先日、近所に住んでいる若い方で、アパレルの関係のデザイナーを目指している方を、数年前に知り合った、若手デザイナーさんに紹介してきました。

そのデザイナーさんは座波ケニアさんという方で、keniamariliaというブランドを立ち上げていらっしゃいます。

 

座波さんは、日本の和服を洋服にリメイクするお仕事をされています。

 

デザイナーの卵の方と一緒にお話をお伺いして、印象に残ったことがいくつかあります。

 

第一には、この方は、今取り組んでいらっしゃることの意義を心から腹落ちして、納得してやっているのだなぁ。ということです。

まずもってとにかく着物に詳しいのです。

いつものことですが、アトリエにその時おかれている、和服や端切れひとつひとつについて、それが何時ころどこで織られたもので、その地方の当時の一般的な織り方に沿ったものなのかどうか、等詳しく教えてくださいます。戦前より以前の織物であれば、驚くべきことにその多くに、織り手の個性が反映されているのですね。

そのひとつひとつの工夫の跡を、座波さんは驚嘆の気持ちを込めて熱く語られます。

本当に和服特に織物がお好きなんだなぁ。と思います。

 

今回、こんなお話がありました。

日本の多くの織物で、大ぐくりで見ればその織物は残っていて現在でも制作されていても、その中の特定の技法は既に織れる人がいなくなって途絶えてしまっている。その技法については今存在するものがこの世ですべて。

博物館にあるわけでもなく、古着は人気がないので放っておくと焼却されてしまうのが現状。

それなら、その古着をリメイクして、その織物の寿命を延ばして楽しもう、と考えている。1枚でも多くの織物をリメイクしたい。

着物は日本のこころを表す大切なもの。それを廃棄するのではなく、楽しみながら使っていきたい。

 

私は、この考えにとても感動しました。

座波さんのデザイン、とても素敵なんです。

下記のホームページを見てくださいね。

https://keniamarilia.jp/

 

もうひとつ、私が印象に残ったことがあります。

私は、デザイナーさん特に、衣服のデザイナーさんは、なんというか芸術家といったらいいのか、純粋にデザインをするというイメージだったのですが、そうではないのですね。

生地屋さんとか、縫製屋さんとのチームワークの仕事なんですね。

座波さんがやりたいことは、型紙に書き込まれているはずなんだけれど、それをきちんと読み込んで、座波さんの意図を汲み取って仕事を完成させてくれる人がいるのです。

それを座波さんはそこを強く意識されていて、そういう共同作業のメンバーとのコミュニケーションを大切にされているのだなぁ、と感じました。多分、チームを作って維持していくための、気遣いや努力があるのでしょうね。

具体例として、ボタン穴の加工の仕方について、いちいち言わなくても、イメージ通りやってくれるお話がありましたが、悲しいかな、技術的な事柄については、私がさっぱりついていけません。

 

なんだかとりとめがないのですが、私が素晴らしいと感じたことは以下の2点です。

① 座波さんは、和服を心から愛していて、そのままでは廃棄されてしまう和服を少しでも長く楽しめるようにという想いから、その生地を使った洋服をデザインしている。

  というと、なんだかデザインはおまけのように聞こえますが、決してそんなことはなく、着やすくてリラックスできる上に、ふんわりと優しいデザインです。私自身、着ていますのでこのことは保証いたします。(https://keniamarilia.jp/)

➁ 座波さんは、この素晴らしい仕事を、有能な仲間と十分なコミュニケーションを取ってチームワークでやっていること。

 

私は、自由業の方が成功する条件は、自分の考えを心から信じてその実現をひたすら目指す強い想いと、それは一人で実現することは難しいので、助け合える仲間とのチームワークの2点だと思っています。

それを座波さんは実現させていらっしゃいます。そのことが強く印象に残りました。