昨日、ローカル局のアイボール・ミーティングに参加したが、その後、OMさんから「アンテナを見に来ないか?」と誘われました。以前から、そのOMさんのアンテナに興味があったので、午後8時過ぎ(非常識!)に、当局を含めて数局でお邪魔しました。
 
アンテナはロングワイヤ・アンテナですが、マンションの3階にお住いのOMさんが45m長のエレメントをどのように張ったかが、最も関心事でした。ご本人曰く「ステルス・アンテナ」で、何と駐車場を挟んで立つ7階建ビルの非常階段にある手スリから、OMさん宅の3階ベランダまで、ワイヤを引いていました。
 
・・・と言っても、ワイヤはもとより7階手すりからワイヤまでのナイロンテグスもまったく見えません。夜間なので見えないのではと思ったら、別のOMさんが昼間に何度か見に来たが、まったく見えなかったそうです。
 

 
当のOMさんの話によると、光の加減によっては目を凝らして長時間見ていると、わずかに見えることもあるそうだが、普通に見た限りはまったくのステルスだ。
 
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それもそのはずで、直径0.35mmの鉄線エナメルワイヤで見える方がおかしい。50m巻を100円ショップで買い求めたとこことだが、鉄線を使用したのにも訳があるそうです。
 
銅線の0・35mmでは、自重と風圧による張力に耐えられずに切れてしまうが、鉄線ならば強度が確保できるようです。OMさんは長年、山手線の内側の一等地に住んでいたので、すでに色々試された結果のようです。
 
このワイヤをベランダに引き込んだところに、C-L-Cのパイマッチ型のマッチング・ボックスを取り付けてある。ロングワイヤ・アンテナでは接地が大きな問題だが、手スリの接地を確認してから、塗装された手スリにアルミホイルを巻いて静電結合している。
 
もう一つは、無駄なリード線を伸ばさずに、直近で処理している点も、OMさんの技術レベルの高さを感じさせてくれた。
 
出るバンドによってパイマッチを調整すればSWR1.0近傍、一旦調整すればバンドワイズは極めて広い。実際にトランシーバーのSWRを見せてもらったが、7MHz帯200KHzの間は微動だにしなかった。
 
7MHzの国内コンディションが落ちた午後9時にJA8と59でQSOしてい見せてくれた。ゲタ(リニアアンプ)も履かずに一発コールで、当のJA8局が、マイクの向こうで驚く様子が手に取るように伝わってくる。外来ノイズは当局同様に強力だが、完全にシグナルがノイズに勝っていた。
 

 
このOMさんは、ロングワイヤだけではなく、カンテナ、ループ八木などの開発でも著名な方だが、行き着くところは「理論より実践」「最高の測定器は自分の耳」と、アマチュア精神を存分に発揮しておられる姿は、往年の自作派ハムを彷彿とさせてくれました。
 
確かに理論的基本が身に付いていなければできないのだろうが、アンテナ理論に反発することから、新しいアンテナが生まれてきたとのことです。
 
写真を撮って皆さんにお見せしたところだが、場所が特定されるとOMさんも厄介なのであきらめた。
 
都会暮らしの知恵と言おうか、OMさんの図々しさ(失礼=たくましさ)が生んだアンテナの拝見で、当局も見習うところが多い見学でした。
 
 
 
 
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