2023年7月31日(月)
久々に1Fの総合受付(外来)に行って驚いた。
1週間前、初めて足を踏み入れた時は、うぁ、病院だ、辛気臭い!と思ったのに、今日は、クリーンな14Fの病室と違って、下界というか、雑多ないろいろが混じっていて、こんな悪魔の巣窟みたいな場所に、私ここに長くいては行けないと思ったのだった。たった1週間で、私は違う世界に入り込んでいる。
病院が心地よいのは、病気だからなんだな。
頑張れないから入院してるんだな。
*病気=こないだまでの自分がうまく保てなくなること
(「どこからが病気なの」)
ーーー
シャワー中、次のお見舞いお願いリストに、「香りの良いオーガニックシャンプー」と思いつき、あ、でももうすぐ私髪無いじゃんと気づき、泣く。
ーーー
午前中は、リハビリ科の先生にあう。「元気な時は、体動かしたいんですよ。2週間前までは、1週間10万歩歩いてたので」と言ったら、笑われた。自転車漕ぎと、ゴム使っての筋トレとか、メニュー考えてくれるらしい。明日、担当が決まる。違う部屋、やることができると嬉しい。リハビリ室に、体力キープのためにいる時間は、TRから、ARに戻ってる。(昨日の名前の話です)
ーーー
自分が持つ交遊範囲の広さは、本当に宝物だ。自分で褒めてあげたい。
話を聞いてくれる、それぞれ違う立場から話ができる友人知人が、たくさんいる。そして、今の時代、ネット環境さえあれば、病室からでも彼らと交流できる。これは本当にありがたい。
ーー
お姉ちゃん、って心の中で思ってる友人&仕事仲間Tが、出張終わって駆けつけてくれた。私が言いたいことを、ちゃんと掬ってくれる人。話すことで、自分の考えはまとまり、そして癒しになる。いきなり癌だと言われ、多分、いや絶対にどうやって接していいのかと惑ったと思うけれど、勇気出して来てくれた。フルーツとジュースいっぱい持って!
経験を通してしか見えない世界がある。今回の経験は大変だと思うけれど、それを乗り越えられる力のある人だから大丈夫、リョーコさんなら大丈夫、って気がついて、連絡した、と。嬉しかった。
仏教は病院のようなもの、健康な時には意味わからないし必要ないけれど、四苦=生、老、病、死に苦しんだ時、病院で処方される薬のように、仏の教えが救ってれるのかな、という、通訳ガイドならではの「仏教どうやって説明するか」あるある話とか、これも同じ仕事仲間ならでは。
最後に、ぎゅーーーーーーーってハグして、また甘えてね!来るからね!と帰っていった。
ーー
熱は、39度までは上がらなくなった。37−38度台をキープなのだが、それでも、熱が下がらなければ、退院は叶わず、緊急手術という次のオプションが出てくるので、なんとしても、抗生物質に、体内マフィアと闘ってほしい。体の主は、何もできないので、よく寝てよく食べて、くよくよせずに笑ってることくらい。
ーー
冷徹若先生にムカムカしてたけど、今思うと、
衝撃すぎる話をいきなり伝えられるより、なんとなく輪郭分かっていて聞く方が気持ちが楽だったかも
あと、「あんまり先を考えず、今やることに集中すること」っていう言葉も。今は熱を下げることだけに集中するしか無い。
ーーー
午後、主治医の先生から、とうとう、正式な診断が下された。
もう、癌なのはわかっていたし、軽く無いのも分かっていたけれど、思っていたよりも、さらにキツい現実を突きつけられた。隣で聞いていたぽんちゃんは、「俺は新聞記者だから、全部メモする」とノートとペン広げていたくせに、何も書けてなかった。まあ、そのくらい衝撃的。彼はそのまま会社に電話して休みにしてた。
夕方、落ち着いてベッドで血液検査の結果を見ていたら、もうびっくりするぐらい、私の身体はボロボロになっていて、半分以上の数字が、大きすぎるか、小さすぎる。私の身体の中の小さな防衛軍は、巨大マフィアと必死に戦っていたんだな、宿主の私には何も知らせず、こんなにも戦っていたんだな、それなのに、身体に負担ありそうな運動強度高い日々を呑気に送っていてすみません。
足は太いし、サリーちゃんみたいに5頭身だし、整った美人顔じゃないけれど、自分の身体をこんなにも愛おしく思ったことはない。私は私の意志で生きてるんじゃない。身体が勝手にいろいろ働いてくれて、生かされているのだった。頑張ってる身体の防衛軍たちを私は手助けしようにも、自分で何もできる手はずもなく、だから病院にいるんだけど。頑張れ防衛軍。
ーー
夕食時、また夫が戻ってくる。「俺は決めたよ。涼の希望は全部やる。そのマフィアが憎い、怒ってるよ!」と、怒りモード全開なのだった。彼は彼で苦しいだろう。私の気配のある家で一人でいるのは、この病院で寝る私よりも、辛いと思う。でもなぜか、私は彼とは泣いたり怒ったりしたくない。馬鹿話して、一緒に笑っていたい。後で気づいてラインで送ったけれど、私が彼に望むのは、心身ともに健康でいてほしい。私の病がストレスで、病気になってほしくない。
ーー
夫と初めて一緒に行く産婦人科で、赤ちゃんでなく、マフィア(癌)の存在を告げられ、その日の夜に、「この憎きマフィアに名前つけようぜ」といろいろ言い合う、あまりにもシニカルな現実に、二人で笑ってしまう。チャップリンの、「人生は近くでみると悲劇だが、遠くから見れば喜劇だ」、とは違うのかな、でも、ブラックジョークにも程がある。
ちなみに、マフィア(癌)の名前は「Rマフィア」と命名されました。
ーーー
今日の治療
抗生物質点滴2、鉄分1、解熱は点滴レベルじゃ無いので、ロキソニン錠剤。ちょっと前進?