昨日のニュースZEROで、遅発性統合失調症の特集が組まれていた。


いや~!実際あんな人を千数百人も見て来たのだが、テレビでも見れるとは思わなかった。


今までタブー扱いの様に扱われていた統合失調症の番組が、この一ヶ月で数本放映されている。

これも時代の流れなのだろう。


ニュースZREOの特集では、病院に入院して一件落着の様に取り扱っていたが、恐らくあれでは何の解決にもなっていないだろうな。

そればかりか、もう一人病人を増やす事にもなりかねないだろう。


映像の中で、精神保健事務所と言う会社(医者ではない)の人が「家族の相談に乗り医療につなげる」と言う私と同じような事をしていた。

これからの時代、そう言った人の存在が必要になってくるだろう。


その番組に出ていた病者の人は、8年前に離婚しそれ以来アパートで一人暮らし。

その人の長女は絶縁状態で、2年ぶりの電話で母親の異常を知ったという。


ただ、その番組で気になった事は「何故離婚に至ったか」である。

こう言ったケースの場合、離婚に至る経緯の中に「躁病」や「躁鬱病」がある場合が多く、その多くに自己愛性人格障害が隠れている。

その躁病や躁鬱病や自己愛性人格障害は「性格」として処理され易く、その事が原因で家族崩壊を起している場合が多い。


例えば「泰葉」さんの「金髪豚野郎」発言的な症状で、それを病気と認識せずに健常者として接していれば、精神的に疲れ果ててしまう。


番組に出ていた長女が、実の母親の事を心配するも面倒を見たがらなかったのは、そう言った背景があるからだろう。

結局、長女は意を決して面倒を見る事を決心するが、それは他人に推し量ることの出来ないほどの決断だろう。


他人は「親子」なのだからと簡単に言うが、介護疲れから来る親子の殺人事件は後を絶たない事を忘れてはいけない。


問題はもっと深い。

そうした親に育てられた子供は、精神疾患を発症しやすい。

精神疾患は親から子供へ伝播する事を忘れてはいけない。


つまり、その長女が統合失調症の母親の面倒を見ると言う事は、かなりの高確率でその長女も精神疾患を発症するだろう。


問題はそれだけではない。

あの番組を見る限り、本人に自覚させる事無くいきなり精神病と言ってしまった。

現実を知らない人には、理解して受け入れたように見えるかもしれないが、今までの経験からすると、あのパターンは違う。

口の横の「しわ」が外側を向いていた。


あれは「敵の懐に飛び込んでしまった」開き直りで、逃げ場を無くして観念した時の、本心を言わなくなった時の表情の変化だ。

後は医者の手腕次第で妄想を取り払えるか、潜伏妄想に入るかだろう。


潜伏妄想とは私の造語なのだが、自分の妄想を知られ無い様に妄想に関して口をつぐんだ状態の事を言う。


病者を治療に向わせる行為には賛同するが、何の理論武装も無く、いきなり「貴方は精神病だから医者に行け」と言うのは、かなり乱暴なやり方だったし、家族だからと言う理由で長女を追い込む姿勢は感心しない。

家族からの相談の場合、病者を病院へ行かせるだけではなく、病者の面倒を見る家族に対するサポートの方が大切なんだけどな。


そして、特集の終盤に病者のアパートでいつも持ち歩いている鞄の中から子供の写真や通知表を見つけて「やっぱり母親だな」と言っていたが、私ならそれこそが病気の原因であると考える。


これは年配者の鬱病の典型的なパターンで、亭主から名前で呼んでもらう事も無く、料理を作っても「ありがとう」の言葉や、ご馳走様の言葉も無く、留守がちの旦那との会話も無く、家庭の中で自分の存在が希薄になり、自分の存在確認を「子供」に求める「子供依存」だろう。

その為に子供を溺愛するのだが、その子供が成長し、自分を必要としなくなると、自分の存在を感じる物が無くなり、鬱病を発症する典型的なパターンだ。

恐らく、離婚した時には鬱病か躁鬱病を発症していて、離婚を切っ掛けに自己の存在が益々希薄になり、その裏返しの欲求としての監視妄想で、躁鬱系の病気を治療せずに放置しておいた事により、統合失調を併発したと考えられる。

そうした親に育てられた子供は、人格障害を隠し持っている場合が多い。

精神保健事務所なる所へ相談に行った長女が、母親を心配して相談に行っているのに、母親に会う事を拒む原因がそこにある。



特集の最後に、「孤独を感じさせ無い事が肝心」と言っていたが、それは少し意味合いが違うと考えている。

孤独を感じさせないのではなく、難しい事なのだが、孤独ではないと感じるようにする事だ。

この意味合いの違いを理解出来なければ、周りの人が疲れてしまう。

そして、家族も鬱になり、面倒を見る事も出来なくなってしまい「リセット」したい衝動に駆られ始める。

今まで色々な人を分析してきたが、精神疾患に至る要因は主に二つある。


それは「拒絶」と「目」だろう。

拒絶は孤独を生み、孤独が心を蝕む。


「目」とは「見られる事」を望んだり、「人の目」を気にしたりする事。

どちらも根底にあるのは「自己の存在」である。


孤独も自分の存在が失われた状態であり、究極の要因は「存在」と言える。


自己愛性人格障害は自己愛が満たされている時には異常性を発揮しないが、自己愛が満たされなくなると異常性を発揮する。


つまり、自己愛のレベルが元々低い人は異常性を発揮し難く、自己愛のレベルが高い人は異常性を発揮しやすいと言う事だ。


それも、自己の存在を「どのレベル」で感じられるかと言う事であり、自己愛のレベルを引き下げれば異常性は消えて行く。

そして、自己の存在を感じられなくなった人に、結構有効なのは「触れる事」だろう。

握手だけでも良い、他人に触れる事は、結構大切な事だ。


握手から伝わる人の体温(ぬくもり)、肌触り、握り返してくる相手の力、柔らかさ、相手に触れる事は見たり聞いたりするだけの情報とは比べ物にならない情報が脳に伝わって来る。



しかし、特集を見たイメージからすると、精神保健事務所の人って、あまり経験が無い人と言う印象だ。

何故なら、ホテルのエレベーターの中で「盗聴されてる」と小声で話していて、部屋に入るなりカーテンを閉め出す相手に、普通の声で挨拶しようとする。

そこで、病者は大慌て。

相手の話す声の大きさに合わせて話すのが基本だろうし、小さいノートとペンは必需品だ。(筆談用)


そして、電波系の話を聞いている時の精神保健事務所の人の顔。

完全にドン引きしていた。

どう見ても慣れているようには見えなかった。


その精神保健事務所と言う所は株式会社と言う事だ。


病者を治療に向わせると言う事は今後必要になってくる仕事ではあるのだが、細心の注意を払わないと病者を増やす結果になりかねないばかりか、介護殺人的な犯罪の温床にもなりかねない。

よほど経験を積んだ人でなければ手を出すべきではないと思うし、それで収益を上げようなどと思っていてたらやって行けない。

私は、実務を伴う調査以外の事は、全てボランティアでやっているし、ボランティアと割り切らなければやってられない。



その特集は近日中に資料室の方にUP しておこう。

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