賃貸住宅のミスマッチ | JetClipper's Bar

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東京生まれですが、沖縄、多摩ニュータウン、横浜、尼崎、川崎を経て、三鷹市民になりました。

今日の東洋経済で賃貸住宅の契約更新時の更新料について裁判所で「無効」である事が判決で出ているケースが増えているという記事が出ていた。敷金や敷引きについても出ていたけど、更新料や礼金についてもこういう判決は出るのは目に見えていたはずだ。

確かに日本の賃貸住宅の8割は個人が大家である。そういう人たちにとっては突然のルール変更には激変緩和措置が欲しいと思うだろうし、更新料返還訴訟なんて起こされたら破産する大家も出てくるだろう。
でも日本の賃貸住宅は実際供給過剰である。都内に限れば空室率は3割近く。オフィスでそんなに空室率が出たら大問題になる。オフィスの場合は大きいものを分割したり、階を違えれば増床出来るから必ずしも必要な面積通りの物件である必要がないという部分はあるのだけど。


以前からつくづく思うのは、日本の賃貸住宅の需要と供給のミスマッチはひどいなと思う。ワンルームのニーズがそれほどあるわけではないのに、未だにワンルームや狭小物件が多い。しかもそういう物件に限ってこれから増えるであろう老人の単身者に優しくない。私の個人的な感覚だけど、借り上げ社宅の制度がある会社であってもその制限内で良い物件となるとかなり厳しい。

戦後、日本人のライフスタイルはあまりにも大きく変わりすぎた。そして世帯数の倍以上の住宅が供給されていて、地方においてはゆとりある住居が実現できているのに大都市圏でそれは望む事はまず不可能だ。
ましてや都心部において駐車場付き物件を探そうと思えば家賃と変わらないくらいの駐車場代がかかり、安い物件では光ケーブル接続どころか、CATVの接続すら出来ない物件もある。私の住むマンションも光ケーブルはあるけど、CATVがないので仕方なくスカパーのアンテナを買って対応している。
また、知的労働をする為に必須の書斎スペースを確保するのは夢の世界だ。本を読もうにも本を置けない家だったり、とても集中して仕事が出来る環境が整えられる事はない。

本来、市場原理が働けば、給与所得者が自分で支払えないような物件は淘汰されるはず。ところが、私も含めて借り上げ社宅の人はそれほど賃料の高さを自覚する事はない。そういう人がある程度の物件に入居するから、どうしても市場が歪んでしまう。

あえて暴論を言えば、潰れるべき個人大家は早く賃貸ビジネスから撤退すればよい。そうすれば建て替えも進むし、住宅環境が良くなる可能性が高い。プロではない個人大家が撤退する状況ができれば、大規模な区画整理や地域再開発ができる可能性が出てくる。

どんなビジネスでも自らリスクを取って行うべきもの。それが畜産であっても農家であっても、大家であっても全く同じ。そのリスクをヘッジするのはビジネスで当たり前の行動。それをしなかった人が失敗するのは仕方がない。失敗しても再チャレンジ出来る社会にすれば済むだけのことだと。