秋の夜長のメキシコ読書
夜、寝る前。
寝つきが悪いわたしは、数分でも「活字を読まないことには・・・」という妙な入眠儀式が長年ある。
でもこの頃は、ちょうどいい疲労感を感じるボランティアのおかげで、バタンキューが多くて、まったくデパスのお世話になることもない。
入眠儀式のために、実はたんまりと日本から、「メキシコ文学」と「ラテンアメリカ文学」をもってきているのだけど、未だ、オクタビオ・パスまでたどり着けないありさまでございます。
ここ数週間、枕の友になっているのは、古本屋で買い求めた昭和32年に初版、翻訳されているメキシコ北部を舞台にした、アステカの秘宝探す冒険小説なのだ。
メキシコの黄金 昌文社 ハーベイ・ホワイト 増田義郎訳
ちょうどプチ・メソアメリカ講座もオルメカ文明が終わり、ティオティワカン文明も終わり、
メキシコの古代文明の図表などもすこしだけわかってきただけに、小説の中にでてくるアステカの秘宝をさがすアイコンが翡翠に描かれたうずまきのマークだったりすると、ディープなメキシコ世界を知るようでなかなかお話も楽しいものがあります。
児童文学として50年も前にアメリカ人作家によって書かれたものですが、たんなる冒険小説というよりは、時代や舞台背景の設定、登場人物の人種の描き分け、アパッチや、先住民、移民してきたアングロサクソン。
主人公も親を亡くしたスコットランド系の移民の子だったりして。
支配するもの、されるもの、その国の先住民の思いなど、じつによく書かれていて、翻訳出版された当時、日本の子どもは、とおいメキシコのこのお話をどんな風に読んだかも知りたいところです。
お話の最初の頃のアメリカ人とカナダ人の農園主による明らかなメキシコ人への差別にはじまり、宝さがしから和解や、融和に次第にお話は展開していくのだけど、それとは別にアパッチという多種多様な人種のかかわりもあって、作者の理想主義的な人種の融合への意気込みが描かれている。
50年も前に書かれた児童小説だけど、作者のハーヴェイの人種願望は、今も永遠の希望と思えるあたりが、この小説の優れいているところだと思うわ。
ここに暮らすと、日本人なのに、アメリカ側の白人優位の立場からメキシコ人や、メキシコを観るような視点だけはもちたくないと肝に銘じてきたけれど、改めて、そういう謙虚さを常にもってここ住まわせてもらいたいと思いなおす一冊でした。
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