旧森林開発公団の山崎進一・元理事(76)の自殺
官製談合システムを発案した緑資源機構の「陰のドン」も命を絶った。29日、機構の前身、旧森林開発公団の山崎進一・元理事(76)の自殺。山崎元理事は業界団体「特定森林地域協議会」(特森協)=解散=の副会長も務め、政界への窓口役とされた。命と引き換えに、いったい何を守ろうとしたのか。松岡利勝農相に続く死の選択で、真相は闇に葬られようとしている。
「またも自殺者が出るとは」。検察関係者は29日朝、キーマンの自殺を知り絶句した。
山崎元理事は公団発足(56年)当時からの職員。業務部長などを経て88年10月~90年10月、理事を務めた。担当は今回事件の舞台となった林道部門など。発注権限を一手に握った山崎元理事は90年ごろ、天下りを多く受け入れた企業や公益法人に優先的に業務を回すため、出先機関から配分案を吸い上げ公団本部で決定する現行システムの原型を作り上げた。
「自分は山崎さんから直接引き継いだ。最近も割り振り済みの業務に介入してきて、受注先を差し替えたことがあった」。24日に独占禁止法違反容疑で逮捕された高木宗男前理事(59)=解任=は逮捕前、周辺にこう語り、関係者は山崎元理事を「陰のドン」と呼んだ。
山崎元理事には「政界とのパイプ役」というもう一つの顔があった。副会長を務めた機構の受注業者でつくる特森協は、表裏一体の政治団体「特森懇話会」=解散=を設立。03~05年、この懇話会から21人の国会議員に計822万円の献金があり、うち計120万円が松岡氏に渡った。
支援企業と特森協は、談合事件の裏で極秘裏に進めてきた政界捜査の焦点で、山崎元理事は真相を語ることができる重要人物だった。松岡氏の後を追うかのような自殺。「林野の闇」の実態解明が遠のこうとしている。
◇「にこやかな人」とマンション住民
山崎進一元理事が自殺したマンションには29日午前、報道関係者数十人が集まった。
山崎さんと顔見知りというマンションの女性住民は「山崎さんはここ1カ月で一度、団地内で後ろ姿を見たのが最後だった。あいさつをすると、にこやかで夫婦の仲がいい様子だった。自殺するような人には見えなかった。気の毒だ」と表情を曇らせた。
同マンションに住む60代男性は「午前6時半ごろ自宅に車で戻るとパトカーが来て、警察がマンション上層階から距離を測る鑑識活動をしていた。昨日は松岡(農相)さんが自殺したばかりで嫌な気分だ」と話した。
29日自殺した山崎進一・元理事は今年4月28日と5月4日の2回、毎日新聞の取材に応じ、緑資源機構主導型の談合システムについて「まったく記憶にない。僕はあまりそういうのはやってない」と関与を否定していた。主な一問一答は次の通り。
--逮捕された(同機構の)高木宗男理事との面識は。
孫みたいなもん。2代ぐらい違う理事(実際は5代)なので、何かを引き継いだりしたことはない。
--談合システムを作り引き継いだのでは?
まったく記憶にないけど、そういうことはありえないと思う。僕はあんまりそういうのやってないんですよ。
--(機構の受注業者で作る)特定森林地域協議会(特森協)はなぜ設立したのか。
時代の要請というか、過疎化で取り残された山をどうするかみたいな。
--入らないと仕事をもらえない?
それはまったくない。
--政治団体から松岡利勝農相ら政治家への献金の趣旨は。
山のため、森林のために陳情するのが時代のすう勢だった。各種林業団体が一緒になって、山のために先生にお願いしようと。山のために真剣になってくれる人って少ないわけですよ
--解散の理由は?
談合のための団体と誤解を生むので、社会的にどうだという意見があったと聞いている。
--談合隠しの意図があるのでは。
それはそうだが、逆に今でもやってたらもっといろいろ言われるでしょ。