東大野球部から1991年にドラフト8位で千葉ロッテマリーンズに入団した小林至氏。今は大学の先生をやられており、同氏の「スポーツの経済学」を読了。

 

 

特にゴルフについて書かれているわけではないのだが、日米のゴルフツアーの優勝賞金の間にこれほどまでの差がついた(「ナショナルオープンの優勝賞金」に記載)理由を調べようとして見つけた本。

 

本書で考察されていたのは、オリンピック、日米プロ野球(NPBとMLB)、北米の4大プロリーグ(MLB、NFL、NBA、NHL)、米国の大学スポーツ、欧州のサッカーリーグ。

 

ゴルフの米国ツアーと日本ツアーで賞金額に大きな差が付いたのは、過去記事で書いたとおり。野球のNPBとMLBでもそれは同様。印象的だったのが、金の出どころが全く違うこと。放送権の高騰のニュースをよく聞くが、そもそも視聴者が有料放送に慣れている米国のような国と無料の地上波放送が充実している日本との違いは大きい。

 

さらに驚いたのは、地方自治体の資金がかなり投入されていること。MLBのみならず、AAAやAAなどの下部リーグでもスタジアム建設には自治体の税金が使われ、裕福なオーナーが保有する野球チームが有利な条件でスタジアムを利用できているそうな。チームは移転をちらつかせ、自治体はチームを引き留めるために競争する。それだけおらが町にチームがいることが価値とされている(=市民が税金を投入することに反対しない)というのも驚き。

 

北米プロリーグと欧州サッカーリーグの運営の違いも興味深かった。広い北米と狭い欧州の各国という違いもあろうが、ある程度の統制のもとでチーム間の力を平準化するような仕組みになっている前者と自由競争で下部リーグとの入替となっている後者の違いには初めて気づいた。日本でもNPBは前者、Jリーグは後者と言えるかも。

 

この世界はスポーツマネジメントと言うのだろうか。奥が深い。