アメリカの研究チームが今月16日発行の科学誌「ネイチャー」に木星の衛星「エウロパ」には大きな海だけでなく、地表を覆う厚い氷の下に巨大な湖があることが分かったとの研究結果を発表した。そしてエウロパの海に生命が存在する可能性も高まったとしている。NASAの科学者によると、エウロパに海があることは10年ほど前から確実視されていたが、この海は厚い氷に覆われていることから、地表と接触して生命の維持に必要な養分を摂取することができないと見られ、生命存在説の妨げになっていたという。が、テキサス大学などの研究チームは1989年に打ち上げられた木星探査機「ガリレオ」が撮影した木星と衛星の画像を解析した結果、エウロパの海の上部に湖が存在し、揺れ動いている形跡があることが判明した。研究者は「氷はその厚さにもかかわらず活発に混じり合っている可能性があり、エウロパとその海に生命が存在する可能性が高まった」と指摘している。NASAの科学者はこの研究について、エウロパに生命の兆候を見つけようとしている科学者にとって朗報だと述べ、「エウロパに生命が存在できることを示す手がかりになる」と解説。湖は氷の表面から約3~5キロ、海は約50キロの深さにあると推定している。スタンリー・キューブリックの「2001年宇宙の旅」の続編の「2010年宇宙の旅」では、エウロパの海中に生命体が存在し、この生命体がモノリスの啓示を受け、約20000年を経て太陽系で人類に代わる生物になった過程が描かれている。この黙示録的な予言が的中しそうな気配となってきた。それにしてもエウロパの海中深く存在する生命体はどのような姿をしているのか。想像するだけでワクワクする。