浅野忠信主演『モンゴル』が全米公開 | 無料カタログ

浅野忠信主演『モンゴル』が全米公開

 アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた浅野忠信主演の『MONGOL モンゴル』(セルゲイ・ボドロフ監督)がいよいよ全米で封切られる。外国語映画にとって不利といわれるアメリカ市場において、全編モンゴル語の字幕映画がどれほどの成績を収めるか注目を集めている。


 米メジャースタジオは、外国語映画の配給を敬遠しがちだ。その理由は、DVDからの収入が当てにできないからだ。英語映画であれば、興行収入の約70%ほどの収益をDVDセールスから獲得できる。しかし、外国語映画は50%以下という現実がある。


 Roadside Attractionのハワード・コーエンは、アメリカにおける外国語映画ビジネスの現状をこう説明する。


 「ほとんどの外国語映画は、薄利を狙う小規模な会社によって配給されています。賞レースにタイミングを合わせて公開することもありますが、赤字になることも多いのです」


 「字幕映画というだけで、アメリカの観客に対して壁を作ってしまうんです」と同意するのは、米ミラマックスのDaniel Battsek。「しかし、その壁は突破不可能なものではありません。外国語映画というのは、それ自体で1つのジャンルにはくくれないのです。多種多様な作品がありますから、その映画の売りとなる点を強調すれば壁を突破し、通常よりも良い成績を収めることが可能です」


 ジェット・リー主演の『HERO』のようなカンフーアクション映画は、字幕映画に抵抗のある観客を魅了するだけの映像のインパクトがある。


 また、ギレルモ・デル・トロ監督の『パンズ・ラビリンス』も、DVDセールスの月間ランキングで1位に輝いている。


 『パンズ・ラビリンス』をはじめ、『天国の口、終りの楽園。』、『パッション』、『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』など、さまざまな配給会社でサプライズヒットを放ってきたボブ・バーニーは、成功の秘けつについて、「字幕映画を、“映画祭で評価された知的なアート映画”だと思って敬遠している人が多いんです。われわれは、『パンズ~』をスペイン映画としては売りませんでした。ストーリーと映像の力がほかの問題を打ち負かしたのです。最近では、観客の意識も変わってきています」と語った。


 大ヒット映画となったメル・ギブソン監督の『アポカリプト』や『パッション』は、両作とも字幕映画だったことから、公開前は大きなギャンブルと見られていた。しかし、そのエンターテインメント性に惹かれて、興行的にも成功した。


 『モンゴル』の全米公開は6月6日。配給はPicturehouseが手がける。


出典:Variety Japan