「お前は犬のクソ以下だ。給料泥棒だ。いくら100件訪問しても


契約ゼロじゃ仕事をしていないのといっしょだぞ。


今のお前には、基本給の12万円だって高過ぎる。


この部屋の空気を吸ってもいいが、吐くんじゃねんぞ。


お前のようなクソ社員のダメ菌を部屋に蔓延させるんじゃねえ」





それまで、地方公務員で年収650万だった私は、自分の夢を


叶えたく、大勢の反対を押し切って「安定生活」を捨てました。


時の上司も同僚も、ほとんどが反対したのですが、どうしても


夢を捨てがたく半ば衝動的に仕事を捨て飛び出しました。





最初に選んだ仕事は続かず半年で辞め、


その後、仕事を探しまくり、やっとめぐり会えたのが、


基本給12万円、年収144万円プラス完全歩合制、


社会保険なしの、飛び込み訪問販売営業でした。


「実力次第で、月収70万も可能」という文言に心ひかれ、


期待を胸に選択した仕事だったのです。




扶養家族が4人、夢を掴むどころか、4人を養うことが


いつのまにか、最大の目標になっていたのです。




公務員という立場を長年続け、「金を稼ぐ」ことの大変さを


全くといっていいほど、認識できていませんでした。


正に、世間知らずの「バカオヤジ」でした。






年齢も40歳を目の前にして、採用してくれる会社もなく、


飛び込み訪販という厳しい条件の仕事しか見つかりませんでした。




そこで、それまで味わったことのない屈辱と恐怖を味わいました。


その時思ったのが、公務員というのは、夢のように安定した


職業であるということ。



大金持ちになる夢さえ抱かなければ、一生涯、安心、安全を


を確保できる職業。


しかし、時すでに遅し・・・。





そして、毎日、毎晩、後悔の日々を送り、仕事にも身が入らず、


自分を責め続ける日が続きました。


不安と恐怖で夜も眠れず、酒の力に頼る日々・・・




そんな気持ちで、訪問販売などという「精神力」を必要とする仕事で


成果など出るはずはありません。



次第に、インターフォンを押す手も震えだし、身体全体が緊張し、


人と会う事さえ恐くなっていったのです。



対人恐怖症かぁ・・・・

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