【赤字のお仕事】
違法な無修正画像はダメ! ちゃんと修整を 「修正」「修整」の違いとは?

 

「国会提出の前に、与党が法案の修正を協議した」

 「スマートフォンの写真修整用のアプリを使って、見ばえをよくしたいな」

 漢字の字面や読み方、そして意味も似ている語というのは、使い分けに困ることがしばしばあります。そのため、マスコミ各社は自社の用語集で、悩みそうな「同音異義(類義)語」についてリストアップし、その書き分けの基準を載せて表記に迷わないよう工夫をしています(とはいっても、校閲記者でも紛らわしいものが、たくさーんありますが…)。

 

 冒頭に文例を挙げた「しゅうせい=修正、修整」も同音語で似たような言葉です。使い分けるには、どこに注意したらよいでしょうか? 少し考えてみます。

 まずは、「修正」。こちらのほうが、一般的によく使われると思います。

 辞書を引くと、

 《まちがっていたり、不十分であるところを直して正しくすること。「軌道を修正する」「修正案」》(『大辞林』、三省堂)

 と載っています。

 弊社の「産経ハンドブック」にも、辞書と同じく語義として「正しくする、直す」と明記してあります。「修正」の「正」の字義に沿った使われ方ですね。

 一方の「修整」、辞書には

 《(1)ととのえなおすこと(2)写真・印刷で、ネガや印画の傷を修正したり、画像を装飾したりすること。レタッチ》(『大辞林』)とあります。

 (1)の「ととのえなおすこと」は「修正」と、意味が重なっている部分もあるようですが、(2)の説明にある通り、写真・印刷の世界で使われている語であることが分かります。原板の傷を消したり、画像の一部を削って描き加えたりする場合がイメージされます。

 

 今のスマートフォンの画像アプリで自分好みの写真に変える行為にも、「修整」の表記がピタリとはまるような気がしますね。

 「修正」「修整」については、だいぶ使い分けの法則が分かってきたのですが、これに「無」という漢字がつくと、どうなるのでしょうか。

 ニュースで、このような表現は見かけませんか?

 「無修正のわいせつ画像、DVDを販売 男5人を逮捕 ○○県警」

 「わいせつ物頒布等の罪」(刑法175条)に問われるのを承知で、施すべき必要な処理をしないで、その画像や動画などを販売して捕まった、というような記事が時折、掲載されます。このとき「わいせつ画像」を処理しない=「無しゅうせい」には、どちらの表記を当てるべきなのでしょう?

 「画像」「写真」に重点を置けば「無修整」でしょうか。確かに、その作業(隠すべきところを隠す)のみを指すのであれば、修整です。

 一方、法律に反しないための必要な作業をせずに、違法となるのを承知で販売してもうけたという行為に注目すれば、「無修正」でしょう。「正しく直さなかった」のですから。

  このように、新聞などでは、「修正」は広く一般的に使う語で、正しく直すという場合に、「修整」は写真や画像、動画といったものをよりきれいに直すといった技術的な作業に使う場合に、といった使い分けをおおむねしています。

 スマホで撮った写真を、「インスタ映え」するようなきれいなものにしたいと「修整」に励むのもいいですが、あまりに「盛りすぎて」(過剰に飾り立てて)、もとの画像が想像できないほどにしてしまうと、ちゃんと「修正」して現物に戻せ、と言われるかもしれませんね。(時)