「たまには帰っておいでよ」
高校時代の友人から突然LINEがきた。
今回に限らずこの友人からの連絡はいつも突然なんだけど。
無性に地元に帰りたくなった。
少し前に地元を舞台にした小説を読んで、少しだけ泣いてしまって、そのときに郷愁に襲われたことを思い出した。
100万人に満たない地方都市で、思いっきり方言で喋りたい。
そんな欲望が今膨らみつつあります。
地元で働いたらどんな感じなのかなあ。
人は少ないけど、職場の絶対数も少ないから職にあぶれたりしないかな。
シェア50%超えの業界最大手の企業があるから関連職には困らない気はするけど、私はきっと関連職ではなく今の仕事をずっと続けたいと思ってるんだと思う。
夏には帰る。
しかもその帰省は「第二の故郷を経由して第一の故郷に帰省する」という一大イベント。
まずは縁のない地へ。第二の故郷で強烈に愛し合った親友が住んでいるところ。
そこから第二の故郷へ。大学時代に出会ったネガティブ友達の家に泊まり、最愛の教え子と飲み、最強の教え子と食事をし、社会人になって出会った超美人の友達と飲み、テンション低く語らい合った友達とも飲む。そして高校時代の親友にも会わなければ。
そして本当の故郷では恩師に会ったり、親友に会ったり、忙しい。
でも楽しみ。
たまには帰っておいでと言ったのはおそらく私の一番の男友達。
高校時代に共に戦い、嬉しい時も悲しいときも一緒に分け合った最強の戦友。
お互い恋愛感情を一切持ったことがない、どちらかと言うと女友達みたいな感じで付き合っていた彼。
私が美しさへの執着を持つきっかけになった友達。
彼も私も、校内では有名人だった。
だからいつも一緒に居た私たちを付き合ってると思う人はたくさん居た。
学校裏サイトが出始めた頃で、有名人である私たちはよく悪口を書かれた。
「生徒会長って彼女いるの?」という書き込みに、「あのいつも一緒に居る副会長のブサイクな女じゃない?軽音部の。」というレスを見た。
付き合ってないけど、「生徒会長の彼女はブス」と認識されていることが許せなかった。
自分がブスと言われたことに腹を立てたというより、彼に申し訳なかった。
付き合ってないけど、「ブスと付き合っている」と言われていること。彼に対して申し訳なくてたまらなかった。
彼がかわいそうだと思った。だから私は美しくならなければならなかった。
常に努力を重ねて、ブスと言われることはなくなった。
可愛いや美人と言われることも出てきた。
旦那と付き合っていた頃、旦那の職場の先輩が私のことを可愛いと言っていたと聞いて安心した。
今の彼氏は私を綺麗だと言ってくれるけど、少し不安だったりする。
彼の妻が美人ではないから、そんな人と結婚までしたわけだから、彼は美人でない人が好みで、彼の言う綺麗は私にとって不名誉なことなのではないかと。
だから、彼は妻を外見ではなく中身で選んだのだと言い聞かせている。
先週掃除をしていて、美容外科の保証書が出てきた。
受けた整形は2年間保証で、その期日は数ヶ月前に過ぎていた。
2年経っても問題なし。
人前で笑うこと、人と目を合わせること。
この整形がなければ今もできないままだった。
少し自分に自信がついた。やってよかった。
私はこれからもずっと、美しさに磨きをかけてゆく。
パートナーのために、そして自分自身のために。