【インスリン注射は、最終手段の治療ではない】
〜Aさんとの外来でのやりとりから〜


本日午前中の診療で、
インスリン注射を開始された方が2名いらっしゃいました。

私が担当させていただいたのは、
これまでいくつかの内服薬で治療を続けてこられた方。

毎月真面目に通院され、
「この1ヶ月、しっかり食事も気をつけたんですけど、HbA1cが全く変わらなくて…」
と、先月・今月と続けて、検査結果を見ては肩を落とされていました。

私も、一緒に振り返る中で、
すでに生活の中でできる工夫は十分されていると感じました。

■「注射になったら終わり」じゃないんです

インスリン注射に対しては、
「注射になったら終わりだ」
というイメージを持たれる方が、まだまだ多くいらっしゃいます。

Aさんも、以前まではそのような気持ちをお持ちでした。

けれど今日、診察室に入ってこられた時の表情は
どこか吹っ切れたような、心を決めたような印象でした。

■膵臓を“休ませる”という考え方

外来でのやりとりを重ねる中で、

インスリン注射は、
自分の膵臓を休ませてあげるために始めるんだ。
そして、今のうちにしっかり休ませておくことで、
膵臓がこれからもインスリンを出し続けてくれる可能性がある。

という考え方を、Aさんは少しずつ受け止めてくださっていました。

「今日は、注射が始まるかもしれないと思って来られたんですか?」

とお尋ねすると、

「テレビでも見ました。
早めに注射で膵臓を休ませた人が、後に内服薬だけになったという話。
先生からも、同じようなことを聞きました。」

と、落ち着いた表情でお話くださいました。

(もちろん、内服に戻せるかはインスリン分泌の残存具合によるので人それぞれですが…)

「一度血糖値を安定させて、そこからまた考えてみましょうね」
とお伝えし、インスリン注射や血糖測定の手技確認もスムーズに進みました。

■Aさんのような患者さんにこそ、ストレスを減らしてあげたい

Aさんは毎月、HbA1cをノートに丁寧に記録し、
食事や運動の振り返りも熱心にされている方です。

だからこそ、
「血糖値が上がるかも…」ということ自体が大きなストレスとなり、
かえって数値に影響してしまうことも考えられます。

(実際、食事を摂らずに2時間後に血糖測定の練習をした際、
緊張からか、血糖値が20mg/dLほど上がっていたのも印象的でした)

インスリン注射を始めることは、
膵臓を休ませるだけでなく、
Aさんご自身の「安心」にもつながっていくのではないかと感じています。

■イメージできる安心感を

インスリン注射の治療に対する疑問、不安は沢山ありますよね。

「注射は使い捨て?どこに捨てるの」
「注射はどこに打つ?」
「注射になると頻回に病院に来なきゃいけないの?」

実際の注射をお見せしながら、
「1日1回で済むこと」や「注射器の仕組み」「廃棄のしかた」「注射の受け取り方」などをお伝えしました。

その上で、Aさんからは

「わかりました。だいたいイメージがつきました!」
と笑顔が見られ、迷いが晴れたように見えました。

■伝える力は、安心につながる

「正しい知識を届けること」
「不安や疑問をそのままにしないこと」
「“イメージできる安心感”を持ってもらうこと」

Aさんと関わる中で、
改めてこの大切さを教えていただいた気がします。

Aさんがこの先、

「インスリン注射を始めて良かった」
「血糖値のストレスが減った」
「数値が下がってホッとした」

そんな風に感じられるよう、
これからもサポートしていきたいと思います。
 

 

 

 

ー血糖値に関する不安や気がかりなことがある方へー
どんな小さなことでも構いませんので、
安心してLINEからご相談いただければと思います。
一緒にできることから少しずつ整えていきましょうね◡̈⚑