菅直人新首相は8日の皇居での任命式を経て、正式に政権を発足させる。B型肝炎訴訟の和解協議やシベリア抑留者の救済法案など、鳩山首相の下で道が開かれた政策も多く、関係者は複雑な思いを胸に交代劇を見守った。

 乳幼児期の集団予防接種で注射器を使い回したことが原因として、10地裁で患者らが国に損害賠償を求めたB型肝炎訴訟。国は5月に札幌、福岡地裁の和解勧告に応じたが、双方の主張の隔たりは大きい。

 全国原告団の谷口三枝子代表(60)は「鳩山首相は『命を守りたい』と言い続けながら、面会にも応じてくれなかった。薬害エイズ問題を解決に導いた菅さんなら、面会して原告の苦しみを理解してくれるはず」と期待を寄せる。

 第2次大戦後、シベリアなどに抑留された日本人を救済する特別措置法案は現在、衆院で審議中。全国抑留者補償協議会の平塚光雄会長(83)は「あと一歩だったが、鳩山首相の辞任で国会での動きが止まってしまった」と嘆く。元抑留者の大半は90歳前後の高齢といい、「対策の実現を急いでもらいたい」と祈るように話した。

 「新しい公共」。鳩山首相が熱心に訴えたNPO(非営利組織)活用政策も、先が見えなくなった。教育や子育て、街づくり……。行政サービスを担うことに希望を膨らませていたNPO「シーズ」の松原明副代表(50)は、「画期的な方針だったが、これからどうなるのだろう」と少し不安な様子。新首相が市民運動出身であることに期待を込め、「菅さんも理解があるといいのだが」と付け加えた。

 一方、国の不作為を認めて、大阪地裁が総額約4億3500万円の損害賠償を言い渡した「大阪・泉南石綿訴訟」。鳩山政権はこれを不服として控訴に踏み切った。原告の1人で、石綿により肺がんを発症した蓑田努さん(67)は「被害者はみんな進行性の病気で、高齢者も多く時間がない。菅さんの判断で控訴を取り下げてくれないか」と語った。

東宮職が週刊新潮に訂正と謝罪要求(産経新聞)
迷走に責任と官房長官、防衛相らは反省述べず(読売新聞)
迷走に責任と官房長官、防衛相らは反省述べず(読売新聞)
世論調査で民主党凋落一途 参院選投票先で「自民」と逆転も(J-CASTニュース)
給付型奨学金導入の是非は 国民負担も増えて…(産経新聞)