日本電産の社長が休み返上で働くことを肯定する発言をして波紋を呼んでいるらしい。ビジネスマンとしては彼のようにターンアラウンドを成功させた経営者は肯定したい気分になるのだが、この件に関しては否定的だ。
製造業ならば、時間と成果は結びつきやすい。というのは一時間当たり作れる製品は決まっているから何時間働いたかということといくつ作ったかというのは相関関係がある。ただ、人間は疲労するものだから定期的に休みを取って身体を休めないとミスを引き起こしたり病気の原因になるから8時間労働とか週の労働時間の規制が法律で定められていった。また有給休暇でリフレッシュさせることも必要な人事政策として広がってきた。
ところがサービス業やホワイトカラーの仕事は違う。時間と成果は必ずしも一定しない。もちろん接客業や販売業は店舗を開けている時間というものが存在する以上働いた時間にやるべきことと言うものが存在しているのだが、それが売上げに必ず正相関するとはいえない。ましては自己裁量の範囲が広がる営業マンや企画業務は長時間働くことが必ずしもよいとはいえない。時間と成果がイコールではないから。
まずこれを踏まえて、次の議論。
年を取った方、特に製造業をベースに生きてこられた方はどうしても時間と成果は結びつく、という思考に陥りがちだ。自分達もそうしてきた、という変な成功体験の思い込みの呪縛とでも言うべきか。だから部下が有給休暇をとることに否定的だったり、へたをすると部下のプライベートまで干渉してくるタイプがいる。
そしてもう一つ、この世代の困ったことは法律を知らないということだ。法律は建前で、もし役所が監査に来たら総務かどこかが対応するから自分達には関係ないことだと思い込んでいる。だから普段の発言の中に意外と法律違反の話をしてることが多い。ビジネスが私人間の行為である以上、契約自由であるのだが、既に法体系が出来ており、そのなかでしかビジネスは出来ないというのが原理原則なのだが、日本人、特に上の世代はそういう思考が全くない人が多い。
私は働きたい人が休日返上で働くことを否定しない。私だってそういうときがある。会社はそういう人が休める時に休む環境を整えることと休日に働いたものがサービス残業にならないように配慮すればよいと思っている。
有給休暇はその人の仕事を見直す良いチャンスなのだ。周りと情報を共有化してきちんと報告・連絡・相談をしていれば回る仕事も多い。回らない仕事は何か問題があるかもしれない、と見直しをする良いきっかけになるのだ。
結局、日本の企業人は多様な思考を認めたくないのだと。色々な人が働いているから色々都合がある。右肩上がりの時代のように一丸となって(その頃一丸だったとも言えないはずなのに)物事に当たるのだけが正しいという思い込みは思考の硬直化につながる。現に日本電産は創業者がいなくなったらどうなるのか、というリスクを常にマーケットから問われるだろう。彼自身がきちんと休んで権限を委ねていくということが出来ていないと見られるとまずいと思うのだが。