警察からタツジに連絡があった。

学校近くの警察署に呼ばれ事情聴取をされた。

母親が付き添ってきた。

私も心配で警察署に行ったが、被害者からの訴えとのことで、

学校関係者は直接関与できなかった。

タツジは、警察署でもすっかり「顔」だった。

小学生の頃から傷害で度々「世話」になっていた。

しかし、今回の傷害事件で少年院の可能性もないとはいえなかった。

タツジの少年らしい一面を見た私は、タツジがりっぱに立ち直りそうな可能性を感じていた。

腰かけ的に中学教師になった自分だが、タツジとの出会いは、自閉症児との熱き思いを彷彿させるような予感がした。

「タツジを救えるのは自分だけだ・・・」

心から思った・・・

家庭裁判所で判定を下されると聞いて、必死な思いで裁判所に手紙を書いた。

彼の家庭環境や生い立ち。そして、本当は心の優しいひとりの少年であることを便せん10枚に切々と書いた。

書きながらタツジがふびんに思い、不覚にも便せんに涙を落してしまった。

あの日、タツジの涙を見なかったら書けなかったろうし、心からタツジを救いたいとの思いだった。

そして気づいたことがあった。

中学教師になってまだ数日だが、やっと本気になったような気がした。

この思いをすっかり忘れ、うわべだけの言葉と態度で生徒たちと付き合っていた自分が情けなかった。

悩み苦しんでいるのは、タツジだけじゃないんだ・・・

生徒たちも、いい加減な学校生活に満足している訳じゃない。

タツジから教師のあるべき姿を教えて貰った気がした。

タツジは、どんなことがあっても立ち直らせる・・・・

そう決意を新たにした・・・

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