イギリスと日本の相違点 | JetClipper's Bar

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東京生まれですが、沖縄、多摩ニュータウン、横浜、尼崎、川崎を経て、三鷹市民になりました。

今週の東洋経済の特集は面白かった。

先日退任したブレア前首相の10年間を総括し、イギリスがなぜ日本を抜き去ったかということを検証している。

結論からすると、ブレア氏は第三の道を見つけたのではなく、思いやりのある資本主義を目指したに過ぎないということになるだろうか。つまり、ニューレイバーといわれた中道左派の政策を採ったのではなく、むしろ去っちゃリズムのひずみの修正をしたに過ぎないということだ。

こうなると、保守党のポジションは難しい。サッチャリズムの否定で労働党に対抗は出来ない。ひずみを認めつつ、まだまだ問題のあるポイントを絞ってより効率化を目指す改革の加速路線をとるしか対抗策はない。逆により保護を強くするかのような政策は保守党の大敗になるのが落ちである。


では、日本はどうか。小泉改革は実はまだ中途半端。確かに改革に踏み込んだ点は他の宰相よりはるかに良いのだが、党内基盤が薄く、財界・学者との人脈も少なかった小泉氏は強力なブレーンやスタッフを抱えることが出来なかった。サッチャーほどの改革もまだ進んでいないのが日本の実情。

それなのに痛みがひどいとモルヒネのように所得再分配の強化や弱者保護に名を借りた高所得者層や企業への課税強化をすればもとの木阿弥である。


イギリスと日本の一番の違いはその人口にある。イギリスの人口は日本の半分。早くから産業革命で工業化したため老朽化した設備と強力な労働組合の為イギリスの工業は崩壊していた。6000万人では大規模な工業生産を維持することは難しい。しかも海を隔ててヨーロッパには強力な工業国が控えている。つまりサッチャーの改革はこの分野に固定されている資金や人を解放したという点では効果があったのだ。そして工業振興よりも金融やサービス業の強化、研究開発に資金を回した上に、海外からの人材や資金を受け入れた。人口が少ないゆえに国内だけでは生きていけないのである。

日本の場合、その人口の多さから工業生産が非効率であっても企業が生存してしまうという問題がある。故に非効率な体制を崩す必要性を感じない人が多くサッチャーのような改革が出来ない。金融についても理解していない人が多く、金融=虚業なんて世界的にもおかしな常識がまかり通っている。ものづくりへの過信が他の分野への優秀な人材や優良な資金の流れを止めてしまっている。しかも問題なのは日本のものづくりが優秀なのは一部の分野に過ぎず、全体からみれば非効率な産業構造とおかしな労使関係が残っている。故に日本の工業の国際競争力は自動車産業や家電のごく一部に過ぎず、全体からみると競争力があるとはとてもいえない。しかもバックオフィスについてはもっと生産性の悪さが深刻である。


つまり、日本はまだ改革が徹底していないのに、旧体制の価値観から抜けられない政治家達やマスコミにより痛みに耐えられないと主張する一部の勢力の意見を針小棒大に主張している。確かにワーキングプアの問題は深刻だが、それ以上に非効率な企業や官業の淘汰が重要なのだ。


まだ日本は思いやりのある資本主義に移行する段階ではない。国際競争力のある状況にしてからはじめて再分配が出来るのである。そのためには既得権をもつ連中を早々に排除しなければならない。マスコミも例外ではないことを自覚するべきだろう。