Love brought by sympathyⅢ~辛ラーメンは食べたくないみたいだな | かおり流 もうひとつの「宮」

かおり流 もうひとつの「宮」

「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
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サイドストーリー『Love brought by sympathy』ソ・ジテが主役のお話です



乾清宮の火事は誰の仕業なのか 皇太后さまが一時意識不明だったというニュースが本当なら 自作自演にしてはやり過ぎだろう?
チェギョン妃を嵌めたつもりの皇太后さまも 何者かに嵌められたとしたら…
俺の予想はかなり当たってたってわけで…
あの場所から彼女を救い出せて良かったと 本気で思ってた

でも… イ・シンは彼女を庇い黙秘し 彼女はイ・シンを庇って乾清宮放火の濡れ衣を被ったのだとチェ尚宮から聞けば…酷く胸が靄ついた
いいさ 今はそうやって互いを恋しがってりゃいい
そのうち二人とも気が付くはずさ 自分らしく過ごせる日常の中で これまでどれだけ相手の為に らしくも無い無理してたのかって事に
愛してたんじゃなく愛そうと努力した結果湧いた情だったって事にね
そうしたらあとはもう 楽になるだけだ

手放した物にいつまでも縋る必要なんか無い
チェギョン…アイツしかいない場所からやっと抜け出したんだ まわりを見ろよ
いや 俺を見てくれないか?
君に不似合なゴテゴテにゴージャスな金の鳥籠から出してやれて嬉しいよ
チェ尚宮は不満みたいだけど 俺の用意した温もりのある家で 早く元気になるといい
そして可愛い赤ん坊を産むといいよ
アイツは多分 迎えになんか来ない 本来のアイツはそういうヤツだったんだから

それなのに イ・シンを捨て 宮も韓国も捨てて マカオで自由を手に入れた彼女は 俺の隣でいつも 笑っていてもどこか寂しそうだった
綺麗な物に目を奪われたり 美味しい物に感嘆したり コメディー映画やバラエティー番組を見て ケラケラ笑う彼女にとって それを共有したいアイツが此処に居なくて 代わりに俺が居るだけだった


だけど まだ七月も終わらないある日 マカオに居る俺の耳にも 韓国の皇太子妃が廃位されたというニュースが届いた
まだ二月も経ってないのに こんなに早くどうして… ちゃんと探したのかよイ・シン!?
いや なんで俺が苛立つ必要が有るんだよ ほらなやっぱりってとこだろ?

「ジテさんは…妃宮さまの味方をするフリで 実は東宮殿へお返しになる気がないのでは…」
よりにもよって今日それを聞かれるなんて…タイミングチャン(調度)
「ええ 最初からそのつもりですよ?気が付きませんでしたか?
僕がチェギョンを好きだってことくらいはお気付きですよね?」
あ~あ うまく躱しゃあよかったのに なんでこんな事言うんだか…
「な…何をぬけぬけと!
まさか知らぬのか?知らぬのなら教えてやる!
妃宮さまは韓国の皇太子イ・シン殿下の御子を宿しておいでなのだぞ!」
嫌な事思い出させるね…
「…知ってます」
「なっ!ならばなぜ!?」
「好きになった人がたまたま大嫌いな皇太子殿下の妻だった
皇太子の伯母で 僕の叔母である恵政殿皇太后さまが彼女を追い出したがっていたので 奪うのに利用させてもらった それだけですよ」

でもチェギョンに聞かれてしまったのは拙かったな…
「好きになった人が…たまたま大嫌いな皇太子の妻だった…って言った?
ごめんなさい あたし ジテさんの気持ちには…応えられない」
「聞かなかった事にしてくれないか?まだ告白するタイミングじゃなかったんだ もう少し…」
「いつ言われても一緒だよ?
明日も明後日も 一か月後も一年後も あたしが好きなのは 貴方が嫌いな韓国の皇太子 イ・シン殿下ただ一人なの 例えもう二度とあそこへ戻れなかったとしてもね
ふふふ 嗤っちゃうよね?」
彼女の言葉は冷たく俺を突き放し 弱みを見せまいと背を向けた

俺の傍でいくら笑ってても心で泣いてる今のチェギョンは イ・シンの傍で笑ってた皇太子妃シン・チェギョンではないんだって事を 改めて知った
皮肉だよな 自分らしさを抑制して好きな男の傍に居る為に無理してた彼女の方が 本当の彼女で 俺はそんな一生懸命な彼女に惚れてたなんてね
今の彼女は脱け殻だ
それでもやっぱり後悔はしてない 愛妻の廃位ひとつ阻止できない非力な皇太子の傍に居たって 彼女は幸せになれない
目覚めろよイ・シン このままでいいのか?
正直 矛盾だらけだという自覚は有るよ


翌朝彼女がまだぼんやりしているところを狙って 昨夜の事は帳消しにして貰った
起き抜けの彼女が階段を降り切る前に手を取り ソファに掛けさせその手を離さず跪いて詫びた
「落ち着いて聞いてくれる?
昨日は俺どうかしてたんだ
実は 韓国皇室広報部が発表した事に動揺して…
皇太子妃を… 君を皇太子妃から慈駕(ジャガ/降下した公主や ここでは側室の意)に降格すると発表した
君が手紙を残して行方を眩ませたため 誘拐された可能性は低く
君は乾清宮放火の嫌疑を掛けられていて…連絡も無いままひと月以上経ったからだと…
本人から事情を聴くこともしないままこんなに早く降格なんて 信じられなくて…
でもきっと君はもっと傷つくと思って…君はただ 俺に騙されただけなんだと思えば 少しは気が楽かと思ったんだ チェ尚宮も自分を責める必要が無いかと 俺を責めて気が済めばなんて…そんなの間違ってた ごめんな 変な事言って動揺させて ホント悪かったよ
思ったより早く廃妃にされてしまったけど… イ・シンはきっと君の疑いを晴らして 王族も皇太后も制圧できる
俺は君を騙したりなんかしてない いつだって君に誠実に向き合うから 信じて欲しい」

信じて貰えなくても 俺はホントに最初から返すつもりが無かったわけじゃない
でも こんなに早く彼女の廃妃を許してしまったアイツはいったい何をしてるんだろう…
次は継妃を娶れと言われる日はそう遠くない筈 どうすんだよ…
助け舟が必要なのか?ユルは何してるんだよ!まだ疑われたままなのか?
雨降って地固まると お前を信じてたのに まだミルと皇太后の言いなりなのか?
ユルの信じたイ・シンを チェギョンの愛したイ・シンを俺も信じたいのに…いっそもう迎えに来なきゃいいと思ってみたり…10分前とは違う事を考えてる程ぐちゃぐちゃだった

でも彼女とチェ尚宮はアイツを信じているわけで… だからまあ 俺も信じたいとは思う
アイツが迎えに来たとき チェギョンがまだ帰りたがるならこの手を離すよ
それまで俺にナイトの役目をさせて欲しいと願い出ると チェ尚宮は俺を警戒しながらも 次第に頼ってくれるようになった

だからって特に変わった事なんて何も無かった
日に一度は彼女の顔を見て 週末には海辺や公園を散歩したり 映画に誘った
デートを重ねてる様で…その実距離が縮まってるようには思えなかったし
俺の方を向いてない彼女に何を言っても受け入れては貰えないし 今は彼女の傍に寄り添ってるだけで良かった

だけど チェ尚宮の留守中に階段を踏み外して怪我をしたのに
「赤ちゃんが無事で良かったよ~ ホントおっちょこちょいでやんなっちゃう」
カラカラと笑うチェギョンを見てると酷く苛ついて もう黙っては居られなかった

「チェギョン 君は俺がどんなに焦ったか解ってないよ
マジで 君を守りたいと思って此処へ連れ出したのに 君にもしもの事が有ったら俺…」
「大袈裟だよ…平気だってば」
正直言うと アイツとの赤ん坊が無事ならそれでいいと思ってんのが一番ムカついたんだと思う 
「もう誤魔化さない」
チェギョンを抱き寄せた
「俺ホントに君が好きなんだ 俺が君を守るよ」
腕の中で身を捩るチェギョンを逃がさないようにギュッと
「ダメ… あたしだってジテさんの事は好きだけど ジテさんの言ってる好きと 多分違うから…
あたしはジテさんの事 そんな風に見れない」
なんとかして俺との間に射し込んだ手で押し戻そうとするけど そんな力で俺を拒んでるつもりなのかよ?
仕方なく腕の力を抜いても… ?…逃げ出さなかった 
…た
「試してみよう! 一緒に暮らして」
「む…」
「無理って言うなら 試してからにして?」
顔を覗き込めば頬を染める
…?…全く脈なしってわけでも…無い…?
「チェ尚宮お姉さんがいいと言わないと思うよ?」
嫌だと言わないのか?
「じゃあ彼女がOKしたらいんだな?」

―今 妃宮さまがわたくしとお住まいになられている家に同居という形なら―

それがチェ尚宮の百歩譲った返事だった
なんでよっ!?って言った?…ははは
まぁ 殆どチェ尚宮の弱みに付込んだようなもんかな
彼女はチェギョンを守るのに必死だ
彼女の身の安全が第一って事は 俺も同じだなんて 俺ってホントにずるい男だよな


彼女たちの住む白い家の空き部屋に 荷物を運び込んだ

我慢できずに好きだと打ち明けた 疎い彼女だって薄々気付いてたくせに ずるいんだぜ?
あの夜 DVDを観ながら 俺に背中を預けて…誰を想って居たんだか… 微睡む君は 子犬みたいに俺に気を許してこの腕にすっぽり収まってたくせに
打ち明けて 同居する事になった途端に一線を引こうとするんだからな…

開いてたドアをノックしても部屋には入って来ない

「お昼何食べる?」
「あぁ 俺作るよ って言ってもラーメンでよければね
さっき俺の持ってきた食糧戸棚にしまってたら辛ラーメンが有ってさ あれチェ尚宮のなの?
彼女の買い置きにしちゃチープな気がしたけど…久々食べたくなったんだ…卵を入れると辛さがマイルドになって…」

時々泣いてるとは聞いてたけど 彼女の涙をはっきりと目にしたのは それが初めてだった

「え?なんで…」
俺は言いかけた言葉を飲込んだ ああ… そっか

「泣くなよ…」
彼女の頬を流れる涙を拭ってやる
「泣いてなんか…あれ?あはは 何でだろ?」

「辛ラーメンは 食べたくないみたいだな」
彼女は小さく頷いて 力なく笑った
無理して 笑うなよな
 

ありがとうラブ♪今日もありがとうございますカムサハムニダカムサハムニダ★
ジテも…複雑な思いで 切ないんです
次は本編チェ尚宮目線 また来週→390.韓国皇太子の再婚~商店の小さなテレビが夢にも思わぬような事を伝えていた

 


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