55.噂か誠か… ~打ち明けられたことも ぶつけられたこともないもの | かおり流 もうひとつの「宮」

かおり流 もうひとつの「宮」

「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
「宮」~Love in palace~のYouTube自動再生を止めたい方は
画面右側サイドバーに貼っています 停止して下さい


初めての方は はじめまして から順番に読み進められるようにリンクしています 
前のお話→54.ミン・ヒョリン~女って怖い生き物だよな…
このお話は45.ユル兄さんちの帰り道~そんなことは魔法でも奇跡でも… に次ぐ
二度目ましての チャン・ギョン目線のお話です


「シン」
ヒョリンが 皇太子殿下をそう呼んでいるのは 俺達がそう呼ぶからだろう?友達だからさ
みんな知らないくせに 勝手なこというなよ!

日本語の授業が始まる前
映像科二年の女子と舞踏科の女子がこそこそ話してた
「イン ギョン ファンはともかく 皇太子殿下の事まで 呼び捨てって何様のつもりよね…」
「聞いた?元々カン・インと付き合ってたんだってよ?乗り換えたって本当なの?」
「シィッ!…声が大きいわよ!…三銃士の二人がいるんだから…」
もう聞こえてるよ! ふざけんなよ お前らナニ勝手な事言ってんだ?
ファンも苦い顔をしている…
最近ちょくちょく耳にする噂話…

インとヒョリンは小学校からの長い付き合いだ 中学で俺とファンと親しくなる前から アイツ等はいつも一緒だった
インはヒョリンをとても大切にしていて 男女の交際じゃないんだと否定してきたが ついにキスしたと言ってたから… 付き合ってるはずだろう?
なのになんでヒョリンがシンと付き合ってることになってるんだよ?

「ほ~んと 感じ悪い女じゃない? イイ男に囲まれて お姫様気取りでさ…」
「この前なんか皇太子殿下からクッキーを頂いたんだって 自慢げにみんなにおすそ分けしたんだよ~ …」
俺は 下世話な女どもに聞こえるように わざと大きく溜め息をついてみた
思惑通り 噂話はストップしたけど 胸の中はモヤモヤしてるよ…

放課後 ガンヒョンと駅まで歩いて帰った
あの日…
初雪だ!もう離さない!俺の運命の人!白鳥!ガンヒョン!
慌てて腕を引っ張って たまたますっぽり腕の中に抱きしめちゃって
耳に唇が触れてしまったから… 小さな声で言ったんだ
「見て 今年の初雪が降り始めた ガンヒョン もう諦めて 君は俺の運命の人なんだから」
そしたらガンヒョン カタカタ震えているんだもん
焦ったよ… そんなに嫌なのかなってね… だけどどうしても離したくなくてずっとそうして立ち尽くしてたんだ
どれくらいそうやって立ってたのか… オルゴールのクリスマスソングが流れてきて 真横に聳えたってたクリスマスツリーが点灯したんだ!
きっかけを手に入れて やっと言葉を発した
「ガンヒョン…返事は?」
「はい…」
へ?はいってどういう意味?ただ呼ばれたから返事したの?
えっと…コレってやっぱ…確認しなくちゃだよね?勝手に勘違いとかしたら怒られちゃうモンね?
「俺と付き合ってくれる?」
「はい…」
ホントに?ホントに?!
でも俺ここは興奮して大騒ぎしちゃったら台無しだと グッと堪えたんだ
あれは奇跡だと思った… でも奇跡なんかじゃなかった…
シンには好きな子が居るって ユル兄さんが言ってた 始める前から諦めてる恋…
ユル兄さんにさえ打ち明けない恋
まさか… その相手が ヒョリンだっていうのか?
シン…どうしてヒョリンなんだ?インの大切な人だと知っているから俺達には言えなかったのか?なのにこっそり付き合うことにしたってのかよ?
俺の頭の中では さっき 日本語の授業の前に耳にした映画科の女子と舞踏科の女子の噂話が 未だにぐるぐる回ってた

「ギョン?元気ないのね あなたらしくないわよ?」
ガンヒョンが俺の手を取ったから 自然に向き合う格好になった
「ごめん…ガンヒョン インとヒョリンのことが気になってて… アイツ等と俺 中学に入ってからの付き合いだけど 小学校の頃からずっと仲良かったらしいし なんか信じられなくて…」
俯く俺を覗き込んでる
「噂はあくまでも噂でしょう?本人達の感情をよそに勝手に一人歩きするものだわ…気にしない事よ」
「うん…解ってはいるんだけど…ね」
ふわっと笑って 手をほどいて 「じゃ また来週ね」 と言った
「え?あ…もうついちゃったんだ… ごめん…ボーとしてて」
後ろに一歩下がったガンヒョンは 腰をかがめて口を押えて笑ってる 可愛いなぁ…
「気にしてないわ ギョンって友達思いなのね 意外な一面が見れたかも じゃあね」
「う… 俺だってガンヒョン以外の事考えることだってあるんだよっ!」
あははと笑いながらガンヒョンは俺に手を振ってホームへ消えて行った
日曜日にデートするときは手をつないでくれるけど 制服の時は手も繋がせてくれなかった
でもさっき…ガンヒョンは自分から俺の手を取ってくれた
俺達は順調だ キスなんかしなくても 順調だ…

はぁ~もうっ!どうなってるんだよイン!ヒョリン!
お前ら好きあってるだろ?!だからキスしたんじゃなかったのか?
好きでもないのにキスさせるか?
俺だってそろそろガンヒョンとそうなりたいよ…
だけどまだそんなことしたら嫌われちゃうと思って我慢してるんだぜ?

今週末はガンヒョンに会えなかった
だから
俺はファンだけを誘って ヒョリンを乗馬クラブに呼び出した
「どういうことなんだよヒョリン?」
気になって気になって仕方の無かった俺は いきなりそういってしまったから ヒョリンは顔をしかめた
「いきなり何の話?」
「昨日が初めてじゃないんだ ヒョリンはインに悪いと思わないのか?」
「だから何がよ?」
「噂はあくまで噂だ 俺達はヒョリンがインを捨ててシンに乗り換えるなんて思っちゃいないさ
だけど…火の無いところに煙は立たぬっていうじゃないか!」 
ヒョリンはあからさまに大きな溜め息をついて俺を見る
「インに義理立てしろっていってるの?
で?私はギョンにどうしたらいいわけ?」
「義理立てってなんだよ?そんな言い方ないだろう!?」
「だって私たち付き合っちゃいないって なんども言ってるじゃない」
「それでもインの気持ちは知ってるだろう?」
俺の言葉にムッとした様子のヒョリンは 鋭い視線で俺を睨み付けた

「知らないわ! 仮にインが私を好きだとしても それがどういう感情なのか 打ち明けられたことも ぶつけられたこともないもの」
はぁっ!?キスしたんだろ~が!?なんだよ!俺が知らないと思ってそんなこと言うのか?
あ~腹が立つ!インはお前に夢中じゃないか!なんでわかんないんだよ!
でもキスの話は聞かなかったことにしてるから…
俺が言いあぐねて口をパクパクしてるとこに ずっと黙ってたファンがようやく口を開いた

「ヒョリン?まさか本当にシンが好きなの?シンもそうなの?」
ばか!ファン!なに聞いてんだよ!?
「わからないわ… とにかく 当事者のふたりならともかく あなたたちに先に話すことでもないでしょう?」
そりゃあもっともなハナシだけど…
不服な俺達をよそに ヒョリンは俺たちに背を向け 厩舎へ向かって行った
「藪蛇だったかも…?」
ファンの言葉に 俺は深く落ち込むことになったけど…もう遅かったみたいだ

「よぉ 来てたんだな」
げ… なんでシンが… タイミング最悪… 聞いてた…とかないよな?



今日もお読み頂き ありがとうございます
ぎゃ~ ギョン ファンのオバカ~ 藪蛇~

 

にほんブログ村 ←or↑ポチっ and↓ペタっ お願いしますプッタクヘ

次のお話はあさって朝8:18 → 56.真冬の乗馬クラブ ~そう その綺麗な笑顔だ