前にも書いたが、今飼育方法の違う二匹の子猫がいる。
一匹は3月生まれの雄猫のネル、もう一匹は4月生まれの雌猫のラン。
ネルはは、生後2週間で引き取り、実験的に「心の病から見えて来る育児と教育 」で書いている内容通りの育て方をしている。
ランは、動物愛護センターから貰い受けてきた猫で、警戒心が強く貰って来た時にはかなり脅えていたので、ネルとは逆に、抱っこも、撫でるなど何のアプローチせずに餌だけ与えて育てた。
対照的な育て方をした二匹の猫だが、ランの警戒心や脅えは2週間程度で消えて、今ではネルと同じ様に可愛がれるようになっている。
この2匹の猫だが、今では常に一緒にいる。
ネルが移動すれば、その後をランが追いかけ、寝る時も必ず近くにいる。
しかし、ネルはランを追いかける事はしない。(遊びの時は別)
ランはネルが見当たらないとネルを探すが、ネルはランを探さない。
しかしネルは、私が自分の部屋から出て、トイレや風呂、一階の事務所に移動すると必ず追いかけて来る。
私が外出から帰ると、ネルは三階から駆け下りてお出迎えをしてくれるが、ランはしない。
私がネルを撫でていると、ランがやって来る。
ランが私の前で座ると、ネルは私の側から離れ、私がランを撫でるのを眺めている。
ランが来なければ、ネルは「あま噛み」をしたりスリスリをしながら、私が相手をしなくなるまで甘える。
ランは、ネルの行動を真似して色々な事を覚えている。
ネルはランに教えているようにも見える。
例えばトイレだが、ランは穴掘りや砂かけが上手くない。
ネルはランがトイレに入る時、必ず真横で眺めていて、穴が浅いとランをトイレから追い出し、自分で深い穴を掘り、そこでランに用を足させたり、ランの埋め方が悪いと、ネルはそこに山のように砂をかけていた。
そんな事を繰返しているうちに、ランも上手にトイレが出来る様になって行った。
今では、時々だが並んでトイレをしている。
ネルが遊びに誘う時、猫ジャラシを咥えて欄の所まで持って行き、柄の部分に猫パンチを噛ます。
その柄にランがじゃれ始め、ランが猫ジャラシで遊び始めたら、ネルは離れて見守っている。
ランが一人で猫ジャラシで遊ぶ事が飽きた頃に、ネルが参戦し2匹で猫ジャラシを使った鬼ごっこが始まる。
ネルがそんな行動を繰返していたら、ランも自分の好きなおもちゃを咥えて、ネルの所に持って行って遊ぶようになった。
2匹で遊んでいる時は、私は猫に干渉しない。
猫は私と遊んで欲しい時は、どちらか一匹が椅子の背もたれに乗り、どちらか一匹が肘掛に乗り、2匹で同時にスリスリを始める。
しかしこの2匹、今まで一度も「フ~!」とか「シャ~!」等、威嚇をした事が無いし、素振りも見せない。
ちなみに、3月に死んでしまった猫は、何か要求がある時には、肩に乗ったり、椅子の背もたれに乗り、私の顎からエラにかけてを軽く噛んで何度も引っ張っていた。
この猫は犬と仲良しだった。
この関係は、花梨が3歳の時、犬が死去(15歳)して終わる。
ネルとランの一番の違いは爪の出し方。
ネルは爪の出し入れが出来る様になってから、猫パンチ、猫キック、猫キャッチの時、人間にもランにも一度も爪を出した事は無い。
人間に登る時も、服を着ている時には爪の先が体に触れる程度しか爪を出さず、風呂上り等服を着ていない時には、ジャンプして飛びついても、肉球しか使わないが、ランは爪を出しまくる。
性格はネルが天真爛漫、ランは何事にも慎重である。
何はともあれ、今の所は計画通りに育っている。
これは飼育日記と思われるかもしれないが、育児や心の問題の対処方法の確認実験も兼ねている。
犬や猫の飼育、そして自分の子供の育児、どちらもやってみると、犬や猫の飼育と人の育児は何も変わらない。
犬や猫の飼育や観察をしていると、人間の育児の矛盾が見えてくる。
今回はその序章、次回はこの確認実験の解説に移る。