「魔法使い 木村多鶴子 11」


大和大路から花見小路向けて歩いてます・・・


うわぁ、一力亭によーじ屋が見えてきました。


新旧の祇園名物の建物か。
それぞの時代を切り取ったような景色やねぇ。


うーん京都って素敵。


そんな、目に、心に語りかけてくる町、

京都の祇園を・・・


おとうちゃんと八坂神社目指して歩いてます。


木村多鶴子、58歳。大阪は門真在住。おとうちゃんも
息子のたかしも、「みつる」も知らんけど、

私、魔法使いなんです。


さすがに、京都はなんか風情があるねぇ。
雅やかというか、まろやかというか、

今、祇園辻利の行列も見ましたんやけれど、

待ってる人かてなんか品ありますなぁ。


こんな、うちのおとうちゃんみたいに、

「並ぶくらいやったらチロルチョコ食ってる方がましじゃ」

て平気で言えるような人とは
やっぱり人種がちゃいますわ。




「おい・・・多鶴子・・・なんやろ?あの人だかり・・・」


「え?ほんまや。」


なんか、花見小路のちょっと入ったところに、

黒山の人だかりができてるんです。



「なんじゃ、土左衛門でもあがったんかい!」


「これ、おとうちゃん!あんたえーかげんにしときや。」


調子こいてからに、変なおっさんや思われるわ、ほんま。
一緒に歩いてる私も変な人みたいやん。


それは、そうと・・・何なんやろねぇ・・・って、あっ!



「舞妓さんやんけ!」

ておとうちゃんが先言うてどうすんのよ!


人だかりの隙間からチラリと見えたんです。
やった!舞妓さん見たかったのよ


・・・って、ええっ?嘘?


「おおおおおお・・・おとうちゃん!舞妓さんの横にいる
せ、せ、背広のひ、人っ


・・・・・・


け・・・決平 万(けつだいら まん)やん!!」



「なんやて!あの、『怒りん棒将軍』のおっさんかいな?」


「そうそう!今はケツマン・ルンバの人やがなぁ!」


なんとなぁ、やっぱり京都やねぇ。祇園やねぇ。

あんな有名な俳優さんが、

普通の道に唐突にいはるなんて、多鶴子、感激!




「はいはいはいっ!ちょっとご通行中の皆さんっ!

今テレビ番組の撮影中だからぁ、

あんまり集まらないでくださいっ!」


なんかテレビの人かしらんけれど、

えらい怒りながら人、さばいたはる。


なんかメチャメチャえらそうにしゃべってからに、何様やの。


「はい、押さないで!

ちょっと危ないから押さないでっ!!」


ちょっ!ちょっと!逆にそうやって人の列急に広げたら、
将棋倒しおこるわよっ!

危ないやんテレビ局の人っ!!



ガリッ!※奥歯の鳴る音・・・・・・



「こらっわれっ!

テレビ局か歌謡曲か知らんけど、おのれら勝手に
撮影さらして、

この混雑招いとんのに、何えらそにしとるんじゃい!」



やばい・・・おとうちゃん、奥歯鳴ったら手がつけられへん・・
血の気の多い激ヤバ河内のおっさんになってもうた・・・



群衆の視線が、一気に集まる!



「おのれ、ここは天下の公道じゃ!なんで、のかなあかんのじゃい!」


「何?このおっさん・・・。やるの?」



なんか、テレビの人も腕っぷし強そうな人やし・・・やばいっ!


「はぁ?やるの?アホかもうやっとるわい!」


あかん!おとうちゃん、みんな見てはるっ!
大人が喧嘩したら絶対ダメ!止めな!!魔法やっ!!



ケツマンさん、手伝って!!



ア、チョイト、チョイト、チョイト・・・・スパニッシュ!
アホガミール・・・・ブタノケーツゥ♪(呪文)


始まれ♪ケツマンルンバッ!!




途端、決平 万(けつだいら まん)の背広から
ボワンと煙が出たかと思うと、

パッと金ラメの着物に早着替えっ!


そして頭はお約束のゴージャスチョンマゲに!



足下の台がグググググッとせりあがって、
いっちょまえのステージに早変わりっ!



そして音楽っスタート!!



まわりの観客はあまりの突然な変化、ステージ化に
唖然としていたけれど、

演出と判断して一気にヒートアップ!


外側に広がろうとした輪は、あっという間にステージに
群がった!


大丈夫、魔法てばれてない!


「ちょ・・・聞いてないよ、こんな演出!」
おとうちゃんと喧嘩しそうになってたテレビの人は、もう
おとうちゃんそっちのけで、

焦りまくりで、群衆の向こうのスタッフの方へ
もみくちゃにされながら進んでいった。



「こら、われ!逃げるんか!」


しかし・・・
怒鳴り声も聞こえないくらいの大歓声に、ハッと
我を取り戻した、おとうちゃん・・・


「そ、そや・・・た・・多鶴子・・・多鶴子おるか?」
「はいな。おりまっせ。喧嘩はあきまへんで」


「アホか、ちょっと怒ったっただけやんけ・・・

お前、近くおらんし、焦って今屁が出たやろが!」


なんじゃそら?


最初は驚いた表情のケツマンさんやったけれど、

音楽かかってステージ上がったら、

そこはやっぱり芸能を極めた人。

機転がきくんやんねぇ。感心、感心・・・


オーレー、オーレーェェ♪ケツマーンルゥンバッ♪
で見事なキメポーズッ!


すごい!

テレビでしか見たことない生ケツマンポーズ!(意味不明)


やったねっ!多鶴子も完璧っ!





ザワザワ・・・・ザワザワザワ・・・・・ザワザワザワ





へ?何でみんな騒いではんねやろ・・・・?


ああっ!し、し、しもたぁ!


急いで呪文かけたから、ゴージャスチョンマゲや思ったら、
舞妓さんのお鬘かぶってはるやないの、ケツマンさんっ!


・・・・・・頭でかっ!



ああっ!ううわっ!なんちゅうこっちゃっ!



急いださかい、金ラメコスチュームは間に合ったけれど、
下着まで履かすのん、呪文とんでもーたから・・・


ケツマンさん、ルンバの決めポーズしてるけれど・・・


これだけの大群衆の前で、八坂神社の願かけ鈴みたいに


股のとこから「竿とおいなりさん」のお宝

ぶらぶら丸見えやないの・・・




え?ええっ?よ、横のお婆ちゃんお、

お宝見て拝んではるし・・・





おとうちゃんの件はうまいこといったけれど、
ケツマンさんにはえらい迷惑やったわね、ごめりんこ。


※結局テレビは「お宝丸出し映像」を放映することは
不可能なため、他のシーンに差し替えて編集されたよう・・・




はぁ、えらい大騒ぎやったね。さ、目の前が八坂神社の
西楼門。石段下でっせ、おとうちゃん・・・




あれ?おとうちゃんは?



え?いや、かなんわ!祇園ホテルの下にある、スタバ入って
いったやないの!あんなん、若い子の店やで。


「お、抹茶あるやんけ!

お、お姉ちゃん・・・あの抹茶プラぺチンポ
いうやつくれるか?」


「は?」



ちょっと、おとうちゃん、何やってんのよ、もう・・・・
はよ、八坂さん行こうなぁ!


木村多鶴子です。58歳の門真在住、普通の主婦。
だけど、魔法使いなんです。


このあと、八坂さんで、無事お参りできました。
ずっと仲良くいれますよーにて、お願いしちゃった♪


今度は家族みんなで来たいわぁ。みつるも、もうすぐ
長期海外出張から帰ってくるやろし・・・。


今度は次男の「みつる」をご紹介しますね、皆さん。
それまでは、アディオス・・・なんちゃって、ナハ。