「今から教師を目指そう・・・・」

日本中の子どもたちに、「やればできる」を体感させたい。

心からそう思った・・・・

泳げるとは思えなかった心境から指導を始め、実際には

複数の子どもたちが25mを泳げるようになった。

嘗て味わったことがなかった感動をたくさん手に入れた。

そして、その感動が私の心を突き動かした。

自閉症児の指導は、週一回だけでは、物足りなさを感じた。

日々、朝から晩まで彼らといっしょにいたかった。

それには、養護学校の教師になればいい・・・・

単純な発想だった。

しかし、教員資格はあっても養護教諭の資格はなかった。

中学校から養護学校へ転勤した友人を思い出した。

「そうか。まずは中学校の教師になり、いずれ異動すればいい」

そう心に誓った。

そして5月のある日・・・

「部長。突然ですが、来年3月いっぱいで退職します」

「なに?なんだぁ突然・・・・・」

「来年4月から中学校の教師になります」

「はぁ??採用が決まったのか?」

「いえ。採用試験はこれからです。」

「なにを言っているのか、わからん・・・」

「つまり・・・試験には100%合格します。

そうなると採用は、来年の4月からです」

「おまえ、まだ試験も受けてないのに、合格や採用されることが

決まっているのか?なんかコネでもあるのか?」

「いえ、何もありません。ただ、間違いなく合格し採用されます。

なぜならば、教育現場は、私を必要としています。」

傲慢なまでの自信・・・・いや、ただのハッタリだった。

「ばかやろー。こっちだってお前を必要としているんだ。

本社の営業開発部に異動させる準備をしていたんだ。」

驚いた・・・・そんなにも期待していてくれたなんて・・・

入社した時から憧れの部署だった・・

今回の自閉症児の指導は、大手新聞社も取材にきた。

A新聞にも掲載され、反響がすごかった。

また障害児協会からも表彰され、その成果が評判を呼び、

会員数もいっきに増加した。

「お前は、現場にいるより本社でどんどん新しい企画を

提案してほしいと思っていたんだ。

私と一緒に仕事をしようと思っていた・・・・

しかし、やっぱりな・・・そうかぁ・・・

水泳だけで終わるとは思っていなかったよ。

まぁ、お前が決めたのなら、しょうがない・・・・好きにしろ。

ただし、いつ戻ってきてもいいからな・・・

私は、待っているぞ・・・いいな。いつでもいいんだぞ・・」

嬉しかった。

尊敬する部長からの期待がひしひしと感じた。

こんなにも期待していてくれたとは・・・・

この時に学んだ事は、その後の生き方に大きな影響を及ぼした。

「去り際は惜しまれて去る・・・仲間や組織に惜しまれて」

どんなことがあっても教員試験に合格しなければ・・・・

その日から、採用試験の勉強が始まった。

毎晩、明け方の3時までの試験対策が始まった。

ひとりでも多くの子どもたちに「感動」を味わわせたい。

成功体験を味わわせたい。

それだけが支えだった。

眠い目をこすり・・・何度も挫けそうになった。

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