られないエンティティーもあったり、普通ではアクセスが不可能に近い地域もあるからです。かつては隣国のBYも、珍局とされていましたからね。
最近はeQSLLOTWなど、電子認証のようなシステムもあるので、多少良くなったとは言え、DXCCはコンファームが原則だから、たとえQSO出来ても、QSLカードが届かなければ、カウントにはならない。
 
これを長い時間をかけて克服すると、輝かしいDXCCのオナーロールとなる。オーナーロールとは、コンファーム出来ていないエンティティーが10未満の局を呼ぶようだが、幸いなことに当局の周囲には2局のオーナーロールがいます。
中でも、すべてエンティティーをコンファームしたした局は、「ナンバーワン・オナーロール」と呼ばれるようです。
 
今回は、トップDX’erとしてDXCC No.1オナーロールのJH1SJN高木さんのシャックを拝見することができました。大田区馬込の高台斜面に14メーターのタワーを建てて、ステップIRアンテナをあげています。
かつては、高いタワーにフルサイズ八木を載せてQRVしていたようですが、お子さんが同じ敷地内に別棟を建てるのをきっかけに、現在のコンパクトなアンテナに変えたようです。
 
タワーの高さも抑えて、「後々家族に迷惑をかけないように」と言う高木さんの配慮による選択だとか・・・。それにしても、ローバンドを切り捨てて14MHz以上に特化した高木さんの決断も見事だ。
独特の構造で、太いエレメントには驚かされたが、全体に安定感があり、周辺住民や歩行者への威圧感は感じられなかった。
 
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トロンボーン・アンテナなどと呼ばれるステップIRの中でも、14MHz~50MHz対応のDB-11と言う、回転半径3.2メートルのコンパクトなアンテナに、当局も大変興味があった。当局ような狭小住宅でも、建てられそうなサイズが気になっていたからだ。
 
ただし精密な電動メカニズムでトロンボーンのようにエレメントを伸縮させるので、コントローラを加えると、普通の八木アンテナの数倍のコストになる。
しかも本体だけで28Kg以上の重量があり、支持するタワーなどの強度も要求されると思います。
 
ステップIRのセッティングでは、見かけ上のSWRは落ちるものの、気になったのでアンテナシミュレータで計算して、バンドごとに再調整したとのことです。
 
シャックに入ると、リグより、真空アンプの方が目立っていました。手作りの300Bシングル、KT-88PPなど、シャーシー加工からの自作で、中々美しい仕上がりだった。
 
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メインのリグは、当局も興味を持っているFT-2000で、カツミのパドルを愛用しているとのことでした。CWマンとしては、理想的なセッティングですね。カツミのパドルKM-22は、とても使いやすいようで、手放せないと言っていました。
 
通行量の多い環状七号線から丘の上に登った場所ながら、当局と比べるとノイズは驚くほど少ない。それでも、MFJ-1026と言う、アナログ式のノイズキャンセラーが置かれていた。
屋根の高さに沿うようにノイズキャンセル用アンテナをセッティングしているようで、「24MHzの強いノイズにだけは効果があったが、アンテナのセッティングが難しい」と、もらしていました。
 
ローテーターのコントローラーの隣に置いてあるステップIRのコントローラーは、イメージしていたよりかなりコンパクトでした。トランシーバーとのインターフェースで、バンド切換えやバンド内での移動に応じて、最適に長さに自動的にコントロールされているようです。
 
面白かったのは、このアンテナならではでしょうが、ワンタッチでフロント、バックが切換えられるので、強力に入感していた局が、突然聞こえなってしまう。混信対策やコンテストなどには便利そうですね。
 
前回のJA1UTB中西さんと同様で、JH1SJN高木さんもアンテナ、シャック共にスッキリまとめてありました。都内の限られた環境で、でアマチュア無線を楽しむ、一つの形が見えてきたようです。
当局のように、さして使わないリグまでシャックに並べているのは、如何なもんでしょうか?
 
ところで、高木さんも蒲田方面にビームを向けるとノイズレベルが上がると言っていました。悲しい・・・。
 
 
 
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