ユダヤ人の聖典であるトーラー。


トーラーは「モーセの五書」と言われ、創世記(ベレイシット)、出エジプト記(シェモット)、レビ記(ヴァイクラ)、民数記(バミッドバル)、申命記(デヴァリム)の5書である。


巻物なので、まさにユダヤ人の「虎の巻=トーラーの巻」である。真顔




私は個人的に日本語の「トラの巻」=すごい秘密の隠された巻物は、「トーラー・スクロール(巻物)」から来ていると信じてやまない。口笛


ユダヤ人はこれを54に区切っていて、それぞれに名前がついている。各部分のことをパルシャと呼んでいるので、「今週のパルシャは〜」という具合。


👇以下が、各パルシャの名前が





このパルシャを毎週ひとつづつ(複数読むときもあり)、一年間かけて読む。そして、新年になるとまた最初に戻り、また最初から、54のパルシャを読む。これをもう、ずーっと、ユダヤ人は繰り返している。


今週のトーラー部分は、トーラーの四番目の書である「バミッドバル(民数記)」の最初の部分である。

 

今年も、もう4書までやってきた。毎年同じものを同じペースで読み進めていくと、時間が過ぎることの速さを感じざるを得ない。

 

さて。

 

このバミッドバル、英語では「Numbers(数)の書」と呼ばれている。


それは、この最初の部分のほぼ全体がユダヤ人の国勢調査で、各部族が個別に数えられ、すべてのユダヤ人の総数が算出されるからである。

 

出エジプト記などに比べると、ストーリー性やドラマ性が全くといっていいほどない。


なぜ、この国勢調査が大切なんだろうか。聖書に、なぜ国勢調査が書かれているのだろうか。


それは、「すべてのユダヤ人が重要であり、一人ひとりが特有の価値を持つことを私たちに思い起こさせるためだ。それぞれのユダヤ人がいなければ、他のユダヤ人に何かが欠けることになる。」と、とあるラビは言う。

 

モーセは部族の指導者たちに国勢調査の監督を手伝ってもらった。

 

全部で12名の各部族の指導者は、単に自分たちの部族を数えてモーセに報告するだけではなく、他のすべての部族の国勢調査に関与した。これは、一人ひとりのユダヤ人の価値が他のすべてのユダヤ人に影響を与えることを強調している。一人のユダヤ人の重要性が明らかにされると、他のすべての人々もその人から利益を受けるのだ。だから、部族の指導者たちは他の部族の国勢調査を手伝ったのである。そしてまた、彼ら自身の価値も、他のユダヤ人がいなければ影響を受ける。他のユダヤ人がいるからこそ、指導者として成り立つのだから。

 

私たちはお互いのために存在し続ける

お互いに利益をもたらし

自分の価値と重要性を知り

お互いに特有の価値を提供しあう

 

こう、改めて自分にリマインドする。

 

だから、ユダヤ人は、

 

自分は小さな存在である。ショボーン

自分の存在なんて、ちっぽけなものである。ショボーン

自分がいなくたって世界は変わらない。ショボーン

 

とは考えない。


自分に対して卑下することは決してない

 

自分は、神の一部である。✨

神から使命を授かった、立派に存在する個人である。✨

他のユダヤ人、しいてはすべての人々に利益をもたらすことのできる人間である。✨

 

と考える。

 

この、「自分は神から使命を受けた立派な存在である」という自己の存在そのものに対する揺るぎない自信のうえに、

 

自分はまだまだだ。

自分はもっと成長できる。

どうしたらもっと神に近づけるだろうか?

 

という、謙虚な気持ちを持つのである。

 

自分を卑下することと、謙虚でいることは全く異なる。

 

私はここに、ユダヤ人の成功の秘訣を見る。

 

まず、

 

自分の存在そのものに揺るぎない自信をもっていること。

 

②毎日、毎週、毎年、トーラーを通して、自分が神様から授かった価値と個性を常に確認し続けていること。

 

③「自分には何が提供できるか」という使命を常に検討し、実行していること。 ※模索し続けるのではない。検討して、実行する。ユダヤ教は、考えるより行動が大切である。

 

④同じ文章から常に新しい見方を見出し、新しいことを学び、新しい解釈をつけていくこと。つまり、同じことに対して、多方面から考えたり、人とは違う解釈を考え出そうとする習慣を持っていること。


⑤ある解釈が出されたら、「本当にそうか?」と疑問を持ち、検証する習慣があること。質問し、疑問を持ち続ける

 

今週末は、シャヴオウト、という祭日がやってくる。


👇シャヴオウトについてはこちら


 

シャヴオウトは、ユダヤ人がシナイ山で神からトーラーを授かったことを祝う祭日である。

 

この日には、改宗者である「ルツ記」が読まれ、改宗者である私は毎年、この「ルツ記」を読んで思いを新たにする。


👇子供向けの「ルツ記」。とてもわかり易いのでオススメ。このアートスクロールという出版社は、ユダヤ教書籍の大きな出版社。

 

 


確固たる自分の存在意義を持ち、常に謙虚な姿勢で新しい発見と学びを得ながら成長し、他に提供し支えあう。

 

シャヴオウトを前に、気持ちを新たにした。