能登の震災で孤立した集落の報に接し、すぐ思い浮かんだのが、宮本輝原作、是枝監督のデビュー作、幻の光である。夫を不可思議な自殺で亡くし、幼い男の子を連れ、奥能登に嫁いだ主人公、小説の舞台は輪島市曽々木海岸であった。その集落はどうなっているのだろう。波打ち際に建つ嫁ぎ先の家は津波に呑み込まれたかもしれない。暗澹たる気分である。住民の無事を祈るばかりである。