今年も、長かったパスオーバーが終わった。煽り

 

今年のパスオーバーは、4/6の夜~4/13の夜までだった。

8日間。

 

今年のパスオーバーの備忘録を残しておきたいと思う。

 

パスオーバーとは、「Passover」。日本語では「過ぎ越しの祭り」と訳されていて、ヘブライ語では「ペサハ=Pesach」と言う、ユダヤ教の祭日である。

 

パスオーバーについては、こちらの「スカースデール村から」でとてもわかりやすくかかれているので、こちらをどうぞ👇

http://www.scarsdalemura-kara.com/passover.htm

 

👇映画、「プリンス・オブ・エジプト」をみれば、パスオーバーのストーリーが分かる。

 

このパスオーバーの祭日というのは、楽しいのだが、本当に過酷である。(笑)

 

というのも、この8日間は、パンやパスタ、ピザといった小麦粉(Chametz=ハメツと言う)を使ったものは一切食べてはならず、アシュケナージ系ユダヤ人(私たち)に至っては、米や豆類、とうもろこしなんか(キトニオートと言う)も一切食べてはいけない。

 

ご飯ダメ。うどんダメ。そばダメ。醤油ダメ。味噌ダメ。枝豆、豆腐もダメ、という、日本人の私にとっては過酷な食生活となり、ピザダメ、パスタダメ、となるので、それでなくても好き嫌いが激しくて食べるレパートリーが少ない我が家の息子たちの食べるものがますます限られる。

 

私の友人はセファルディム系ユダヤ人と結婚しているので、キトニオートを食べてもよいから、寿司なんかをパスオーバーでも堪能していて、ほんとに羨ましい。

 

食べてもよいものは、

 

マッツァという平たいクラッカーのようなもの。種無しパンとも呼ばれる。我が家の定番は、このシュトライツというブランドのもので、これはニューヨークのブランド。

 

 

 

 
こちらのユフダマッツァ👇も美味しく、こちらはイスラエルのブランド。
 
 

大きさは、20x20センチくらい。味はない。

 

(マッツァにバターを塗ったり、サワークリームやクリームチーズ、チョコレートスプレッドやジャムなどを塗って食べたりもする。)

 

肉、魚、野菜、果物、乳製品。

 

なので、この一週間は、基本的に「グルテンフリー生活」と言ったところだ。

 

ポテトスターチを使ったもの、たくさんのじゃがいも、たくさんの卵、なんかを食べるのだが、長年の経験から、ユダヤ人ママたちが見出したパスオーバーレシピがいろいろと出ていて、

 

定番どころは、

 

マッツァの上にピザソースとチーズをかけた「マッツァピザ」。超薄ピザと言う感じで、年中食べられるくらい、超美味しい♪

 

 

 

 

マッツァを砕いて卵を混ぜた「マッツァブライ」。マッツァのスクランブルエッグといったところ。

 

 

 

 

マッツァを細かく砕いた「粉」を使って、トマトソースとチーズを交互にレイヤーにした「マッツァラザニア」。

 

 

 

 

マッツァの「粉」を使ったふわふわの「マッツァロール」。

 

 

 

などがある。

 

ユダヤ系スーパーも、一カ月前頃からパスオーバー仕様に変更になり、「パスオーバーのものはこちら」「ここはハメツなので要注意」といった張り紙がされるようになったり、その通路が通れないようになったりする。

 

私達が愛用している、モンツィーという超正統派ユダヤ人コミュのあるスーパーに至っては、駐車場に「パスオーバー専用ショップ」のテントを設けて、そこでパスオーバーの食材を販売する。

 

※このインスタは、レイクウッド店のものだけど、ほぼ同じ。

 

おもしろいところでいうと、

 

水や炭酸水もパスオーバー用のものになるし、

普段は白いキャップだが、パスオーバー用はブルーのキャップ。

 

 

 

 
 

 

コーラも普段はコーンシロップを使っていてパスオーバーでは飲めないため、パスオーバー用にこの期間だけ、キャップの色が黄色になって砂糖で作られた「パスオーバー用のコーラ」というものが存在する。

 

 

 

このコーラのほうが美味しい、といって、一年分をこの時期に大量買いする人達もたくさんいるとか。

 

歯磨き粉はもちろん、(歯ブラシも必ず新品に新調!)

 

紙ナプキンですら、「パスオーバー用」のものになるのだから、行き過ぎやろ!?と思うんだけど、気にする人は徹底するから、なのだろう。

 

 

 

 

 

この8日間は、レストランも閉まっているところが多いし、どこへ行くにもパスオーバーに食べていいものだけ&マッツァを持って行かなくてはいけないので、本当に大変。。。滝汗

 

そして、マッツァを食べると便秘になるのは、有名な話。(笑)

 

ただ、食べ物に関していえば、規制が厳しいとはいえ、ユダヤ人ママの知恵のおかげで、本当にいろーーーんなものが食べられる。

 

パスオーバー用のレシピ本もいろいろ出ている。

 

 

 👆 ほんとにいいレシピ本で、年中この本のレシピを作ってる。

 

 

 

 👆新しいレシピ本❤

 

のだが。

 

食の規制よりもパスオーバーを過酷にしているのは、

 

その用意

 

である。えー

 

小麦粉(ハメツ)が家の中に残っていてはいけないから処分し、残されたものは覆って隠したり、食器棚を開けられないように工夫したりする。(そして、残ったものは非ユダヤ人に「売って」、ハメツを一切所有していないことにし、パスオーバーが終わったら「買い戻す」ということをする。)

 

前日の夜には、「ベディカ・ハメツ」といって、パンのくずを家中10か所に隠して探し、紙袋に入れて、それを次の日の朝に焼き、「これで今年のハメツは全部なくなった」とする。これが燃え尽きると、いよいよペサハの始まるなぁ、という感じがする。

 

また、小麦粉(ハメツ)やキトニオートを使った食器や調理器具をパスオーバーの最中に使ってはいけないため、パスオーバー8日間だけのための食器、料理器具を使わなくてはならず

 

パスオーバーの8日間だけのために、

 

キッチン総入れ替え

 

となるのである。

 

もう、本当に引っ越しレベル。滝汗滝汗

 

パスオーバー8日間だけのため(しつこい?)の食器、料理器具も、乳製品用と肉製品用、それ以外のパラブ用と3セットが必要(ユダヤ人は、コーシャーという食規制があり、肉製品と乳製品を同じ食器、調理器具で食べたり料理したりしてはいけない)なため、

 

家の中には、パスオーバー時の3セット、それ以外の時の3セット、合計6セットの食器類、調理器具、カトラリーが揃っている、という、すごい量の調理器具がある。ニヤニヤ

 

シンクの中のゴミ受けすら、パスオーバー用のものに変更するのだから。

 

パスオーバーの数週間前からキッチンを空にして、徐々にキッチンを入れ替えていき、パスオーバー用のものを一週間前にいれて、パスオーバーの料理を始める。


スパイスも、塩も、胡椒も、砂糖も、マヨネーズも、油も、ありとあらゆる食材で、パスオーバー用のものしか使ってはいけない。スパイスなんか、8日間で使う量など限られているため、去年からの繰り越しのものを使ったりするが、結局は新鮮なものを使いたいので毎年買い替えることになり、本当にもったいない。


この用意が壮絶なため、義理の母は、いつも「こんなことを言っていけないのは知っている。でも。。。。本当にパスオーバーが嫌い~!」と嘆いている。ゲロー

 

それくらい、負担が大きい。

 

だから、世界各地に「パスオーバープログラム」というものが存在していて、この時期になるとパスオーバーのバケーションに出かける家族も多い。学校もこの期間は休みになるしね。

 

そうすれば、家の中をパスオーバー仕様にしなくて済むから。

 

 

フロリダ、バハマ諸島、メキシコなどのリゾート地にあるヒルトン、シェラトン、ウォルドーフアストリア、世界的に有名な超ラグジュアリーホテルまでがこのパスオーバープログラムを提供していて、この期間はホテルのキッチンをパスオーバー用にして、24時間7日、パスオーバー用の食事を提供してくれるのだ。

 

ユダヤ人の影響力はすさまじい。。。と思わざるを得ない。ポーン

 

ルシュキちゃんのお友達一家も、今年はフロリダのウォルドーフ・アストリアが開催するパスオーバープログラムへ参加していた。✨

 

だが、これらのプログラムは、もちろん高額である。

 

ご近所さんは、とあるパスオーバーの8日間のプログラムに家族8人で参加するため、450万円支払ったと言っていた。滝汗

 

それくらい、高い。

 

お金で解決できるなら我が家もそうすればいいじゃーん、と思うのだが、そう簡単にはいかない。

 

パスオーバーの初日2日間の夜は、セーダーという儀式的ディナーを、ハガダという本を一冊読み進めながら食べる。その中に食事の時間があって、このセーダーは、夜の8時から始まり、終わるのは夜中の12時過ぎ。

 

しかも、イスラエル以外のディアスポラユダヤ人は、まったく同じセダーを2晩繰り返さなければならない。イスラエルに住んでいる人達は1晩だけ。

 

2晩目は、1晩目よりも遅い時間から始めなくてはならないため、2晩目のセダーが終わるのは、深夜1時過ぎ。。。チーン

 

セーダーでは、子供が「マニシュタナ」という歌を歌ったり、

 

 

子供たちがマッツァのひとかけである「アフィコーマン」を隠して、大人と欲しいものをネゴシエーション(交渉)し、アフィコーマンを大人に返して欲しいおもちゃをもらう、という駆け引きがあったりと、とても楽しい。

 

 

 

でも、プログラムに参加すると、バンケットホールで、このセーダーを他の何百という家族とともに食べることになり、それが本当に「セーダーらしくない」のだそうだ。うるさくて何も聞こえない。ペースが乱される、など。プライベートルームを借りることもできるのだそうだが、それはそれは信じられないくらい高いので、結局はこのバンケットホールにて、大勢でセーダーを進めることになるのだそう。

 

主人の家族は20年くらい前にプログラムに参加したが、その時に体験したセーダーが全然良くなかったという経験があるから、プログラムには行きたくないのだそうだ。「セーダーは、家族揃って自宅でやるもの」という気持ちが強い。

 

ちょうど、日本でいうと、年末の掃除をして、忙しくおせちを作り、家族みんなで揃っていただく、という感じなのかもしれない。

 

それに、主人には、95歳のおじいちゃんがいるから、長い旅行は難しい。

 

だから、毎年、義理の母は、泣く泣くパスオーバーの準備&料理&片付けをしている。

 

私たちは、コロナの時を除き、この8日間は毎年義理の両親の家で過ごすことにしている。どうせ義理の母がパスオーバー仕様にするのだから、それを手伝って、一緒にパスオーバーをやったほうがいい。

 

パスオーバーは、

 

1日目の夜~2日目の夜:祭日、労働禁止=電化製品禁止。車の使用禁止。料理だけはオッケイ。

2日目の夜~3日目の夜:祭日、労働禁止=電化製品禁止。車の使用禁止。料理だけはオッケイ。

3日目の夜~6日目の夜:中日(ホルハモエッドという)。携帯OK、テレビOK、電化製品OK。外出OK。いわゆる普通に過ごしてよし。

6日目の夜~7日目の夜:祭日、労働禁止=電化製品禁止。車の使用禁止。

7日目の夜~8日目の夜:祭日、労働禁止=電化製品禁止。車の使用禁止。

 

となっていて、最初の2日と最後の2日は、料理以外は安息日同様に規制がある。携帯も使えないし、テレビも見れないし、外出も車などを使ってはいけない。徒歩のみである。

 

でも、今年のパスオーバーは、3日目の夜が安息日に当たっていたので、

 

1日目の夜~2日目の夜:祭日、労働禁止=電化製品禁止。車の使用禁止。料理OK.

2日目の夜~3日目の夜:祭日、労働禁止=電化製品禁止。車の使用禁止。料理OK.

3日目の夜~4日目の夜:安息日、労働禁止=電化製品禁止。車の使用禁止。料理禁止。

4日目の夜~6日目の夜:中日(ホルハモエッドという)。携帯OK、テレビOK、電化製品OK。外出OK。いわゆる普通に過ごしてよし。

6日目の夜~7日目の夜:祭日、労働禁止=電化製品禁止。車の使用禁止。料理OK.

7日目の夜~8日目の夜:祭日、労働禁止=電化製品禁止。車の使用禁止。料理OK.

 

と、8日中、5日間携帯を使えない、どこにもいけない、という過酷なスケジュールであった。

 

こういうときを、「3 days Yom Tov(祝日)」というのだが、この3 days Yom Tovに当たる祭日は、本当に心も体力も「いっぱいいっぱい」になる。

 

今年、義理の母とともに作ったメニューは以下のとおり

 

(8+4)などという数字は、大人の数+子供の数

 

 
 

 

すごい量。すごい労力!!!滝汗滝汗滝汗 

 

ユダヤ人ママは、本当にすごい。

 

義理の母は、毎年こうしてリストやレシピを保存して備忘録にしており、心から感心する。

 

私も、お皿洗いや床履き、テーブルセッティング、料理など、とにかく手伝えることは手伝って、この8日間を乗り切った。

 

中日には、子供たちを連れて、ペンシルベニア州にある、グレートウルフ、というインドアウォーターパークへ2泊三日で行ってきた。

 

 

ここにも、マッツァはもちろん、ゆで卵12個、フルーツ大量、極めつけにはスモークレスグリルを持ち込んで、ルームで肉を焼いて食べる、というパスオーバー中の食対応ぶり。(笑) ニヒヒ

 

超正統派のユダヤ人ファミリーもたくさん来ていて、みんな何かしら持ち込んでいた。(笑)

 

 

 
👇テラスで肉を焼く主人ウインク
 

 

この時期は、正統派ユダヤ人なら誰でもマッツァをバリバリ食べているので、誰がユダヤ人なのかがすぐにわかる。(笑)  

 

中日を終えて義理の両親のところへ戻り、最後の祭日を2日間過ごして、長かったパスオーバーが終わった。

 

95歳のおじいちゃんと、86歳のおばあちゃんも、ルシュキちゃんとクアちゃんとたくさん話して、遊んで、とても楽しく過ごせて喜んでいた。

 

おじいちゃんとおばあちゃんが喜んでくれたのが、とても嬉しい。

 

ルシュキちゃんとクアちゃんは二人とも、マニシュタナを歌って、アフィコーマンのプレゼントもたくさんもらって、本当に楽しくパスオーバーを過ごした。それが、とても嬉しい。

 

セダーの2晩が終わったあとも、「ねぇねぇ、今日もエゴシエーション(ネゴシエーションのことを、エゴシエーションと言っていた)したい!」と言っていた。(笑)

 

大変だったけど、義理の母が、手伝ったことを本当に喜んでくれて、嬉しかった。「あなたしか手伝ってくれる人はいない。こんなにたくさん手伝ってくれて、あなたたち一家がいなければ、パスオーバーは無理だった。本当にありがとう」

 

と言ってくれた。

 

そして、我が家に帰る直前に、「ほんのお礼」、といって、

 

 

ダイヤの指輪をくれた。。。。!

 

ま、眩しすぎる輝き。。。✨

 

「そんな、お礼なんて必要ないよ。でも、ありがとう。とっても嬉しい。」と言って受け取った。

 

来年のパスオーバーも、きっと大変だろう。みんな年を取るから、さらに大変になるだろう。

 

でも、ひとまず、今年のパスオーバーを乗り切った。

 

あと10ヶ月はパスオーバーについて考えるのはやめておこうと思う。

 

パスオーバーが終わると、次は、シャヴオウト、という祭日がやってくる。(途中、ラグバオメルもあるけど)

 

それまで毎日、オメルを数える。

 

ルシュキちゃんの学校では、オメルカレンダーというのが配られて、毎日ひとつ、よいことをするようになっている。

 

以下は、パスオーバー用にルシュキちゃんが作った工作。

 

👇マカー(災い)のひとつ、カエルの大群から。

 
👇セーダーで使うプレート。ここにパスオーバーを象徴する食べ物を置く。真ん中には、ヘブライ語でペサハ、の文字。

 
👇マッツァカバー
 
👇すごいハガダを作ってきたルシュキちゃん。
 
👇第一のマカー(災い)である水が血になったところ。
 
パスオーバーのもうひとつ有名な歌、「ダイエヌ」(=enough!=もう十分!)