昨今の反日デモは尖閣問題だけではなく、昨年から相次いで上映された張芸謀の作品も影響しているのではないか。一つは南京大虐殺がテーマの『金陵十三釵』。中国映画史上最高額となる製作費6億元を投じた超大作で、昨年の中国の年間総興行第1位と大ヒットし中国社会に大きな影響を与えたという。ところが、この映画、日本では未公開なのだ。日本兵によるリアルで残虐な戦闘シーンや、中国人女性への強姦や輪姦、殺戮シーンなど反日感情を刺激する日本軍の残虐性を強調するシーンが多く、上映中、中国の映画館内では、すすり泣きと日本人を罵倒する声があちこちから聞こえたという。またインターネット上にはこの映画の影響を受け反日を叫ぶ書き込みが溢れ、この映画を鑑賞した人気歌手の韓紅が中国版ツイッター・新浪微博に日本を罵倒する書き込みをして話題になった。韓紅と言えばチベット族出身で、北京人民解放軍芸術学院でアランの先輩にあたる。それと、反日デモの原因となったであろうもう一作は「サンザシの樹の下で」である。この作品でも映画の冒頭でサンザシの樹が出てくるが、抗日戦争で日本軍に銃殺された兵士の血が染み込んで赤い花が咲くようになったという。さて、この映画の舞台は文化大革命下の中国。都会で暮らす女子高生ジンチュウは下放運動の一環で寒村へ送られる。村長の家に下宿することになった彼女はそこで村長一家と家族同然に暮らす地質調査隊の青年スンと出会い恋に落ちる。しかし、反革命分子と見られている彼女の両親の存在からこれは叶わぬ恋だった。主演の周冬雨の可憐な演技が素晴らしい作品である。
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