なんで泣いているのか・・・分からない。

タツジより15センチも小さく、弱気な私に殴られて悔しいのだろうかか???

タツジが涙を流しながら語り始めた・・・

それは中学2年生の男の子という素直な「表情」だった。

「なにかあるといつも俺のせいなんだ・・・・

いつも俺が悪の調本人なんだ・・・

俺の親父がヤクザということもあって、教師を含め俺の話をまともに聞いてくれる大人はいないし、何かある度に、全部俺のせいにされる・・・・」

何を話し始めるんだ・・・・タツジの態度に驚きを隠せない・・

「そのくせ空手をやっていて手荒な俺に責任をなすりつけても、本気で怒る教師なんか一人もいない・・・

初めてだよ・・・こんなチビで弱い先生に殴られたなんて・・

弱いくせに・・・・あまりにも弱過ぎて手も出せない・・」

本気で叱られたことがない・・・・??

それまで張りつめていた糸が切れたように話し始めた。

「俺があいつを殴った理由は・・・・・

あいつは自分の学校の後輩からカツアゲをしていたんだ。

駅前のデパートの3階にゲームセンターがあるだろう・・

あそこでさ・・・ジュークボックスのあたりさ・・・

自分の学校の後輩に手を出すなんてゆるせねえ・・・

先生・・俺がひとつだけ守っていることがあるんだ。

それは、自分の学校の生徒には、絶対手をださねエ・・・

ヤクザのオヤジの影響かもしれないけど・・・

同じ学校の生徒は、全員身内なんだ。身内からカツアゲする奴はゆるせねえ」

殴った理由を話し始めた・・・・

「どうしてさっきそれを言わなかったんだ??」

恐る恐る尋ねた・・・

「どうせ俺のいうことなんか信じやしねえだろう。いつもそうさ

言い訳としか思わないんで・・・」

タジツなりの苦悩を抱いていることに胸が締め付けられた・・・

「先生は、チビで弱いくせに・・・俺に手を出すなんて、ただのバカか本気か・・・なんか・・・殴られて突っ張っていた気持ちが弾けたんだ・・・・情けないけどさ・・・」

突然、タジツがいじらしく、例えようのないかわいらしさを感じた。

どんなに粋がっていても、やっぱり中学2年生の子どもなんだとタツジを抱きしめたくなった。しかし、大きすぎた・・・・

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