漬きかげんの、あざやかな紺色の肌へ溶き芥子をちょいと乗せ、小ぶりのやつを丸ごと、ぷっつり嚙み切るときの旨さを何と形容したらよいだろう。

さほどに、この夏の漬物の王様の味わいは一種特別のものだ。

煮びたし、網焼き、蒸し焼き、シギ焼き。いずれもわるくはないが、何といっても糠漬けがいちばんだ。

茄子は南方温暖地方が原産地だというが、日本では千年あまり前から栽培をはじめてい、我国の風土が、この野菜の味わいを更に洗練させたといっていいだろう。

(略)

漬物もよいが、私は夏になると小さな焜炉へ金網をのせ、二つ割りにした茄子の切口へ胡麻油を塗って焙り焼きにし、芥子醤油でやめのが好きだ。この時は冷酒を湯のみ茶わんでのむ。

 

ぬかづけが一番といいながら、なつだけにやる、特別の料理。

夏といっても昨今のように35度、40度なんて温度になる前の、頃合いに、わざわざ焜炉を出してきて、自ら茄子を焙ったんですね。いまではちょっと秋口になっても今年なんかはできなかったかもしれません。

それと、季節もののみずみずしい茄子がいいんでしょうね。

胡麻油の香りに食欲がそそられます。

ちょっとためしてみたい気がします。