委員長のヨウコが席を立った。

「先生。タッチャンを少年院行きから救ったそうですね。」

タツジが今回の事件をクラス全員に話していた。

「別にタツジを救ったつもりはない。

確かにタツジは相手にケガを負わせた。

でも、タツジにもそれなりの理由があったし、一方的に悪者にされていたので、そうじゃないことを裁判所の人に伝えただけだ。別に特別な事じゃないさ。」

正義感を押し出そうとは思わなかった。

生徒を救ったヒーローになどになりたいとも思わない程、

昨日からの自己嫌悪が続いていた。

やや投げやりな言葉に、生徒たちは驚いた様子だった。

せっかくの雰囲気を壊すような自分の態度だった。

また、生徒たちに「不快感」を提供したと思った。

「不快」を提供すれば、必ず自分に「不快」が返ってくる。

それでもいいと思った。

なぜか、昨日タツジに話したことが心に棘が刺さったようで気分が晴れなかった。

相手から愛されたいのなら、先に好意を提供しろといいながら、こうして自分は、嫌悪感を提供している。

「先生。先生はタッチャンから聞いた話と全然違うね。」

ヨウコの言葉には怒りが満ちていた。

おそらくタツジから話を聞いて、私を受け容れようとしていたのだろう。

そんな生徒たちの期待を意図的に裏切っているのが分かった。

なぜだ。なぜ素直になれないのだ。

思いとは逆の態度をとり続ける自分に腹がたってきた。

次回へ